アート&サイエンスコース
2015.03.21.Sat
3月20日(金)、大阪府立青少年海洋センター(泉南郡岬町)を施設をお借りして、初めての臨海実習を試みました。
参加者は、4月から大阪校のスーパーサイエンス(通学)コースに加わる男子生徒2名です。里海公園に設置されている人工タイドプールで海藻を採集し、生物群集の観察を行いました。
先ず若い2人にとって最大の試練は梅田から遠い岬町まで予定の時刻に遅れず、迷子にならずに到着することです。事前にメールで「サイエンスコースでは、ある時間から時間まで、ある対象からある対象まで、と範囲を限定したような教育は行わない。全てが丸ごと学びです。」と私は伝えてありました。
ですから2人揃って、海洋センターの1階ロビーに定刻通りに現れた時、私は心底、驚きました。聞けば、1人は途中の駅で乗る電車を乗り間違えたものの駅のホームでバッタリと友人と出くわしたそうです。それこそが、私の求めていた「偶然の力」。忘れないでいて欲しい。
スーパーサイエンスコースで求めるのは、運を味方にできる資質です。運が良くないと新しい発見が期待される研究活動は務まりません。決まった解答を書いて得点する教科学習とは全く別世界なのです。かくして2人の入門者は、私が課した最初の関門を見事に突破してくれました。おめでとうと言いたい。天候も、前日の長雨とは打って変わって好天に恵まれました。
科学は知識でも作業でもありません。実物に触れる実体験を通じ、そこから新しい着想を得てこそ、「生きる力」となります。自分の中に取り込んでいくや否や一生の宝となるでしょう。
1人が潮が引いたタイドプールにしゃがみ込んで周囲360度ぐるっと見渡し、「わぁ、この高さには卵ばっかり。」と声に出してくれました。これは、素晴らしい発見です。多くの生徒が中学校へ入って正否に拘る勉強を始めたら最後、このような視点はもちろんのこと、感動する心すら失ってしまうものです。それは科学にとって「天敵」以外の何物でもありません。
野外実習には時間も労力もかかります。教科書から答えを得た方がはるかに効率が良い・・ということから学校教育の主流が知識付与型へと定着してしまいました。しかし、その利便性の代償に失った教育の本質は甚大だったと言わざるを得ません。
まだ海水が冷たい時期を選んで臨海実習を行ったのは、低水温期の方が海藻が繁茂しているからです。現場にたくさんの卵塊が見られたように、水温の上昇に連れ、海産動物がたくさん発生してきます。その代わり海藻は衰退し、枯死した海藻が分解されるに連れ細菌のタンパク含量が増し、栄養価が高まる可能性があります。その粒状物質が、卵からかえった無脊椎動物のプランクトン幼生や小動物たちの成長を支える優れたエサとなっていくものと思い描けます。
自然界の仕組みの解明に繋がっていくであろう、1)卵塊の存在と、2)海藻の消長との関係を、新しい仲間たちと議論できる喜びを禁じ得ません。複数の要因を組み合わせたロジックの組み立ては、スーパーサイエンスコースに相応しい水準を満たすものです。参入ありがとう。
左:海洋センターを背景に汀線付近を歩く2人、中:貝類のものらしき卵塊、右:光合成している海藻群落から出る気泡(水中撮影)
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ルネサンス高等学校 (大子校)
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ルネサンス高等学校 (大子校)
ルネサンス豊田高等学校
ルネ大阪広報
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ルネサンス高等学校グループは、全国に3校(茨城、愛知、
大阪)、連携キャンパス及び受付・相談センター(東京・新宿代々木、神奈川・横浜、愛知・豊田、名古屋、大阪・梅田、広島、福岡)
を置く広域通信制高校です。
どんなタイプの方でも、安心して学習し卒業できるシステムを構築し、生徒一人ひとりのライフスタイルに合った"学び"を提供しております。
「登校してしっかり学ぶ」「友達を作って学校生活を楽しむ」という学校が多い中、最短年4日の登校で高卒資格が取れる学校は多くはありません。
一方で本当に高卒資格が取りたくても、仕事が忙しくて登校できない、子育てで手が離せないなど様々な事情で、学校に行きたくても行けない方がたくさん居るのも事実です。
ルネサンス高校はそういった方のニーズに答えるために生徒に負担のかからない授業やレポートシステムを作り、14年経ちました。卒業生も約15,000名となります。
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