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「ジェンダー」も問い直されてるんだなぁ...
ルネサンス高等学校
「ジェンダー」も問い直されてるんだなぁ...
2021-11-12
アメリカ国務省は、先月10月27日に
LGBTQI+などの性的マイノリティーの人たちのために
男性と女性以外の選択肢として「X」と記載されたパスポートを
初めて発行したと発表しました。
※ 具体的にどの箇所かは、こちら ( 米 性別「X」のパスポート発行 性的マイノリティの人に対応 ) をご覧ください。
「X」とは、自分の性別を男性または女性以外と感じている
国民を尊重するために導入された選択肢。
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そんな折に、タイムリーで大変興味深い番組がありましたので、
そちらについて、今回は触れてみたいと思います。
私たちの「脳の性」に焦点を当てた最新研究を扱ったこちら( ↓ )の番組
です。
この番組のエッセンスは、このページの中の動画がとても分かりやすいです。是非!!
◆◆◆◆◆◆◆ 以下に、コメントと補足を加えつつ、要約みたいなことをしてみました。◆◆◆◆◆◆◆
話は、まず「体の性」の多様性ということから始まります。
カリブ海に囲まれた島国、ドミニカ共和国のショッキングな事例
...サリーナスという村の女の子の何人かが、思春期に男性に変化するというのです。
ここで、テストステロンという性ホルモンが登場します。
テストステロンは、胎児期にY染色体が働くことで作られる精巣から分泌されるホルモンで、
これが全身を巡り、外性器など男性の体を作っていくのです。
が、
この時期の分泌が少ないと外性器が作られません。
それが思春期になって再分泌されて外性器が作られるケースもあるとのことのようなのです。
サリーナス村の事例は、これだったのです。
重要なことを、少し補足しておきますと、
このテストステロンは、女性も副腎や卵巣で分泌しているとのこと。
( https://www.daito-p.co.jp/reference/testosterone_of_female.html より )
...こうなってくると
テストステロン=男性ホルモンという定義もどうなんでしょうかと言うことになりますね。
血中テストステロン値で比べると、一般には(共に健常成人の場合)女性は、男性の5~10%
と言われていますが、
テストステロン値の高い女性の場合、男性の平均値ぐらい出ている方もおられて、
データを見ると、男性と女性ってきれいに分かれるものではないようなのです。
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そして番組は、
「脳の性」の多様性、すなわちジェンダーの最新研究へ...
イスラエルのある研究チームが、
18歳から80歳までの1400人の脳をMRIを使って調べた結果が紹介されています。
それによると、
女性と男性の各グループで、大きさが違う場所が10か所ほどあることが分かりました。
そこでそのチームは、
それぞれのグループの平均ではなく、個人個人の脳はどうなっているのか、その10か所を、
赤色が濃いほど女性に特徴的な球体、
青色が濃いほど男性に特徴的な球体、
中間の場合は白の球体
として表してみたところ、その結果は、この(↓)画像の通り、
90%の人の脳が「男女モザイク脳」だったというのです。
集団の平均値では男女の違いはあっても、
個人でみると、大半の人の脳は、女か男のどちらかに分けられるようなものではない
ことが明確にされたのです。
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「でも、なぜ多くの人の脳が、男女が入り混じるモザイクなのでしょうか?
そこには、わたしたちを取り巻く環境やわたしたち自身の経験が関係しています。
生活環境や社会環境、さまざまな人との出会い、交流、学びなどの経験。
わたしたちの人生のすべての経験が、脳や、脳に影響を与える性ホルモンまで変化させます。
その結果、男女どちらかではとてもくくれない、わたしたちだけのモザイク脳が生まれる
というのです。」
※ 参照 環境と遺伝子の間:あなたのエピジェネティクスは常に変化している | WIRED.jp
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...社会的、文化的に作られる性。
それを、皆さんご承知の通り、ジェンダーといいます。
ジェンダーとは、また私たちの中にある「女らしさ」「男らしさ」といった先入観などのことですが、
テルアビブ大学 ダフナ ジョエル博士(↑)によれば、
「ジェンダーは、私たちを男か女の2つの枠に押し込めようとします。
でも私たちの脳はそうではありません。
脳は体ほど明確に、男か女のどちらかではないのです。
なぜなら脳は男女が入り交じるモザイクだからです」
と、その2項対立的な把握のあり方に問題を投げかけます。
...「体の性」が明確でないことは、
前回のブログ(「ダイバーシティの時代なんだなぁ..」)
https://www.r-ac.jp/campus/mainschool/blog/8393.htmlで紹介しましたが、
ダフナ ジョエル博士は、「脳の性」は「体の性」より明確ではないというのです。
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そしてさらに、番組は、
「分界条床核(ぶんかいじょうしょうかく)」を取り上げて行き、
これが、自分の性別をどう思うかに関わる「性自認の中枢」
だと、最新の脳科学の成果を紹介していきます。
※ 詳しい図はこちら ➡ 「異性愛」か「同性愛」かは何で決まる?
性自認に関わっているのが、分界条床核の大きさ。
分界条床核は、男性の方が女性より大きいのが一般的とのこと。
そしてこれに関わってくるのが、テストステロンだというのです。
前述のように、
男性にも女性にも存在するこのテストステロンシャワーが多いほど、
性自認の中枢である分界条床核のサイズは大きくなり、
脳の性自認にもバリエーションが生まれるというのです。
体は男性でも心が女性の場合、その大きさは女性に近く、一方、
体は女性でも、心が男性の場合、男性に近いことも分かってきたようです。
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埼玉大学教授 塚原伸治さんによれば、
「例えば、男性ホルモンの量がちょっと少なかったり、ちょっと多かったりすれば、
男性の脳のでき方も少し変わるわけで、そういうような少しずつの違いがバリエーションになって、
いろんな個性を持った脳ができるんだと思います。」
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麻布大学教授 菊水健史さん
「LGBTの方々、性自認だけでなくて、例えば、性的指向というのがあって、
それはどちらの性が好きですかとか、性的パートナーとして選びますかというのも、
いくつか神経核が関わってくることも分かっていて、そこも男女で神経細胞の数の違いがあるんですけど、
それもグラデーションになっていて。生物学的に考えると、みんながLGBTの素質を持っている。」
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「女性と男性、どちらの特性も入り交じる私たちのモザイク脳。
性自認の多様性もまた、社会を彩るモザイクの一部なのです」ね!
まさにまさに、「性のあり方」はグラデーション、 スペクトラム(連続体) なのですね !!
↑ 大阪府四条畷市HPより借用
大変、示唆に富んだ番組でした。


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