探究応募作品の「ルブリック」評価を考える(2020年03月28日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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探究応募作品の「ルブリック」評価を考える(2020年03月28日)

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探究応募作品の「ルブリック」評価を考える(2020年03月28日)

探究応募作品の「ルブリック」評価を考える(2020年03月28日)

教育デザイン室長の竹内です。日本では「ルブリック」評価は、まだ定着してきてないが、英国のGCSEとかA-Level、IELTS試験、最近では米国のTOEIC(Speaking/Writing)試験で実質的に採用されきた実効性の高い評価手法である。非定型情報(=答案)をいくつかの観点から段階的に基準を設けて段階評価し、その総合点*1を(クラス分けしたバンド表記で)求める評価手法として開発された(欧米では論述式解答の採点に採用)。

*1 私は当時、国際交流室長として米国派遣候補者の選考時にエッセイ及びインタビュー(面接)の評点を集計するため運用した経験があります(英国で、ルブリック評価方式に触れてきた経験を踏まえてのことです)。

教育デザインの見地から見て、ルブリックが持つ真価は実は「評価」もさることながら、それ以上に評価基準を事前に提示することで、「どう成長をして欲しいのか」を学習者本人に気づかせる仕掛けが忍ばされている。つまり学校教育で使える有力ツールは固定観念を捨てさせすれば、無尽蔵に見い出すことができる*2のである。

*2 自力で英語圏から情報を探り出し、私は早くから実用レベルで運用してみた挑戦者です。当時の新設教科でJABEEが求める『技術者倫理』の論述試験の採点で、ルブリック評価を早期に導入した実体験があります。当該科目は、実務経験のある教員が担当する必要がありました(筆者の場合は、都庁の技術職員であり、JICAでの専門家派遣歴)。現在、実務家教員の教育への参入は世界的に求められています(実務家教員養成サイト)。

行政実務から学校教育へ中途参入した私は、ゼロから多数の方策を公平に洗い出す検討を重ねた。それこそ多様な可能性(その中には、仮説実験授業をも含む)を探り、一つひとつ吟味した結果、21世紀型教育に相応しい教育支援ツールとしては、①ポートフォリオと、②ルブリックの2つが最終的に、私の手元に残ったと言える。

いずれにしても、これからの時代は正解がわかっている課題に取り組んでも(小学生ならワクワクとしてくれても)自我の芽生える中高生の年代ではシラケてしまいがちで、未知の課題に取り組む探究学習(PBL)と知識偏重を是正するためアート系の創作を組み込むことで、欧米は創造性育成を担保させている(EFアカデミー)。

例年ならば、この年度末の時期に『IBLユースカンファランス』が開催され、ポスター発表会場で生徒が活躍する予定であった(昨年度の例)。コロナ禍(covid-19)感染拡大を避けるべく今年度の第4回大会は会場での発表が中止され、作品提出の"学芸会"スタイルに落ち着いた。この変更により今回、エントリーさせた作品群がより広範なタイプとなり、結果的に新たな社会実験を試みるチャンスに恵まれたとも言える。

大阪校から応募した作品は、①ペット写真館の提案(1年・小野寺華鈴)、②調湿実験系の構築例(1年・藤原優月)、③高校生ポートレート撮影会企画(2年・今村奏音・藤本風子)、④英語ドラマで主体的学習体験(2年・今村奏音)の4点である。これらはいずれも、定型化された研究発表モノと限らず、むしろ実社会で明らかに求めらているものの、高校課程では考慮されていないフィージビリティ・スタディ(feasibility study)とかプロポーザル(proposal)の取り組みであった。このような従来の高校生の課題研究の枠外の応募作品を現状のまま、どう評価されるかを逆に見極めてみる"試金石"であった*3と言える(海外は審査員の審査がある)。

*3 客観試験(大学入試を含む)は「正解表」との対照で点数化(採点)が行われ、日本の学校教育ではこの機械的な採点しか経験がなくルブリック評価の実績はない。TOEIC(Speaking/Writing)試験に対し、減点法しか知らない日本人は採点に加われないのです(東進ハイスクールの名物英語講師安河内哲也氏談)。

定形外の作品の評価は予想した通り、3名の評価者の間で著しいバラツキがみられた。特に、まだ理系の域にある②の実験系の構築を除く3点は、評価者によっては「金」と突出した評価と、評価者によっては全項目が「対象外」、つまり作品として評価にも値しない・・と判定されるほど、バラツキが生じた事実が確認された。要は、日本に「答え合わせ」はあっても、「評価」はなかった*4のです。日本で行われてきた慣行は、世界基準で語るならば「教育」とは見做されません(日本人が知らないだけのことです)。

*4 別府の立命館アジア太平洋大学(APU)では開校当初、日本人教員が留学生の集団に囲まれ暴動になりそうな光景が起こったと聞く(開学当初スタッフの述懐)。提出課題に点数のみをつけ、コメントせずに返却したので留学生が一致団結し「何のつもりだ?」と、日本人が相手ではあり得なかったブーイング行動に出たのです。

ちなみに日本と海外の学校教育の根本的な違いはまさに、ここが分岐点となることで知られる。つまり、日本は平準化を好み、海外は真逆に突出した点を高評価する。それゆえ国際バカロレア(IB)校の教員が月並みな指導をすると、「他の教員と一線を画す、独自の指導は考案できないのか?」と厳しく査定されてしまう。これが近年、日本と海外の国力の差を招いている根本原因だと思う。逆に、"余人を持って代えがたい"教員は国際バカロレア制度の切磋琢磨される環境下で育つ教員の高い待遇なのである。学校教育の活性化は次世代の国家の命運を決定づけて行く基盤であるので、当然と言えば当然過ぎることであると言えよう。今までが余りに杜撰だったから不登校・中退者が記録を更新し続けるように大量発生し、その受け皿となる学校が成り立ってきた構図が見て採れる。それでも"着膨れ"経済でも見掛け上は回るのかも知れないが、国家としては衰退の一途を辿って行く*5ことになる。既に実証段階にあると言える(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

*5 数理経済学者の故・森嶋通夫博士(1923-2004)は『なぜ日本は行き詰まったか』(岩波書店、2004)の中で、今日の日本の没落を日英間の学校教育の質的な差を通じ、見事に予言している。

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画像・上段左:応募作品2点(①と②)、同・上段中:応募作品2点(③と④)、同・上段右:4半世紀も前の本『DUMBLING US DOWN』(25周年記念出版、John Taylor Gatto著、2019年;邦訳は『バカをつくる学校』2006年※原著タイトルのdumblingとは、人を十把一絡げにする"肉団子"の意)、同・下段左:故・Gatto氏のインタビュー動画(YouTube動画の画面)、同・下段右:板書した黒板前の教卓に座る在りし日のGatto氏(YouTube動画から)

付記:故John Taylor Gatto氏(1935-2018年)は過去、幾度も優秀教師賞に輝いた勤続30年の経歴の持ち主であったが、「これ以上、生徒らを苦しめるワケには行かない。」と自覚し、教壇を降りた(⇒手記)。そして、晩年には、彼の言葉で言う"unschooling"(home-schoolingと同義)、学校へ通わない「不登校」を勧めた。とりわけ彼は、義務教育課程(compulsory schooling)を問題視していた。彼の教育観は後に、英国から米国へ移住したKen Robinson卿の「学校は創造性を殺してしまっている」と主張とも、重なる。さらにハーバードビジネススクール(HBS)の教授だった故Clayton M. Christensen博士(1952-2020年)も、著書『教育×破壊的イノベーション~教育現場を抜本的に変革する』の中で、ひとり一人の人間は異なるのに、学校が画一的な教育しか提供できていない現実に対し、疑問を提起した(現在、ようやく教育の多様化が進む機運になってきた)。ザッと見ても、世界中で識者が学校教育のリフォームを求めてきているのが現実の姿であり、日本はその中でも世界の趨勢から遠く離れた位置にあることは事実だが、一概に全て日本の学校教育課程が劣っているのだとは、指摘されていない*6側面にも留意されたい(竹内記)。

*6「日本はそんなコトをやっているの?」と世界中をアッ!と言わせた日本の学校教育課程で特筆すべき点は、何と給食当番と掃除当番でした(内閣府の調査によれば、自国や家族に対する愛情を表明しつつも、日本の若者の自己肯定感の低さと学校教育への満足度の低さは強い両者の関連性を示唆しており、改善が急務で惜しい)。

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