実験の失敗が新たな「発見」のはじまり(2016年06月03日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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実験の失敗が新たな「発見」のはじまり(2016年06月03日)

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実験の失敗が新たな「発見」のはじまり(2016年06月03日)

実験の失敗が新たな「発見」のはじまり(2016年06月03日)

先日、京都府・山崎の雨上がりの水路から偶然、バイオフィルムを採集したという報告をしました。すると、1年生の藤井君が「先生、ここにもよく似たバイオフィルムができています。」と私に教えてくれました。水道水からプラズマ水を作るため生成スティックを再生し、新しく容器に詰めてから数日が経過していました。

正常に機能していれば、プラズマの振動性のため"死に水"になりにくいプラズマ水です。いわば、失敗したのです。しかし、そこには何か原因があるはずです。そこから探究が始まり、新しい発見に繋がります。ふつう教室では正解すると褒められますが、実験科学の世界では真逆です。「失敗する」からこそ「発見する」に至るのです。

考えられる根拠を探ります。ふつう、原料の水道水からはこれほどまで大量の白い沈殿物は発生しません。水道水中の栄養分は限られていますから、他から栄養が加わって水道水中の細菌が増殖したのだと思います。水道水は無菌ではありません。残留塩素で細菌が"仮死状態"になっているだけで栄養を加えると細菌が蘇生してくるのです。

私は焼結させた珊瑚カルシウムからできたセラミック・ボールが入ったスティックを再生するため、食酢で表面を活性化させました。2本同時に操作を行い、一方だけにフロック状の沈殿が生じたので酢酸が洗い落としてなかったのだろうと思います。このことから、酢酸を栄養源で使う酢酸資化性細菌(acetate utilizing bacteria)が競合する相手の少ない低栄養(貧栄養)条件下で増殖したことを示唆します。一つの探究課題(先行研究の例)として育てることができます。

今回の予期せぬ失敗により、実験室条件下の希薄溶液中でバイオフィルムを形成させる実験の手掛かりを得た感があります。藤井くんは自分で何か実験しようと思い立ち、準備を始めました。私は大学の進学説明会に向かったため面倒をみていませんが、実験は自分で工夫しながら発案し、上達していく面があります。高専及び大学の実験実習も役立ちそうですが、決められた計画を予定通りに終えるだけなら作業と変わりません。試行錯誤することは遠回りなようでいて、実社会で使える思考力を鍛える上で、必要不可欠な学びのプロセスです。

雨の後の水路(野外)と浄水スティックを沈めたペットボトルの中(室内)。対照的な環境条件で、互いによく似たバイオフィルムをたて続けに発見しました。発見したのは、些細な小さなケシ粒程度のことかも知れません。が、部分から発展させていく学習方策が21世紀型のコンピテンシーです。

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画像・左:プラズマ水生成スティック、同・中:1年生(藤井くんたち)が始めた実験、同・右:希薄溶液起因のバイオフィルムの検鏡(左上から時計回りに、位相差x100、墨汁染色x200、グラム染色x1000、細菌細胞を取り囲む莢膜x400)

付記:全く異なる条件や場所で類似した現象を見つけた場合、両者の共通点と相違点を比較検討することで「正解の候補案」(真の意味での「答案」)を導き出すことが可能です。以前、山口県の実験サイトと広島県の修景池によく似た微生物が出現して困惑(puzzled)した事例があります。両者の共通点は水道水中残留塩素の介在で、塩素抵抗性のある抗酸化力を備えた粘液層を持つ真菌でした。

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