地層処分(幌延深地層研究所)施設見学記(2018年08月25日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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地層処分(幌延深地層研究所)施設見学記(2018年08月25日)

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地層処分(幌延深地層研究所)施設見学記(2018年08月25日)

地層処分(幌延深地層研究所)施設見学記(2018年08月25日)

スーパーサイエンスコース主幹の竹内です。先週(23-24日)、北海道稚内市郊外にある幌延深地層研究センター(「ゆめ地創館」、国立研究開発法人・日本原子力研究開発機構;JAEA)の教育関係者ツアー・意見交換会へ参加してきました。同企画は原子力発電環境整備機構(NUMO)*1 の広報部が行う、学校教育係者向けに地層処分に対する長いスパンでの国民の理解を得るための啓蒙活動です。

*1 国の機関ではなく、商用原子力発電によって発生した高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の最終処分を行うために「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法、2000年)」によって設置された経済産業省が所管し、原子力発電を行っている電力会社などが拠出している組織。

姉妹的な研究拠点には岐阜県瑞浪市にある東濃地科学センターがあり、地質的に対照的な実験サイトとして選定された経緯があります(幌延サイトは堆積岩の、瑞浪サイトは結晶質岩)。あくまで深地層の研究施設であり、酪農が主たる産業である幌延サイトでは実験終了後、速やかに埋め戻す*2ことが前提条件になっています(関係機関三者が協定書を交わした)。

*2 幌延サイトは海成地層(生物起源の珪酸質が圧密した珪質泥岩;全体は地質図Navi)であるためメタンの発生があり、防爆(電気的なスパークを起こさない)仕様の機材を設置し常時、地下空間の強制換気を万全にしておかないと大惨事(酸欠、誘爆事故など)を招き兼ねないリスクを抱えている。

2011年3月の東日本大震災に伴う福島原発事故は、原子炉の運転に伴う危険性というよりも放射性廃棄物(プール内で冷却中だった使用済み核燃料棒を含む)の崩壊熱による暴走の危険性を現実化しました。

わが国の地層処分は、1970年代の後半に研究がスタートし、80年代の半ばには地層処分の基本方針が策定されました。90年代に入ると、技術的な検討が始まり、石川島播磨重工業へ就職された研究室の先輩が英国バースで開催された地層処分の国際会議に出た帰路、当時、リーズ大学に客員していた私を訪ねてきました(1992年)。その10余年後、その先輩(福永栄氏)と私は伴に同じ「地球環境微生物学」研究室(加藤憲二教授)を通じ、奇しくも同じ学位*3授与式に臨んでいました。

*3 伴に論文博士で、福永氏は企業での研究実績で、私は英国での博士課程の研究成果に都庁やJICA時代の研究を追加して「硝酸塩リッチな条件での微生物代謝」に関して一つのモノグラフにまとめた。

環境へ及ぼす影響としては、余剰の湧水は水処理(脱ホウ素・脱窒素)を施した上で、地元漁協との協定に基づいて放流しているそうです。ホウ素は海成地層の褐色に着色した地下水中に見られる成分であり、周辺が酪農地なので地下水が硝酸汚染*4されて硝酸塩濃度が高いことは考えられます。

*4 土壌粒子は通常、マイナスに帯電しているため家畜糞尿に由来するアンモニウム・イオンは陽イオンのため土壌粒子に吸着され、表土に保持されています。が、自然浄化が進み、亜硝酸イオンを経て硝酸イオンになると陰イオンのため土壌粒子から遊離して地下水脈へ流失して行く(地下水の硝酸汚染)。

高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料)は、必要な冷却期間を過ぎたら地上に放置しておくより地下深く埋めた方が人間の生活環境を脅かす懸念が軽減されます。現時点での技術はガラス中に混ぜて固化し、ステンレス製の容器(キャニスター)に収め、ぶ厚い炭素鋼(オーバーパック)で包み、粘土鉱物(ベントナイト)が主体の緩衝材に包み、地下水に伴う物質移動を抑制(これを「人工バリア」と呼ぶ)し、地下300m以深の岩盤(これを「天然バリア」と呼ぶ)に収める対策が地層処分の骨子です。

高レベル放射性廃棄物の最終処分地は、現時点で決まっていません。しかし、日本国内で発生した廃棄物に対しては国民が責任を負う覚悟が必要です。これ以上、生活空間で飛散させないために覚悟しないとなりません。できないなら、安易に放射性廃棄物を生み出すべきではなかったことになります。だから学校教育からして、個人の進学就職(損得)のためでなく、国の将来を決める合意形成ができるほど成熟した国民*5が育つよう変えていく必要性があるのです(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

*5 日本の学校教育は、個人の損得をゴールにした「低レベル」であったのに「高レベル」放射能廃棄物を扱う羽目になった現代日本社会の大いなる矛盾点を近年、如実に炙り出された。広い世界には、国民にシチズンシップを意識させ、民主主義を言葉だけに留めず、教育で実践している国家もある

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画像・上段左:人工バリアのモデル実験サイト(縦置き)、同・上段中:地下350mへの昇降機(最下部にモニターカメラがあり、はめ込み図はそのモニター画面)、同・上段右:幌延施設の外観と遠方に利尻富士を望む、同・下段左:コア(柱状)サンプルと珪質泥岩の実物片*6と顕微鏡写真(対物x40位相差)、同・下段右:乾燥化が進んでしまったサロベツ原野で僅かに見つけたミズゴケ群落の中に生えたモウセンゴケ(粘液を出して虫を捕捉する食虫植物の一種)

*6 もともとは珪藻土(約300-400万年前に1,000m級の深海底で堆積)であったが、圧密した後に隆起したと考えられる。珪藻の遺骸から変質し、オパール(非晶質)シリカ顆粒の集合体が観察された(地表で露天堀りできる珪藻土は、珪藻の珪酸質の殻が原型を留めている→参考記事)。

付記:次世代の国民に言い伝え残して行かなければならない重大案件なだけに、個々の学校教員が連綿と後世に伝え残して行かなければならない課題の特性に鑑み、当プログラムは交通費や宿泊費は無償で一教員として参加させて戴きました。御礼と同時に技術面も含め、長くコミットしていく覚悟です(竹内記)。

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