通信制高校ルネサンス高等学校

■教育ボドゲ9 デジタルゲーム・アナログゲーム

ルネサンス高等学校

■教育ボドゲ9 デジタルゲーム・アナログゲーム


 あらためて、学校の時間に「ゲームをやってもらう」というとただ遊んでいるようにみられてしまいます。つまり、学校の授業というのは、国語・数学・英語・理科・社会を勉強するためのものであって、それ以外に部活や課外活動があるという考え方なのです。
 もともとこの5教科は中学の内容を基礎に積み上げていくものであるため、学校に行きにくくなった生徒には「5教科」に関連したものを教えること自体で授業への出席が拒否されてしまうのです。

 そうして、考えられたソーシャルアクティビティの時間ですが、ゲームをする時間となっているため、「デジタルゲームを遊んでもいいはず」と考えた同僚がいました。この時間にデジタルゲームを持ち込みたいということでした。デジタルゲームも、やっている人とその周りで見ている人の間に、コミュニケーションが生まれるという説明でした。

 これは個人的な考えではありますが、「アナログゲームの持つソーシャル性」と「デジタルゲームの持つソーシャル性」でいうと、アナログゲームは対戦相手が目の前にいてより相手とのかかわりが大きいと考えています。
 もちろんデジタルゲームの中にはたくさんの種類があり、ゲームの種類によって脳の必要な場所が違うということは間違いありません。
 例えば、モンスターハンターシリーズはそれぞれの協力が必要です。最近、eスポーツとして取りざたされているゲームには、数人で協力するものもあります。一方で、アクション性の高いものはそれほど人と人とのつながりを生み出しません(繰り返し遊んで大好きなゲームになっていくと、そこには人とのつながりができてくることもあると思いますが)

 さて、その同僚が最新のプレイステーションを持ち込み、生徒が最新作のバイオハザードや対戦格闘ゲームを遊びはじめ、一方で自分は変わらずボードゲームを教えているという状況が始まりました。デジタルゲームでは衝撃的な音が次々に鳴りはじめました。
 驚くような音が鳴るたび、びくっとアナログゲームを遊ぶ生徒たちの方がふるえて、そちらをみてしまいます。念のためですが、バイオハザードは年齢制限が問題ないものを選んでいたそうですが、注意をひくという意味ではバイオハザードは本当に優秀なゲームでした。
 コントローラーが2つしかないと二人でしか遊べないからと、コントローラも4つ購入して、デジタルゲームは大人気のようにみえました。音を小さくしてくれとか、別の部屋でやってくれという要請は、「迫力がなくなってしまう」とか「他のゲームと行き来できない」と断られました。

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 それから数週間で、デジタルゲームを遊んでいた男の子のうち一人が「みんなと一緒に遊びたい」といいはじめてボードゲームの方に来るようになり、女の子たちで格闘ゲームを遊んでいる生徒たちが、卒業の時期になっていなくなってしまうと、ゲームを見ていた生徒たちは、「うまい人のゲームを見る」のが好きだったり「○○さんがやるから一緒にみている」ということで、結局デジタルゲームを遊ぶことはなくなってしまいました。

 アナログゲームの方は、上達した生徒もいれば、それほど得意でない生徒もいたものの、違う種類のゲームを試していくことで継続的に遊ぶことができるようになっていました。もちろん、このアナログゲームを遊ぶ時間が勉強をしたい生徒に合わずにこない生徒がいるということもありますが、総数でいえばアナログゲームの方を支持する生徒が多かったということは、自分にとっては自信になりました。たまたま生徒とのつながりがアナログゲームの方が強かったためですが、もしデジタルゲームの方が生徒とのつながりが大きければ、アナログゲームをやる人がいなくなってしまったかもしれません。もっとも、そうだったとしても自分はデジタルゲームを授業にしようなんて思いませんが。
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 結局「ゲーム」という手段を通じて「人とつながる」ことが、ゲームがうまくなることや、強くなることよりも重要だっただろうと思います。そして、ただ「遊んでいる」こととの違いを考えるきっかけになりました。

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