好きなこと、やりたいことを仕事にするのは難しい?
2017年5月22日
教育は「洗脳」か?

「好きなことが全くない!」という人は少ないと思う。しかし好きなことをやる、やり続ける人は少ないのではないか。
何故か? 「教育」のせいではないだろうか。
小さい時から、勝手なことするな、決まりを守れ、友達と仲良くしなさい、親の言うこと、先生の言うことを聞きなさい、真面目に勉強しなさい、いい学校、いい会社に入りなさい、などなど、結局その時点での常識が無意識のうちに染み込んでしまう教育を多くの人が受けている。
ある人が言っていた。学校教育の欠点は、勉強だけでも英数国理社その他色々な教科を平均的にバランスよくやることを強制される。しかし好きなことは人様々で、やりたいことは一つか二つで偏っているものである。好きなことに打ち込めないような教育を生まれた時から、散々強制されてきた人が大半なのである。つまりバランスよく平均的に、真面目に勉強する人が、親からも教師からも、社会からも誉められる。いわゆる皆が優等生になることを目標にする教育が、当り前のこととして、社会総がかりで行われている。好きなことがあったとしても潰される、そしてやりたいことに使う時間がほとんど無いようになってしまう。
そもそも漫画大好きで漫画ばっかり読んでいたら、「漫画ばっかり読んでないで勉強しなさい」と言われる人が大半だろう。少なくとも「いいね、面白いね、どんどん読みなさい」とは言われない。
こんな人生を15年近く送っていたら、個性が強い、家庭の理解がある、いい先生に出会えたなどのいわば「運のいい人」以外は、何事もほどほどにやることになる。やりたいことに打ち込むどころか、好きなこと、やりたいことはない、という高校生が増えるのは当然のことかもしれない。その上「漫画でメシが食えるか!」と脅かしを受ける。
「浮ついたこと考えてないで勉強しなさい!」と説教される。実は親、教師も同じことを学校時代に言われていたのである。歴史は繰り返す。やりたいことをやらせない教育は本当に根深い。なめてはいけない。これがホリエモンのいう、『すべての教育は「洗脳」である』、教育=洗脳(根拠のいない教え込み)かもしれないのだ。
時代の変化ということもある。機械化がどんどん進み、人間の頭脳も人工知能にとってかわられるかも、という時代である。機械でもできる無個性な仕事はなくなっていく。給料がいい、と言われる銀行だって、少なくとも窓口業務はほとんどなくなる。もしかしたら融資業務ですらAIがやってしまうかもしれない。
勉強だって基本的なことはAIが教える時代が来る。先生の仕事は、例えば勉強を好きになってもらう仕事になるかもしれない。好きこそものの上手なれ、で打ち込む人が必要な時代になる。やりたいことをやっている、ユニークな人が必要な時代になる。
好きなことで飯が食えるか?

そもそも好きなこと、やりたいことに打ち込むことが、人生の大目標なのである。
人生を旅に例えるなら、どこに向かうか決めないで生きていくことは、目的地のない、漂流するような旅、人生になる。漂流する人生がやりたいことであれば、それはそれでいいと思うが。つまり無目的で最初は生まれてきた人生の目的を見つけ、好きなこと、やりたいことに打ち込むことが人生なのである。それがないと生きているだけになって、そもそも楽しくない。生きているだけだったら、動物と一緒かもしれない。食えない、仕事に就けない、と言われると、ビビる。それが普通だ。
しかし若い時から挑戦すれば、仮にだめでも、やり直しがきく。えっ!本当か。寿命が延び、やり直しがきく、再チャレンジがきく時代がやってきた。食べるだけなら困らない時代がやってきた。失敗を怖がったり、世間並みな努力で特別有利な立場につきたい、というのでなければ、好きなこと、やりたいことをやるリスクは低減してる。むしろチャンスが広がっている、と思うべきだ。好きなことでメシが食えるか、と心配する前に、挑戦してみることが大切だ。プロになるには、10年間が必要だ、という。15歳から挑戦したら、25歳だ。まだまだ若いではないか。
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著者:桃井 隆良 日本の教育の改革を志し、内閣総理大臣から「教育特区」として認定された茨城県大子町にルネサンス高等学校を2006年開校。その運営法人となるルネサンス・アカデミーの代表を務め、2011年にはルネサンス豊田高等学校、2014年にはルネサンス大阪高等学校を開校。現在は「新しい学校の会」の理事長も務める。 |
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