アート&サイエンスコース
2017.02.22.Wed
以前、理科室の水槽で繁茂した糸状藻類、サヤミドロを駆除した代わり、その一部を別の水槽に小型のミナミヌマエビと一緒に温存してきました。すると、この組み合わせが絶妙だったようで無給餌で自然繁殖してくれてました。河脇凌くん(2年生)がネット検索して調べてくれて、ミナミヌマエビが"糸状コケ"を食べている可能性を論じている記事を見つけました。しかし、一般的に呼ぶ水槽に生える「コケ」は日常慣用表現であり「コケ植物」とは違い、植物系統分類学的な意味を持ちません。
昨年6月から長く放置していた間、季節も移り変わり、サヤミドロが成熟して生殖細胞を形成し、見た目が別種の植物のように変わってきました。顕微鏡で観察すると、丸い形状をした生卵器を作っていました。糸状体には分岐も見られるので、サヤミドロ(Oedogonium 属)と近縁なブルボキート(Bulbochaete 属)も混在している模様です。山岸高旺先生(2005)によると、このグループは実験室で維持(粗培養)するのが容易な扱いやすい藻類とのことです(確かに消失しませんでした)。
前稿で"水中から陸上へ進出するように試みて見える"と推測したのは、あながち的外れではなく、サヤミドロの仲間には、陸生(terrestrial)の系統が論文として報告されていました。近年、インドの科学者によって研究されています。また、英語圏では生物科学を議論するサイトが開設されており、サヤミドロの生活史に関する投稿がなされていました。今後、生徒を英語媒体サイトへ参画するよう積極的に支援したい考えです(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。
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画像・左:成熟化した糸状体、同・中:生殖細胞の形成(右端の丸い"生卵器";位相差装置を用いて撮影)、同・右:水槽の前面から繁茂している状態(撮影、竹内)
付記:進化(特に、古生物学の分野で)を論じる場合、Aという生物とCという生物の間にBという中間的な存在があると仮定し、それを"失われた関係"の補完の意で"ミッシング・リンク"と呼ぶことがある。ヒトとサルとの間に、何かが存在していた(猿人が該当)はずだと予測したダーウインの指摘など、最たる例である。今回のケースであれば、藻類の中で最も体制が複雑化したシャジクモなど、藻類とコケ植物の間に位置していたとする見解などが該当しよう。ロマンに満ちた発見の兆しが、時に浮かんでは消えていくのも、実証的データに基づく更新が織りなす科学ならではの醍醐味である。
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ルネサンス高等学校 (大子校)
2021.03.02.Tue
ルネサンス高等学校 (大子校)
ルネサンス高等学校グループは、全国に3校(茨城、愛知、
大阪)、連携キャンパス及び受付・相談センター(東京・新宿代々木、神奈川・横浜、愛知・豊田、名古屋、大阪・梅田、広島、福岡)
を置く広域通信制高校です。
どんなタイプの方でも、安心して学習し卒業できるシステムを構築し、生徒一人ひとりのライフスタイルに合った"学び"を提供しております。
「登校してしっかり学ぶ」「友達を作って学校生活を楽しむ」という学校が多い中、最短年4日の登校で高卒資格が取れる学校は多くはありません。
一方で本当に高卒資格が取りたくても、仕事が忙しくて登校できない、子育てで手が離せないなど様々な事情で、学校に行きたくても行けない方がたくさん居るのも事実です。
ルネサンス高校はそういった方のニーズに答えるために生徒に負担のかからない授業やレポートシステムを作り、14年経ちました。卒業生も約15,000名となります。
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