新宿代々木キャンパス
2015.12.01.Tue
思考力とは何か
思考力を問わなければいけない、という言葉を聞くようになりました。ただ知識を覚えているだけで、考えることができない子どもを育ててしまうことに対する反論として出てきたのだと思います。
それでは、科学の分野での思考力とはいったいどんなものを指すのでしょうか。知識の「量」を測ることは、筆記テストなど一般的なテストを使って簡単に行うことができます。知識の「質」についても、選択型ではなくより抽象的な、もしくは専門的な内容を問うことで調節が可能です(ただし、採点はとても大変です)。
この考え方で思考力を測るテストを作ろうとするとなかなかうまくいきません。どんな問題が解ければ思考力があるといえるのでしょうか。また、その難易度を客観的にどう評価したらいいのでしょうか。もっといえば、その思考力を鍛えて伸ばすにはどのようなことに気を付けていけばいいのでしょうか。
PISA調査
PISA(ピーアイエスエー、ピザ)とよばれる国際学力調査が、経済協力開発機構(OECD)によって3年ごとに行われています。この調査では、問題に対して読解力、数学知識、科学知識、問題解決の能力を15歳の子どもたちがテストを受けることで調べていきます。今年2015年は科学的リテラシーをメインに行われる予定になっています。
このPISAの結果、日本が世界の国々に比べて何位になったのかという情報が新聞などでよく取りざたされるようになりました。直近では2012年に行われた結果を、文部科学省が公開しています。
特に科学的リテラシーに注目すると、2006年以降では最も成績が良く、上海、シンガポールに次いで世界三位になっていることがわかります。
OECD生徒の学習到達度調査~2012年調査国際結果の要約~国立教育政策研究所による
2006年からの調査では日本の学力低下が不安視されていたのですが、2012年の結果は統計的にも有為に成績が上昇していました。そのため、教育関係者はほっと一息ついたのがこの結果でした。
もちろん、2012年の15歳の生徒たちの結果が良かったというだけで、一概に教育が改善したということはできないのですが、一つの成果といえるでしょう。
思考力とは、確かな基礎のもとに未来を予想できること
今度は、PISAの問題をみてみることにしましょう。
OECD生徒の学習到達度調査~PISA調査問題例~国立教育政策研究所による
問題1 太郎さんの結論は、グラフのどのようなことを根拠にしていますか
問題2 花子さんという別の生徒は、太郎さんの結論に反対しています。花子さんは、二つのグラフを比べて、グラフの一部に太郎さんの結論に反する部分があるといっています。
グラフの中で太郎さんの結論に反する部分を一つ示し、それについて説明してください。
問題3 太郎さんは、地球の平均気温が上昇したのは二酸化炭素排出量が増加したためであるという結論を主張しています。しかし花子さんは、太郎さんの言うような結論を出すのはまだ早すぎると考えています。花子さんは、「この結論を受け入れる前に、温室効果に影響を及ぼす可能性のある他の要因が一定であることを確かめなければならない」と言っています。
花子さんが言おうとした要因を一つあげてください。
(OECD生徒の学習到達度調査~PISA調査問題例~国立教育政策研究所による)
PISAの問題は、思考力というよりも基本的な知識をもとに、グラフから読み取る力や推論の力を発揮できるかどうかをみています。
思考力があるということは、その前提として<基礎的な知識が覚えられているかどうか>と、それを<普段の生活の中で使えるようにしているか>ということに他なりません。
知識に対して思考力ということではなく、日々流動的に変わっていく出来事について、習ったことをもとに考えていけるかどうかです。しかし、全国的に『どのような改革がなされて、どのような教育方針によって2012年の結果がよくなったのか』についての明快な資料はありません。こうした問題を解くためには、子どもに特定の解法を覚えさせても意味はないでしょう。したがって、どうして子どもがその問題を解けたのかまで追跡することはできないのだと思います。
2006年から2012年にかけて日本人の学力が上がったことは事実です。しかし、それと<子どもを教えた教育内容や方針>の間に関連があるのかどうかについて考える必要があります。もっといえば、どんな教育内容や方針が適切であったのか、どんなことをやったときには効果がなかったのかについて考える必要があります。
2015年には、科学的リテラシーを主にしたPISA調査が行われます。学力を上げる方法がしっかりしていれば、日本人の学力は2012年と同じ結果になるはずです。そうなるかどうか、結果をまた調べていきたいと思います。
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