摩訶不思議な生物「珪藻」の総説を書く学び(2018年07月06日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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摩訶不思議な生物「珪藻」の総説を書く学び(2018年07月06日)

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摩訶不思議な生物「珪藻」の総説を書く学び(2018年07月06日)

摩訶不思議な生物「珪藻」の総説を書く学び(2018年07月06日)

珪藻(diatoms)は、海洋にも陸水にも生息している微細藻類(microalgae)のグループです。多くは顕微鏡で見えるサイズですが、単細胞の個体が糸状性の群体を作ることで、肉眼でも珪藻の存在を藻体の塊として認識できる場合もあります。珪藻の分類は、歴史的に被殻の形と模様(微細な孔の配列)で行われてきました。

摩訶不思議な理由が、その細胞壁の構成成分で何とケイ素(Si)が重合した珪酸ガラス質です。工業用ガラスの原料は硅砂、つまり岩石です。火成岩の成分にはケイ素を含む石英が含まれ、それが多いほど白っぽい岩石となります(例えば、花崗岩)。通常、植物は炭素成分を重合したセルロース(繊維素)ですが、炭素は空気中の二酸化炭素を植物が光合成で固定した材料です。どうですか? ケイ素は陸上の岩石が雨で洗われて溶け出して川を経由して沿岸に、長い時間を掛けて運ばれてきた成分だと見て良いかも知れません(海流が衝突して起こる湧昇流が発生する海域でも、ケイ素は海の深層から表層へ運ばれる可能性も考えられます)。珪藻の海洋制覇がゴツゴツした岩盤がむき出しだったであろう地質時代(3,500万年前)に、岩石から溶出したケイ素の細胞壁を身にまとい*1、一大勢力を伸ばしたと私自身がイメージできた理由です。

*1 生物が取り込んだ無機物を素材に体の一部を生合成する作用のことをバイオミネラリゼーションと呼ぶ。

サイエンスコースの課題としては、丹治遥さん(1年)がメロシラの大量培養として担当しています。あいにくこのところの台風が梅雨前線を刺激したことによる西日本の大豪雨で河川が増水し、2週間は影響が残ると思います。河川の生態系はこうして洪水でリセットされた後、生物群集が(山火事の後の森林や草原と同様)復活してきます(これを二次遷移と呼ぶ)。待てば、むしろ活きの良いサンプル採集が期待できます。

その間、丹治遥さんには、アンテナ(レンズとも言えます)となるよう、暫定的に一つの作業仮説を共有して、総説(レビュー)を書く指導を行います。日本の大学でも総説を書く指導をしている授業はないと思います。これは日本では、総説は当該分野の重鎮が書くものだ・・という間違った認識が流布しているためです。事実は全く異なり、むしろ入門者こそ総説を書くべきと言うのが世界の高等教育機関の共通認識です。

この手の指導こそ、大学には不向き。幅広い視野が持てる高校時代にピッタリの教育デザインと考えます。異分野や異業種を意図的に繋いでいくことが、タコツボ(高度専門)化してしまいがちな日本の教育・業務の弱みを是正し、異なる分野の者同士が対話していくことで、新しい突破口を創り出すことを可能にします。しかも、総説を書くということは、読者に届けるサービスを意味します。これからの時代に必要不可欠な素養となることに疑う余地はありません。違いますでしょうか?(文責:教育デザイン室長・竹内 準一

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画像・左:おはじきを重ねたような珪藻の質感(軽井沢の湧水池で採取したアウラコセイラの体細胞をフクシンで単染色して珪酸重合体の被殻を強調)、同・中:同じ素材を拡大(風乾した際に細胞質が縮まって染色されたため、中空となった細胞の中がガラスを通して観察でき、被殻表面に付着細菌*2が確認できる)、同・右:珪藻の被殻が集まった微化石となった珪藻土(上段:明視野検鏡、下段:暗視野検鏡;位相差)

*2 珪藻の被殻表面を模し、スライドガラス表面に移入(colonize)する細菌群集のダイナミズムは、期待の新人・今村奏音(1年生)さんに試験方法のプロトコル作りを担当してもらう方向で調整中です。

謝辞:珪藻土の試料(ご自分で岡山県の蒜山高原で採取)を譲って戴いた広島県の錦川鯉さんに深く感謝いたします。早速、水に分散させて検鏡したところ、海産珪藻のコシノディスカスCoscinodiscus)属に見えましたので海洋起源でしょう?と指摘したら、採取地点の情報を戴きました。何と堆積環境は淡水湖で、およそ5万年間で100m以上に珪藻遺骸として体積し珪藻土となった模様です。鯉さんの珪藻土を掘りに行ったよ・・というエピソードに感化されて、私も花崗岩を貰いに採石場へ足が向いた、と言うのが真相です。いつも心地よい刺激を下さる方です。ありがとう(竹内記)。

付記:コシノディスカス(ラテン語に近い読み方では、コスキノディスクス)は近年、串団子のように連鎖するタラシオシーラ(Thalassiosira)属に移されることが多く、この属が海域から淡水域へと進出した時期は、前期中新世(2,300万年前)で湿性の雑草(イネ科植物)が進出してきた時期と一致します。その後、世界最古のバイカル湖やタンガニーカ湖(いずれも2,000万年前)や琵琶湖(400から600万年前)ができ、上記の珪藻土の産する蒜山原湖が生まれたのは、35万年前と推定されています。すなわち、海洋に起源があった海産珪藻の休眠胞子が陸上の湿地や湖沼という新しいニッチが生まれたことにより淡水域へ進出してきたというストーリーが描けそうです。なお、同じく海産珪藻のキートケロス(Chaetoceros)属の休眠胞子が爆発的に増えた前段の準備段階での現象は3,400万年前に起こっており、その地質学的な時代背景も実にダイナミックに推測されています(須藤斎、2008)。ただし、大陸の配置の変化によって海流の流れに変化が生じた点を重視し、私共が前回、読み解いたような珪藻の光受容特性を考慮し、何らかの理由(可能性としては火山超噴火小天体衝突で)粉塵が地球を覆って透過光が現象したと言う環境因子には触れられていないようです。古環境の解析は、正解のない問いの典型です。常に推測の域から出ることはできませんが、ワクワクしてきませんか? 時期が異なりますが、小天体の衝突によって海洋環境の生態系を撹乱後、速やかに回復したという私立大学*3研究が最近、報告されていました(竹内記)。

*3 最近、私大の設備や制度面で改革が先行し、躍進しているように感じます(日本私立大学連盟サイト)。

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