連続(還流)培養系で珪藻群落維持に成功(2017年08月26日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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連続(還流)培養系で珪藻群落維持に成功(2017年08月26日)

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連続(還流)培養系で珪藻群落維持に成功(2017年08月26日)

連続(還流)培養系で珪藻群落維持に成功(2017年08月26日)

スーパーサイエンスコース担当の竹内です。河川や沿岸海域のような流れや波浪のある環境を実験室の中で再現するのは大変な技術です(人工的に波浪を起こす大規模な実験設備は以前、広島県呉市の水産海洋技術センターで拝見したことがあります)。

野外の水環境から水試料を採取してきても、池沼のような止水(standing water)ではともかく河川のような流水(running water)の環境を実験室で再現することに難があります。擬似的に水を循環するしか方法はありません。一つの方法が、水槽の循環浄化装置を利用(Youtube上にスライドショーで公開)する方法で、他の方法が、ここに紹介する屋内ディスプレイ用の人工水盤(癒やし・インテリア・噴水などで検索可能)です。

厳密には水を循環させているだけなので、還流培養系と呼ぶべきかも知れませんが、一方的に流れる河川環境を再現するのは河川水を導水する実験施設(岐阜県木曽川の自然共生研究センター)以外には事実上、不可能でしょう。従って還流培養系は代替策となりますが、"死に水" *1 を作らないため緩速ろ過池から採取した珪藻群落をオリジナルに近い状態で維持管理できています。

*1 "死に水"は、ここでは停滞した水(stagnant water)の意味で使用した。特徴的には、静止した水面に水と大気との間の界面(interface)に好気性の微生物による菌膜(biofilm)が形成されると空気中から水中に溶け込む酸素量が著しく制限され、水中の溶存酸素量が減少することが起こる。例えば、鉄バクテリアも流水条件か止水条件かで全く異なる生育形を見せる(油膜と誤認された報告例)。また、ミドリムシの嚢胞が河川渇水期に着色現象を引き起こした事例も報告されている(埼玉県環境科学国際センター)。

今回、羽状目の珪藻群落以外にも、シスト(嚢胞)様がクラスターを形成した生命体の存在も確認されたので今後、引き続いて経過を観察して行きたいと思います(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・左:水盤を用いた連続培養装置(夜間の運転中)、同・中:羽状目珪藻の群落、同・右:シスト様のクラスター(未確認の生命体)

付記:最終的に、糸状性珪藻メロシラ属の室内培養、および赤い色素を形成する藻類など、光合成微生物の探索活動を、各々の増殖を刺激する増殖因子(growth factors *2)、及び生理活性物質の探索を目指している。

*2 増殖因子として昔から知られているのは、最も古くは肉エキス、次いで酵母エキスと変遷した。主に、アミノ酸やビタミンの供給源である。しかし、これらの growth factors は、医学微生物や発酵微生物の研究に向いていたが、自然由来の微生物の培養には既知の微生物を優先的に増殖促進させてしまうため増殖の遅い微生物が増殖の速い微生物の背後に隠れてしまう。そこで、自然界から常時供給されならも、まだ未知の成分を緩慢に供給し続ける遅効性の有効成分を探索している。近年、着目されている土壌腐植質に由来する植物起源のフルボ酸は、その一例であり、さらに第二、第三の供給源は存在し得るであろうから探究を続けたい。

ライフサイエンスが急成長したため、growth factorsの意味もアミノ酸やビタミンのような低級な物質から特異的なタンパク質(例として、インターフェロンやインターロイキンなど)による細胞培養など生体内反応へ影響を及ぼす因子へと主役が移ってきている。しかし、依然として生物圏全体を支える自然環境中で見られる現象の作用機序に関する探究活動の意義を失った訳ではない(竹内記)。

資料:珪藻に関しては、入門に適した優れた動画が多言語で供給されている(東京学芸大学・真山茂樹教授の研究室『珪藻の世界』)。動物の細胞培養に関して魚類研究者(東京海洋大学・羽曽部准教授)による高校教育への普及活動の事例を先日、紹介したが、植物の組織培養に関しては(京都大学の研究室発)民間ベンチャー企業・ヴィトロプランツ実験キットの製作販売を展開している。今後、高校の探究活動への導入を検討したい。

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