「ほとぼりが冷める」を科学実験する試み(2020年05月05日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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「ほとぼりが冷める」を科学実験する試み(2020年05月05日)

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「ほとぼりが冷める」を科学実験する試み(2020年05月05日)

「ほとぼりが冷める」を科学実験する試み(2020年05月05日)

世界も日本も、新型コロナウイルス(covid-19)に翻弄されています。何となく皆が薄々感じているであろう感覚=「ほとぼりが冷める」事象の有無を理科室で検証できないかいものかと先日、ふと思い立ちました。

ウイルスを扱える実験設備はありませんので、生物学的に同じパラサイトとして括られる寄生虫を扱うことにしました。以前、感染履歴を持つ水槽が理科室にあり、1か月半前には投入したグッピーが寄生されました(活物*1寄生するギロダクチルス、及び死物*1寄生するキロドネラが組んで、両者がスクランブルしてグッピーに襲いかかる奇襲作戦の全貌まで把握済み)。

*1 活物/死物という区分は最近、使われなくなったが、厳然として給餌する場合にも差異が認められる。例えば、ウーパールーパー(両生類)が陸化したメキシコサラマンダー(アホロートル)は原則として生餌しか摂食しないが、ペット化したウーパールーパーには固形飼料(キョーリン)が開発されたので飼育が楽になった。

常識的には当然、無謀と思われます。が、教員向け実験研修(光合成)会用に用意した水草(オオカナダモ)が水槽に設置したLED照明の効果もあって繁茂し、水草からはサカマキガイも多数、発生しました、水槽内の光景が野性味を帯びてきて"ほとぼり"が冷めた感が漂い今回、新たにグッピーを入れても「何とかなりそう」な予感*2がしたのです。

*2 科学実験の始まりって、こんな勘が勝負の世界です。このセンスを養う訓練こそ、正解のない実務や研究で勝負を決めるのです。"神のみぞ知る"世界へ立ち入る入口です。これが、当コースでの学びスタイルなのです(口頭試問を行うことで、閃く力量は見抜けます)。

投入して2日目(5日)、水面に稚魚が数匹、見つかりました。この寄生虫が発生する環境でも繁殖が始まりました、2つの解釈が可能です。健全な環境だから子孫を残したか、成魚本体が危険を察知したので慌てて子孫を産み落としたのか・・です。

仮に集団(初発の3ペア、6匹)の一部がパラサイトに感染したとして、感染は拡大するのでしょうか? どうしたら伝播を抑止できるのでしょうか? 最終的には、どこかで安定化して、"折り合い"がつくものなのでしょうか? 寄生虫に感染に対して抵抗性を持つ子孫が最後、選択されて来るのでしょうか? 考えて行くと、いろいろと疑問が尽きませんね。

これが当コースの伝統_正解ない問いに挑戦する学びスタイルです。正規の学校カリキュラムの実験では決まった既成事実の追認に留まります。仮説実験授業でも正解が確定した条件で、お手本をなぞる活動です。小・中学生なら喜んでくれるでしょうが、大人になる一歩手前にいる高校生を相手に、正解が隠された科学実験でワクワクして貰えるのでしょうか?

第一、今、社会を騒がしているウイルス禍と同一とは言えませんが、そこには同じ原理原則が働いている感じがして来ませんか? 根本命題は、宿主を殺してしまう寄生虫はいつ、何処から生まれ、なぜ宿主を殺してしまうのでしょうか? 答えられる専門家はいません*3

*3 この研究領域を扱っているような研究室(米国 Johnson Laboratory, UCB;英国 Cable Laboratory, Cardiff Univ.)には、ResearchGateを通じて論文請求したことがあります。

仮にすべての宿主を殺してしまう*4としたら、寄生虫自身も種を存続できないので不合理です。考えらえるのは、そこに何らかの"選別"が起こると予測される可能性です。恐らくは、集団の中で衰弱した個体が餌食になるのでしょう。私は繁殖より研究が目的なので、寄生虫の"元タネ"が尽きてしまうことも案じ、絶妙なタイミングで実験を始めた内情もあります。

*4 活物寄生型ギロダクチルスは生きている魚体にしか寄生しない。北欧のアトランティックサーモンを全滅させるほど猛威を振ったが、英国(ブリテン島)には拡散しなかった。一方、キロドネラは通常、死物寄生型で遺体処分屋(スカベンジャー)で前回、生きている魚体にも侵入し、血球を捕食するほど獰猛に変異した様子です。原生動物キロドネラが、餌食の存在しない環境下、どのような形で生存しているのかも謎に包まれています(休眠細胞らしき状態を見ているが、確定的ではない。道なき道はこんなもの)。

寄生生物の活動は、火山活動とも類似して、「活動期」と「休止期」があるように感じられます。一旦、火が着いて勢いに乗ってしまったら手が付けられません(前回の経験では)。が、果たして時間を空けたことで"ほとぼり"が冷め、宿主と寄生生物が"折り合い"をつける日が来るのでしょうか? それが、コロナ禍に晒されている今日的な命題*5です。

*5 ウイルス学の研究者らは、人間とウイルスは共存して行くことになると言う趣旨の発言を異口同音に述べている。実は、ヒトゲノム中にウイルスに由来する遺伝子配列が含まれていることは古くから知られ、最近の研究で4,000万年前、人類誕生以前の共通祖先の進化の途中でウイルスを取り込んでいるらしい。

今後、グッピー個体が全て忍び寄る寄生虫の餌食になってしまうのか、パラサイトに対する抵抗性を獲得できた系統が選択されて生き残って行くのか、その顛末は誰も知りません。これが、当サイエンスコース流の学びです。ドラマのストーリー仕立ては、ヒトとウイルスの関係と異なるのですが、生物学としての原点に遡れば何か彷彿とさせる一面があるでしょう(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

画像・上段左:オオカナダモ(アナカリス)が繁茂した水槽内を泳ぐグッピー成魚、同・上段中:サカマキガイの匍匐行動(動画)、同・上段右:水面近くを泳ぐ稚魚(動画)、同・下段左:酵素抗体法の解説図(竹内原図)、同・下段右:酵素抗体法による原放線菌の細胞検出例(ヤクルト中央研究所附属分析センター提供)※酵素抗体法の画像は、職員有志で制作した『エアレーションタンクの微生物-検鏡と培養の手引-』(日本下水道協会、1990年)より抜粋。公務員が出版を企画し、執筆し、説明会(講演会)を開くところまで実施した。

付記:新型コロナウイルス(covid-19)の感染の有無(陽性・陰性)を巡っては、用語と内容の不一致から誤解を招く心配がある。ヒトに対する感染の「因果関係」として捉えるなら、PCR検査と抗体検査ではまるで意味が異なる。端的に言えば、PCRは標的とする遺伝子の配列の一部(プライマーと呼ぶ)を使って、一定の領域の遺伝子断片を特異的に増幅する手法で、存在の有無=感染が起こる潜在的な可能性を知る方法である。PCR試験それ自体は理論上、高い感度を持つが、現実的には①サンプリングミス、②抽出効率、③RNAの損壊、④プライマー選択、⑤PCR反応系のバラツキなど、現実は理論と異なるのは当然であろう。私自身は世界的に未着手だった窒素循環系で最後の機能遺伝子に対し、英国の分子生物学研究室(当時は若かったTerryが後継者)でPCRプライマーの設計から挑戦した経験がある(2006年印刷公表)。

PCRが実用化したのは、私が社会へ出た1985年以降である(理系の教育には"賞味期限"があり、私が大学・大学院教育を受けた時代にPCRは確立されてなかったのだ)。それ以前には、抗原抗体法(または菌体成分をバイオマーカーにする化学分類学的手法)が遺伝子解析に至るまでの中継ぎ的に研究手法として利用されてきた。初期にはポリクローナル抗体を作成するのにウサギに死菌を注射(通常、2段階に)し、全血採血し、血清(抗体)を回収し、精製する。基本的に標的細胞が持つ表面抗原(タンパク)と特異的に反応する化学物質をウサギを飼育しながらウサギの身体を"工場"に見立て生産し、最後はウサギを殺してしまう方式なので、これは東京都職員時代にはプロジェクトを立て、抗血清はヤクルト中央研究所へ外注した(1993年学会発表)。免疫抗体も理論的には極めて鋭敏だが得意性が強過ぎ、大腸菌の場合は用いた菌株としか反応しない(特定の菌を環境中に投入し、追跡したい場合には好都合)ことがわかった(いわゆる"血清型")。また、ノカルジア型放線菌には細胞壁に持つミコール酸が共通するためかグループ種間で反応が被る("交差反応"と呼ぶ)ので属を見分けたり、突出した分類群(例えば、束村博士にちなむTsukamurella属)が確かに独立峰として識別できることは確認した。結局、実用化(商品化)できたのは、硝化細菌(当時、大阪・発酵研究所IFOで売られていた菌株)だけであった(商品名『検出くん』*6)。ポリクローナル抗体の弱点はウサギに作られた抗血清が有限なことであり、現在では細胞培養でモノクローナル抗体化することで、特異的な部位に反応する抗体が細胞培養が継代できる限り生産可能である(竹内記)。

*6 抗体は菌体の表面抗原に対し特異的に反応する分子なので、まるで"糊"のように、かつ"鍵"と"鍵穴"のように結合する。後は、抗原に結合した抗体の識別に何を標識とするかで多彩なパターンがあり、①蛍光色素なら蛍光抗体法、②酵素反応による呈色なら酵素抗体法(画像参照)、③ラテックスビーズに抗体を吸着させると感作ビーズ法となり、対象の細胞が細菌のように小さい場合はビーズを核に細菌細胞が凝集し、逆に糸状細菌のように大きい場合には細胞にラテックスビーズがテンプラの衣のように貼り付く状態が顕微鏡で観察できる。抗体が持つマスキング機能によって当然、免疫抗体は治療行為にも有効である。

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