化学用語及び概念をやさしく解説:キレートを例に(2016年11月10日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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化学用語及び概念をやさしく解説:キレートを例に(2016年11月10日)

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化学用語及び概念をやさしく解説:キレートを例に(2016年11月10日)

化学用語及び概念をやさしく解説:キレートを例に(2016年11月10日)

生物学では、化学を「道具」として用いるが、なかなか「概念」にまで迫ることはありません。生物学でも、水や土壌、生物体の化学分析をする場面には遭遇します。そのためキレートという用語の使い方を心得ていますが、化学的に厳密に概念を説明する機会はないのです。それは、例えばメガネを掛けている人でも、そのメガネの作り方を知らない事態とも酷似しています。

化学に関心を抱くスーパーサイエンスコースの岩田祐樹くん(2年生)は、そこに強い拘りがあります。ですから自分の力で理解しようと務めていました。が、日本語で書かれた教科書やサイトの説明は、保守的で前例を踏襲していることが多いものです。例えば、キレートをに日本語版の Wikipedia で調べても、「複数の配位座を持つ配位子による金属イオンへの結合をいう。このようにしてできている錯体をキレート錯体と呼ぶ。キレート錯体は配位子が複数の配位座を持っているために、配位している物質から分離しにくい。これをキレート効果という。」で、読み進んでも依然、難解です。

概して、日本の学問では正確を期する余り、大胆に解りやすい説明を試みようとする姿勢が弱く、得てして保守的な記述を踏襲してしまうことが多いものです。時には、学問的な厳密性を多少は犠牲にしても、近似的な説明があっても構わないと私は思います。私の分野(微生物学)では以前、高圧滅菌(オートクレーブ)と乾熱滅菌を違いを「湿ったモノ」を滅菌するか、「乾いたモノ」を滅菌するか・・と実用本位で大胆に区分し、実験マニュアルで記述したことがありました(前例はありませんでしたが、藤田正憲・元阪大教授からは「教科書としても使えますね。」と評価して戴きました)。

英国の細菌学者のST Cowanは臨床材料から分離される細菌を大胆な一次鑑別法を考案し、煩雑な細菌分離株の同定作業を簡略化することに貢献しました。このような便法は、遺伝子の塩基配列を解読(シークエンス)する技術が開発されるまでの間、中継ぎ役を果たしてくれたことになると思います(私も助けられた一人です)。

目下、岩田くんは自分で化学を学ぶため、同じように自分が理解し、人に説明できる方法を探索中です。実は、私自身でも自分が納得できる説明の仕方を工夫し、自学自習してきた経緯がありました。今は、それを生徒に向かって自分の言葉で発信している訳です。それは他人や教科書からの取り次ぎでないため、生徒たちの心に響く手応えがありました。私と同じ取り組み方を別の分野で生徒が引き継いでくれている姿勢に対して、心からの声援を贈ります(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・左:析出した物質で汚れた電気ポットの内壁(左側)と洗浄後のピカピカの状態(右側)、同・中:岩田くんが自分で理解できるため書き出したEDTAの化学構造式とキレート作用の概念図、同・右:キレート剤の一種、家庭清掃用クエン酸(結晶・粉末)

付記:クエン酸、酢酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)などの有機物は、金属性の結晶を水に溶かしやすくさせるキレート効果を持ちます(ここまでならば「現象の説明」で生物学が専攻の私でも可能ですが、なぜそうなるのかという「理由の説明」となると、純粋に化学の領域となります)。

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