通信制高校ルネサンス高等学校

令和5年度 卒業証書授与式 式辞

ルネサンス高等学校

令和5年度 卒業証書授与式 式辞


C132BB81-1070-4FAB-A027-9B59EF2D0BEA.jpg

 卒業生の皆さんがスクーリングで訪れました校舎を囲む木々の蕾もほころび始め、春の風も微かに感じられるようになりました。今日 この佳き日に、ご来賓、並びに保護者の皆様をお迎えし、令和5年度卒業証書授与式が挙行できますことを、教職員一同、心より感謝申し上げます。

 只今、証書を授与されました皆さん、そしてオンラインで出席の皆さん、自分を律して進めなければならない通信制課程の学習を見事に修めてのご卒業、誠におめでとうございます。その意志の強さと努力を心から称えるとともに、皆さんがルネ高3年生としての時間を、ほぼコロナ禍以前の生活の中で送ることができましたことを、心から嬉しく思っています。

 さて、ここ数年間を振り返ってみますと、パンデミックにより生活様式が激変するとともにデジタル技術は急速に発展し、昨年にはGPT4 ・生成AI が騒がれ、さらに、AGI(人間のように幅広い知識と独自の学習能力を持つ汎用人工知能)が、10年以内にはあらゆる分野で、人間の専門家の知識を遥かに超えるとも言われるようになりました。他方、海外では戦争が続けざまに起こり、国内でも今年早々に能登半島で大きな地震・津波があり、被災地では、今も厳しい状況に置かれている方々もいらっしゃいます。 

 疫病、戦争、天変地異が次々とやってくる。ネット上に想像もできなかった知恵が溢れるようになるのと並行して、目まぐるしく社会が変わり、今まで当たり前と思われていたことも通用しなくなってきています。このような世界の中で、私たちはどのように生きて行くべきなのか・生きて行けるのか、事あるたびにそう考えてしまうのは、皆さんも同じではないでしょうか。

  生きる意味や人生の目的というものを、私も皆さんと同じ年代の頃には―当時は携帯電話もインターネットもない随分と長閑な時代ではありましたが、それでも―よく考えたものです。以来折に触れ、それに類する本は手に取ってきましたが、その中で心に残っており、最近読み返した一冊がありますので、ここに紹介したいと思います。

 『それでも人生にイエスと言う』という本です。

 著者は、ヴィクトール・E・フランクルというオーストリアの精神科医で、第二次大戦下の過酷な強制収容所生活を生き抜き、後に『夜と霧』という本で全世界に衝撃を与えた彼が、それまでの思索と体験を踏まえ「人生を肯定する」ことを訴えた1946年の講演をまとめたものです。 

 その中で彼は、「私たち人間は、生きる意味を問う存在ではなく、逆に、絶えず人生の方から、どう生きるのかと問われている存在なのだ。」と述べています。確かに「生きる意味」は、求めて自分の外側から与えられるものではないのかもしれません。誰かが言っていること、あるいは本に書いてあることを鵜吞みにすることは、自分でコントロールのできない外部や環境に、自分の人生を委ねることであり、他人の人生を生きるようなものだからです。彼は「私たちがなすべきことは、直面する人生のさまざまな状況の中で、その都度『人生から問われていること』に全力で応えていくこと。」どんな状況にあっても、私たちにはそれに対して、自分の態度を選ぶ自由があるのだから、「自分の人生にこんな意味を持たせよう。そのためにこんなことをしてみよう。」とヴィジョンを持って・夢を見失わずに生きよと投げかけています。

 進化のスピードが速い今日の社会。これまでの常識や価値観を安易に判断の拠り所にし続けることは、皆さんの限りある時間をただ振り回されるだけになりかねないかもしれません。時代は今、まさにフランクル先生がそうなさったように、直面する状況に対しその都度、自身の内面から人生の意味を見つけ出し、態度を選択していく。そのようにして今を生きることが、より重要になって来ているように思います。是非、参考にして、自分を信じ、夢と自由な発想を大切に目の前のことに向き合い、試行錯誤をし続けて、人生を積み重ねていってください。どんな時代が来ようと、きっとその先には、誰のものでもない、皆さんひとり一人の素敵な景色が広がっていることと思います。 

 皆さんは、今日の日を迎えるまでに、ルネ高のマイページに何度ログインしたことでしょう。振り返ってみてください。自分の意志で、メディア学習を何本見たことでしょう。何度 視聴確認テストを繰り返し、何本のレポートを提出したことでしょう。また、電車やバスや飛行機や車に長時間 揺られてルネ高にやって来て、タイトなスクーリングをやり切ったことも思い起してみてください。他の誰とも違う自分だけのやり方やペースで、皆さんがしてきたそれらの一つ一つの行動が、これからの時代を生き抜くための訓練となっている、と私は確信しています。そしてもちろん、卒業という果実を捥ぎ採ったことも大きな財産です。先行きの予測が難しい時代になって来ているということは、可能性に溢れているということです。自信をもって次のステージに飛び込んで行ってください。

  卒業生の皆さん、自分の「人生に何を与えることができるか」です。自分自身に期待し、自分の未来に期待し、自分の熱狂できるもの・夢中になれるものに期待し、皆さんだけの悔いのない人生を創り出していってください。フランクル先生のこの言葉を、皆さんの門出に際しての、贐とします。

 結びに、保護者の皆さまに一言申し上げます。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様が人生の節目をまたひとつ迎えられましたことに、喜びも一入のことと拝察いたします。その成長を願い、これ迄支えていらした中には、ご苦労されたことも多かったと存じます。心より敬意を表しますとともに、本日まで、本校の教育活動にお寄せいただきましたご支援とご協力に深く感謝を申し上げ、式辞といたします。

 令和六年三月十日                       ルネサンス高等学校 校長 菊池一仁

0E94E548-B466-4FB2-90F5-7B6CF4AC5D0B.jpg

令和5年度 入学式 式辞はこちら☞

デジタルパンフはこちら デジタルパンフはこちら

デジタルパンフレット

学校案内パンフレットを今すぐWebでチェック!


最新の記事