川を流下し海に流れ込む生命の行方(2017年10月19日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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川を流下し海に流れ込む生命の行方(2017年10月19日)

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川を流下し海に流れ込む生命の行方(2017年10月19日)

川を流下し海に流れ込む生命の行方(2017年10月19日)

スーパーサイエンスコース担当の竹内です。高校教育でも取り組める「探究学習」を探索してます。それは、大学へ入ってしまってからでは「遅すぎる」学びがあり得ると思えるからです。大学人から見たら、レベルも低く「くだらない」と感じるかも知れません。しかし、高校教育課程で大学の研究を真似た活動を敢えて「しない」のが勘所だろうと考えています。

財力的にも無理なのですが、そこを逆手にとって、レベルが低そうに見えて本質的な論点を探りたいと考えています。このブログで紹介するのは、必ずしも美味しい部分ではありません。それは、今いる生徒やそれに続こうとする候補者のたちのために取っておきます。一部だけを入り口をチラ見させることで、生徒に自主的に取り組む意欲を喚起したく願います。

私たちは現在、河川中で発生した水生昆虫の脱皮殻が沿岸海域まで流された際に起こる現象を想定してキチン分解微生物の動態を研究しています(日本財団マリンチャレンジプロジェクト)。ここは敢えて主題ではなく、同時に流下する微細藻類に着目してみました。

河川を流下してくる藻類は糸状性の珪藻や緑藻が主です(今回、藍藻も見つかりました)。天然海水(淡路島で採取*1)を汲み置き水道水(淀川が原水)で約半分に希釈した「汽水(50%海水)」と「(100%)海水」にネットで捕集した流下物(SS;suspended solidsに相当)を再懸濁させ、経過を観察しています(馴致処理せず)。

*1 実験用の天然海水の採取・運搬に際して、『舞昆のこうはら』鴻原森蔵社長の多大なご支援を戴きました。

海水中へ移した藻類は(一部の例外を除いて)浸透圧の変化から原形質が収縮した形跡が見られましたが、光合成色素は健全なままです。また、脱皮殻の中に住み着いていた原生動物は汽水の濃度まで塩分濃度が高まっても捕食・分裂活動をしていました。海水の濃度に移した捕集物からは微細な鞭毛虫が発生していました。下水から活性汚泥を形成させる場面で初期の生態遷移で出現するタイプと酷似しています。河川を流下した固形物が起点となり、海域で新たな生態遷移*2が始まることを示唆しています(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

*2 高校生諸君には、淡水産のMelosira varians(1属1種)が河川から大量に沿岸海域に流達し、それが沿岸域で優占する海産珪藻のSkeletonema costatum(1属1種)に、検鏡では"誤認"されることもあり得る(the Skeletonema complex)だろうくらいの大胆な意見も表明して欲しいと期待するものです。厳密には、両種とも「1属1種」とは言えないのでしょうが、それが誇張でないほど種の多様性の幅が収斂し各々、淡水域の流下藻類、沿岸海域に分布する浮遊珪藻として著名な位置づけです。

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画像・上段左:淡水域の藻類(大和川支流の石川、流下SS捕集地点)、同・上段中:海水中に再懸濁させた流下物中の淡水産藻類の状態、同・上段右:塩分濃度の(光学式)測定、同・下段左:脱皮殻に潜む繊毛虫(分裂中か、接合中か不明;汽水16‰)、同・下段右:大量に発生した微細鞭毛虫(遷移系列のフロンティア・グループ;海水34‰)。塩分濃度は現在、psuとして無名数(単位表記せず;千分率パーミル‰は旧式)で表記。

付記:近畿地方で理系の高大接続を巡り『高度理系教員養成シンポ*3が告知されましたので、ここに記しておきます。従来の受験指導から研究指導へ舵を切りたい場合にネックになるのは、高校生に相応しい研究のあり方を理解し、その指導ができる教職人材が足りていない問題です。ルネサンス大阪高校のスーパーサイエンスコースは通信課程という形態を活用し、不登校・中退者に対するケアのノウハウを蓄積しながら、彼らが秘めている潜在能力と受験体制に影響されてない感性に着目し、「探究学習」や「創作学習」へ繋いでやる使命を掲げ、わが国の新しい高校教育の一つの理想形の具現化を目指して邁進しています(竹内記)。

*3 大阪教育大学、京都教育大学、奈良教育大学は連携事業として「博士人材向け教員能力開発プログラム」が進行中です。この事業により開発され、京都大学、大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学と、さらに大阪府教育委員会と連携して実施している「高度理系教員養成プログラム」は、これまでに高度な専門的知識を有する高校理科教員を広く教育現場に輩出してきています。これらの専門知識を有する教員は、主にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)で研究指導・評価に携わっていますが、スーパーグローバルハイスクール(SGH)、さらに新学習指導要領から導入予定の「数理探究」も対象となります。高校での「研究」と大学の「研究」では目的・観点は異なっていますが、両者の橋渡し役も含め、これらの新しい需要は当該プログラム修了者に課せられた使命となり得ます。2020年度からの高大接続改革において「課題研究」の入試への活用の動きも予想され、同プログラム修了者のニーズが大きく変化していると考えられます。これらの論点を整理し、博士人材向け教員能力開発プログラムの意味を含め、高校現場での今後の課題研究・数理探究の発展のため、シンポジウムを開催するものです(上記サイトから要旨を要約して再録)。

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