大手企業に入れば安泰な人生を送れるの? 【第三章 6】
さて今回は、ちょっと難しいかもしれませんが、日本の経済的な変化の話を中心とした社会の歴史を振り返ってみたいと思います。 なぜそんなことを解説するかというと、自分と向き合って自分の目指すべき夢や方向性を考える時に、世の中がどのような仕組みで動いていて、 また、歴史とともにどう変わってきたのかということを知っておくのは大変重要だからです。 また、今の社会の情勢は昔とは違いその中で自分はこう考えているということをちゃんと説明できるのは、これから先とても大事になってくると思われるからです。
第二次世界大戦が1945年に終了した後、日本は敗戦国として将来が見えない状態でした。 しかし、1950年代から1970年代にかけての間、日本は世界中が驚くような猛スピードの経済復興を成し遂げます。 みなさんも「高度経済成長期」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。電気製品や自動車を中心にさまざまな分野で日本の産業は発展し、海外への商品の輸出も増え、 日本は敗戦国からまたたく間にアメリカに次ぐ経済大国へと急成長しました。
この時代の日本の会社の成長を支えたのが、「会社の発展のためにみんなでがんばろう」という精神と、「終身雇用」「年功序列」という仕組みです。
「終身雇用」というのは、一度ある会社に入ったら、基本的には定年退職するまで安定してその会社で働いていられるという仕組みです。 これによって安定した生活ができますので、会社のために一生懸命に仕事をすることができます。社員寮や社員旅行といった福利厚生制度も発達しました。
「年功序列」というのは、主に、歳をとればとるほど会社で偉くなって、その分給料が上がる仕組みのことです。そのため、ずっとその会社にいて長く働くというモチベーションが高まりました。 退職金でたくさんのお金がもらえるという制度も普及しました。
これらをはじめとする、社員に対して優しい会社の各種制度が充実することによって、会社の成長という共通の目標に向かって社員が一丸となって働くことが可能となり、 それが日本の驚くべき経済成長の原動力となったのです。
そして今、高度経済成長は昔の話となり、日本社会は成熟社会とも呼ばれるようになりました。 これは別の側面から見ると、経済の成長が止まり、停滞の時代を迎えているということでもあります。 かつての経済大国の地位も、中国に追い抜かれてしまいました。人々の生活は昔に比べて物質的には豊かになりましたが、景気は低迷し、企業の業績も芳しくありません。
経済成長を支えた「終身雇用」「年功序列」といった制度も崩れ始めています。どんなに大きな企業に就職しても、一生そこにいられる保証はなくなり、 会社が業績不振になれば、いつクビになるかも分からなくなりました。「リストラ」によって、しぶしぶ会社を辞めざるを得なくなった人も年々増えています。 また、日本を代表するような大きな会社だって、あっという間に倒産してしまうようなことも起きています。
昔は「いい大学に入って大きい会社に就職する」ということが成功の証とされていたのが、今では全くそんなことがなくなり始めているのです。 かつて「会社を成長させる」という同じ目標に向かってみんなで進めばよかったものが、今ではそうした目標は持つことができません。自分がいつその会社からいなくなるかわからないのですから。
みんなで一丸となってがんばるというのももちろん大事ですが、それ以上に今重要なのは、 個人個人が何ができるのか、何を得意としているのかということです。 自分が生きていくためにどんな力を持っているのかということです。ある意味、高度成長期よりも大変難しい時代になっているとも言えます。「こうすればいい」という決まった道筋がないのですから。
でも不思議なのは、そうした時代の変化を目にしながらも、それに対応できるような教育の改革などがあまりなされていないことです。 若い頃からの個性や適性に合わせた教育がなかなか実施されておらず、昔ながらのやり方がいまだに主流を占めています。普通の高校や大学でビジネスについて学ぶ機会が少ないというのも問題の一つでしょう。 ビジネスのことは会社に就職してから学べばいいという昔ながらの考えが、なぜか今も強く残っています。
若い頃からビジネス社会との接触の機会を持てたり、自分の将来についてじっくり考えることのできる時間を持てる通信制高校は、 こうした状況に一石を投じることのできる存在と言えるかもしれません。
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