技術立国における工学人材育成に死角あり(2017年06月24日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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技術立国における工学人材育成に死角あり(2017年06月24日)

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技術立国における工学人材育成に死角あり(2017年06月24日)

技術立国における工学人材育成に死角あり(2017年06月24日)

24日(土)の午後、大阪工業大学梅田キャンパス(OIT梅田タワー)で、5つの私立・工科大学が集まって開催された第1回『工大サミット』に参加してきました。そこで、この国の将来に担う工学系の人材育成に脆弱さがあることを実感したので、緊急にレポートしたいと思います。

内容は、冒頭で文科省高等教育局から村田善則・私学部長がご挨拶に立たれ、続く基調講演では三菱電機株式会社・先端技術総合研究所から水落隆司所長が「企業から工大サミットへの期待~少子化と人工知能の先に見えるもの~」と題し、問題点の解題が為されました。長年、技術立国と謳われてきた日本も、将来推計人口の推移や理系人材の供給比率を見ると、悲惨な未来像しか描けないことが窺い知れます。

企業側から工大に求める人材像として、①基礎学力、②社会課題発見力、の2つが挙げられていました。これは続く5大学の学長が順次、プレゼンする中でも一致していました。しかし、一口で"基礎学力"と発言されている内容を十分に説明し尽し、共有した感はなく、むしろ同一の演者の中でもブレが感じられました(日本語の持つ曖昧さゆえの議論が空転していく例と思います)。高大接続の観点では、ファシリテータ役を務めた高坂栄一氏(進研アド・改革支援室長)のフォローがきめ細かく感じました。

パネルディスカションとフロアとの間での質疑応答に時間を割いた企画側の配慮も見事で、質問者の中には現役の(工科高校で教員志望)高校生もいて、その堂々とした姿勢に聴衆から拍手喝采を受けていました。

会議後は展示パネルの前で、5大学の牽引役を担う芝浦工業大学の村上雅人学長及び同大の院生とニ、三、意見交換する場があり、重要な論点が確認できました。それは、工科大学(及び工学部)を卒業して高校の理科や数学科の教員に採用される道がほとんど閉ざされている現実です。無論、専門高校の枠はあるのですが、工業高校など偏差値教育のシワ寄せを受けています。都合良く技術立国だと称されることはあっても、肝心の技術者教育が高校教育課程全体の中で圧迫されてきた次第です。戦後の困窮期の"安あがり"な教育を経済成長して豊かになった後も、受験対策を動機づけに据えるという時代錯誤のまま安易に放置してきた経過が感じられます。

唯一の例外が私立の中高一貫校を中心に導入されてきたプログラミング教育で、辛うじて今の工学教育の一端を支えている実態を、しばしば垣間見ることがあり、その時代背景を見た気がしました。高校生のうちからモノづくりの実物に触れる機会を与え、「今、学んでいる内容が社会や将来の職業とどのような関連があるのか」を実感できる「仕組み」が必要であろう。工学教育における高大接続は、特に後期中等教育を担う高校側の事情として不整合な実態があることが認識できました(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・左:圧倒的に不足している理系人材(2016年度・学校基本調査)、同・中:10年後を睨んだ芝浦工業大学の将来像(村上学長のプレゼン資料から)、同・右:第1回「工大サミット」(資料集から)。芝浦工大では、大学院生をラーニング・ファシリテータとして学長が直々に面接し教育研究の改善に採用する仕組みを構築し、学長と院生との距離感が極めて近い様子を展示ブースに居合わせた私の目で確認しました。単に機械的に均等に扱うことを"公平"だと定義してきた日本の組織でしたが、個々人のもつ素養に応じ起用してこそ"公平"だとする意識へと変貌した(これも、"公平"という日本語の曖昧な定義が再考されてきた例)。

付記:演者(水落所長)から提示された事例で有用な情報だと感じた内容を再録しておきます。アマゾンが倉庫から商品をパッキングする技術を改善するロボットコンテスト" Amazon Picking Challege" で、中部大・中京大・三菱電機がチームを組み、参戦した。ロボカップ2017年名古屋世界大会で、リーグ校の愛知工業大学と大阪工業大学が各々、別の部門で第2位という成果を果たした(→インタビュー記事)。他にも、迷路を走り抜ける全日本マイクロマウス大会(2017年11月、芝浦工業大学で開催予定;走行例の動画)もある。なお、高専生と大学生を対象とするロボコンが有名だが、高校生を対象とするロボット競技大会(2017年10月、秋田で開催予定)もある。高校部門の競技活性化が、引き続き技術立国を支えるために期待されるところである(竹内記)。

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