アート&サイエンスコース
2016.12.19.Mon
前回、Colpodaのシスト化(encystment)の撮影に成功しましたが、今回はリバーシブルな反応である脱シスト(excystment)過程を半連続で動画撮影することに成功しました。共通するのは、細胞がクルクルと回ることですが、今回は殻を破って虫体が泳ぎ出す所まで追跡しました。
シストの休眠状態を破るには、栄養を与えれば眠りから覚めます。今回、酵母エキスを溶いた液をスライドガラス上に垂らし、眠りを破ることにしました。休眠した生命が目覚め、鼓動を打ち始める様子はエヴァンゲリオンのオープニングを彷彿とする雰囲気。
それぞれの動画セグメントごとに、簡潔に観察所見を記載しておきます:
00 休眠シストに酵母エキスを与えた直後からシストの中で何かが動き出します(暗視野)。
01 シスト形成時の時と同様に、シストの中身だけがグルグルと自転し出します。
02 シストの内部に大きな液胞ができます。
03 内部に顆粒状のモノが目立ち、やや複雑に回転し続けます。
04 外側の二重の外殻をコートのように脱ぎ捨て、中身の近傍に付着して残ります。
05 外殻を付着させたまま本体は活発にクルクルと回転し続けています。
06 内容物が歪(いびつ)になりながらも時に、回転方向を変えて回転しています。
07 本体の外側に薄い膜が見えてきて、回転する本体との間に隙間が見えてきます。
08 薄い膜に囲まれた空間の中を、本体が勢いよく回転し続けています。
09 しばしば回転方向を変えながら、本体が勢いよく回り続けています。
10 内容物が球体から異型化が進み、大きく軸をぶらしながら回転します。
11 内容物が平たく変化し、大きく運動すると球体の空間を拡げています。
12 球状の空間が拡大する一方、内容物はColpodaの原型を復元しています。
13 球状の空間の中で、Colpodaの形状をした本体が大きく暴れている感じ。
14 Colpodaの原型を取り戻した本体が球を作る薄膜を押し広げていく感じ。
15 衝突するため薄膜が歪みます。ついに薄膜を突破してColpodaは外へ泳ぎ出します。
最初に脱いだ厚い殻はextcyst層、内側に作られた薄い膜構造はendocyst層と呼ばれます。ちょうど卵の殻が厚い殻と内側の薄い皮で構成されている感じにも似ています。endocyst層の内側の空間は、まるで羊水に当たる LCL で満たされたエヴァのコックピットのようです。創作が現実に似るのか、現実が創作を彷彿とさせるのか、世にも不思議な世界を覗いた感じがしました。
驚いたことは、Colpodaが脱シストする動画は"Google"や"Youtube"で検索したら世界中の何処かにはありそうなものですが一切、見つからなかったことです。小・中学校向けの実験動画は多数ありますが、ちょうど高校から大学へ至る実験・観察となると、動画リソースに乏しいのかも知れません。実験材料としても価値があると思いますので今後、教材化する学習方策を進めていく方針にします。本件に絡んで新規投入した開発経費も、ゼロで済みました(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。
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画像・左:栄養に接して眠りから覚めた直後(静止画・暗視野)、同・中:脱シスト、すなわち再生したColpodaがシストの薄膜を破って飛び出す直前(静止画)、同・右:Google(あるいはYoutubeのサイト内)で「Colpoda_excystment」で動画を検索しても、類似のデータを含めて世界で17件しかヒットせず、かつマッチング100%の関連動画は現時点(2016年12月19日現在)で皆無でした。
付記:細胞がグルグルと自転しながら休眠シストになったり、逆にシストが自転しながら栄養細胞へ戻ったり・・と細胞内容物がサナギの中身のように変性して復元していく印象があった。あるいは、タンパク変性を助けるタンパク、"シャペロン(shaperon)"が細胞内容物の可逆的な転換に関係しているのかも知れない。このタンパク質をコードする遺伝子の有無が、Colpoda などシスト形成能のあるプロチスタの耐乾性を決定づけているのであろう。
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ルネサンス高等学校 (大子校)
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ルネサンス高等学校 (大子校)
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を置く広域通信制高校です。
どんなタイプの方でも、安心して学習し卒業できるシステムを構築し、生徒一人ひとりのライフスタイルに合った"学び"を提供しております。
「登校してしっかり学ぶ」「友達を作って学校生活を楽しむ」という学校が多い中、最短年4日の登校で高卒資格が取れる学校は多くはありません。
一方で本当に高卒資格が取りたくても、仕事が忙しくて登校できない、子育てで手が離せないなど様々な事情で、学校に行きたくても行けない方がたくさん居るのも事実です。
ルネサンス高校はそういった方のニーズに答えるために生徒に負担のかからない授業やレポートシステムを作り、14年経ちました。卒業生も約15,000名となります。
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