アート&サイエンスコース
2016.11.03.Thu
今年度、大阪校のスーパーサイエンスコースでは、(株)リバネスとウシオ電機(株)が企画したサイエンスキャッスル研究費ウシオ電機賞へ応募する挑戦を行いました。プロポーザルは『バイオマス素材の加水分解活性簡易アッセイ法の開発』でした。
結果は不採択に終わりましたが、申請者代表を務めた信宮純さん(高校3年生)にはインターネットの通信アプリ(FaceTime)を使った斬新な遠隔プレゼンに、特別に勤務時間の枠外で臨んで戴きました。それは学校教育課程の中で長い空白期間を持つ信宮さんにとって不慣れで重荷であったでしょうが見事、大きな成長を遂げてくれたことがわかります。これは通信制高校が持つ社会的な役割の一端を果たせた証しとなるかと思いますので、ここに謹んで紹介させて戴きます。
応募の趣旨は、ウシオ電機が開発した掌に乗る小型サイズの分光光度計(溶液の色の濃度を測定)を中高生の理科実験に使える案を募集するものでした。全国で30校の応募があったそうです(大阪校も、その一角に食い込んだことになります)。私たちは淀川のワンドや干潟で生態調査を行っています。そのような水環境にはヨシ(植物)やエビ・カニ(甲殻類)の脱皮殻が遺骸として放出されますが、微生物の分解によって消失します。これらの生物遺骸は、それぞれセルロース分やキチン質と呼ばれ、環境中で生産されるバイオマスとして各々、1位2位を争う位置づけにあります。生物遺骸の分解活性を迅速測定する簡易手法を開発しようと試みました。
❏リバネス東京本社・中嶋香織さんから戴いたコメント(抜粋):「探究活動への姿勢や研究の出口を見据えたテーマ設定が高評価でした。また、年齢を超えたチーム形成をはじめ本研究を進めることの教育的価値は極めて高いと感じています。」と、市民活動に参画する部活や実験観察を中心とする通学コースの価値を評価して戴きました。
❏信宮さんから参戦を終えてのコメント(全文):僕は人に言伝てする事が物凄く苦手だった。だから、いつでも人に気持ちや想いを伝える時には、手紙にしたり、メールやLINEやブログといった、とにかく"文字"というものに頼り切ってしまうフシがあり、去年も大観衆の前で登壇した際、その苦手意識から来る緊張で思い通りの発表ができない苦い経験もあった。その克服は一生の課題であり、同時に難しい障壁だと自覚していたのだが先日、リバネス本社のオンライン面談を終えた。僕は先生の推薦で挑戦してみると、ここでのプレゼンが思いの外に上手く行ったのだった。何度かの練習で予め用意していた言葉が本番で全く出て来ず、口を衝いて飛び出したのは自分でも想定外の言葉だった。
これには、とても驚いた。対面する相手に対し解ってもらおうとする真剣な気持ちから直感で言葉を選び、一切のタイムラグもなしに "言葉に心が乗った" 感触だった。初めての経験である。
これは、普段における「環境保全クラブ」の部活動で多種多様な人々との交流における意見交換がもたらした賜物なのだと断言できる。お互いの職業や肩書きや立場が違う者達が多く集まる中で、いかに自分自身を知って貰うか、また相手から有益な話をどう聞きだすのか、この実戦経験こそが僕の最も苦手としていた"口頭での言伝て"という最難関の課題を容易く克服させるに至った。感謝したい。
僕は、人に変化をもたらす事こそ、学びの本質であると知った。逆に、訓練して決まり切った正解に辿り着く従来の学びのやり方をスキップしても、足りない部分を補い後から穴埋めすれば、人は常に成長し続けられるものだと、そう信じたい。
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画像・左:バイオマスの代表(甲殻類の殻、沈水落葉)、同・右:「色素-基質複合体フィルム」を用いたアッセイ系(左)およびプレゼン講評の文書、同・下:信宮さんからの珠玉のメッセージ
追記:リバネスからの文書に書かれた講評は、数行にも及ぶ丁寧なコメントが添えられていました。私自身の同程度の人数の記述式レポートに講評を書き込んだ経験もありますが、大変な労力です(講評する側にも良い学びになるのを知っています)。このような大変な作業を当たり前のように実行できるのが、リバネスの新しい教育の実践活動と受けとめました。当方が通信制高校であり、社会人高校生も在籍している事情を汲み、教育実践にご協力戴けたことに厚く感謝いたします。大きな成長力を備えた実践活動が、実現したことになります。なお、全国の採択校の皆様、研究を頑張って下さい(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。
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ルネサンス高等学校 (大子校)
2021.03.02.Tue
ルネサンス高等学校 (大子校)
ルネサンス高等学校グループは、全国に3校(茨城、愛知、
大阪)、連携キャンパス及び受付・相談センター(東京・新宿代々木、神奈川・横浜、愛知・豊田、名古屋、大阪・梅田、広島、福岡)
を置く広域通信制高校です。
どんなタイプの方でも、安心して学習し卒業できるシステムを構築し、生徒一人ひとりのライフスタイルに合った"学び"を提供しております。
「登校してしっかり学ぶ」「友達を作って学校生活を楽しむ」という学校が多い中、最短年4日の登校で高卒資格が取れる学校は多くはありません。
一方で本当に高卒資格が取りたくても、仕事が忙しくて登校できない、子育てで手が離せないなど様々な事情で、学校に行きたくても行けない方がたくさん居るのも事実です。
ルネサンス高校はそういった方のニーズに答えるために生徒に負担のかからない授業やレポートシステムを作り、14年経ちました。卒業生も約15,000名となります。
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