- 通信制高校のルネサンス高校グループ
- ブログ
- エノキにつくエノキワタアブラムシの防除
エノキにつくエノキワタアブラムシの防除
ルネサンス高等学校
エノキにつくエノキワタアブラムシの防除
2023-08-22
ルネサンス高校新宿代々木キャンパスの前の木に、アブラムシがついている。
「白くてふわふわした何か」に見えて、それが葉を揺らすとふわっと散る。
けれど、葉っぱの裏をみるとかなりびっしりとこの白くてふわふわしたものが密集している。
調べてみると、こいつの正体はアブラムシ。
実は毎年この時期、6月ごろには葉についている。雪のようにみえるが、舞い散っている一つ一つが小さな虫で、気が付くとちょっとびっくりする。
特に害がないので普段なら枝を落として数を減らすのだが、今年は駆除してほしいと依頼があった。
まずは木とアブラムシの種類の特定。
木はエノキで、アブラムシはエノキワタアブラムシだろう。
葉の裏に斑点状についているのがアブラムシ。
基本的にはこのエノキの葉から汁を吸っている状態なので、木にとっては迷惑なのではないかと思う。
しかし気になるところがある。
上の写真をみると、この白い綿毛をもつアブラムシの周囲にアリが多い。
アブラムシとアリの互恵関係はここでも有効なようだ。
アブラムシが葉や茎から吸ったものを、アリが刺激するとおしりから蜜として出す代わりに、天敵などから守ってもらっているというものだ。実際アリがアブラムシを守ることができるかどうかは観察したことはないものの、アブラムシをとりまくアリの数からいっても何らかの関係があることは間違いなさそう。
逆にアブラムシの天敵たちももう到着済みだった。
一枚目の写真にも実は写っているのだが、テントウムシの成虫と蛹が見つかった。上の写真では成虫以外に葉の上にいる黄色っぽくうつっているのが蛹のテントウムシだ。
幼虫も含めると、ざっと8匹が目視できた。
テントウムシの成虫は1日に100匹のアブラムシを食べ続ける。
幼虫も20匹ほど食べる。
10匹ほどの成虫がいれば、1日1000匹のアブラムシを食べる。
これが1週間続けば7000匹のアブラムシを駆除してくれる。
アブラムシだって増えているが、これだけ食べてくれれば数は減っていくだろう。
虫を駆除する薬を撒いてしまうと、特に根元に撒くタイプではこうした益虫が優先的に駆除されてしまい、結果的に増えるのはアブラムシのほうだ。
アブラムシを食べたテントウムシに農薬が生物濃縮してしまうことで、やられてしまう。
世代交代の早いアブラムシが、先に農薬に耐性をつけてしまうと、「農薬をまくことでアブラムシが増える」という事態を招きかねない。
もしかするとこの天敵による駆除を待てば、全滅とはいかないものの半数以上は消えてくれるのではないか。
そもそもオルトランのような虫対策の農薬がアブラムシに効かなくなってきて、複数の農薬をローテーションするようになったのも、とりあえず駆除をするという行動でアブラムシが耐性をつけてしまった結果のはず。
それならばアブラムシを食べるテントウムシに任せておけないだろうか。
蛹が成虫になってから一週間程度までは様子を見て、そこからアブラムシの数やテントウムシの数を調べて、薬を使わなければいけないか再検討してみようと思う。
がんばれ、テントウムシ。
※10日後にもう一度確認してみた結果はこちら。


デジタルパンフレット
学校案内パンフレットを今すぐWebでチェック!