アート&サイエンスコース
2015.07.19.Sun
昨日(7月18日)は、大阪校「環境保全クラブ」が加盟する「イタセンネット」の活動日であったが、台風11号襲来のため中止になった。そこで、中止になった当日の午後、イタセンパラが順調に生育している城北ワンドへ洪水の様子を見に行こうと試みたのだが、JR京都線が不通で大阪駅前のバス停に長蛇の(振り替え輸送による)列ができており、今日(19日)に現地入りを延期した。
城北公園前で市バスを下車し、いつものように城北公園内を淀川河畔に向かうと、公園内の池(旧淀川が氾濫した後に残った河跡湖)の岸辺の遊歩道まで水位が上昇していた。
淀川の土手を登り、城北ワンド群を見下ろすと幸い、ワンドの水位はそれほど上昇していなかった。最悪、ワンドが水没して淀川の本流と繋がってしまうと、せっかく外来魚を駆除し、在来魚を保全してきたバイオマニピュレーションの成果が"振り出し"の状態に戻ってしまう顛末を懸念していた(神に代わって群集を選別していく作業なので、並大抵でないのはやむなし;外来種の移植も人為操作が多いので、いわば人の手による後始末でもある)。
ワンドは淀川に固有の河川形態であり、現在のワンドは土木構造物である(Wikipedia「ワンド(地形)」に詳しい)。本来は、船舶航行のため明治政府が招いた土木技術者ヨハネス・デ・レーケの指導で造成された経緯があるが、現在は生物多様性を保全するビオトープ(生物の棲み場所)としての機能に注目されている。
ワンドの岸辺まで行くと通常よりも水位は高く、築堤の礫層には底泥を被った痕跡が残されていた。大型台風の通過に伴って、ワンド内水面にも撹乱が及んだことを示唆する。
ところで、湖沼や池沼は止水域で大きな水の動きはないが、河川や沿岸には、それぞれ大量の淡水の流下、ないし海水塊の潮汐輸送が伴う。そのため生物群集を採集してきても飼育環境で河川水の流下や海水の潮流が再現できないため結構、飼育が難しい。これは、スーパーサイエンスコースの生徒も実感し、何とか水の動きを再現する方法はないか・・といろいろ水の流れを起こす装置の試作に取り組んできた。
大自然の仕組みに匹敵する装置が簡単に考案できれば苦労はないのだが、難題に果敢に挑戦しようという姿勢を見て(たとえ正解に至らなくても)、探究学習の教育効果を指導者の1人として実感している。
そうなのだ。河川生態系では台風や降雨に伴う洪水は単なる自然災害でなく、生態系を維持するために欠かせない自然界の一大イベント(ただし、「催し物」の意でなく「出来事」の意)だと現在は理解されている。わかりやすい言い方をすれば、河川の洪水とは低迷した生態系に「リセット(喝!)が掛かる」スイッチなのである。決してマイナス・イメージではない。
文章にしたら1行程度である。しかし、言葉での説明より先んじて装置を考案しようと動き出した生徒たちの姿勢の中に探究活動が秘めている成長への萌芽を感じている。
❏画像説明
左:城北公園池の水位上昇、中:城北ワンド34号の様子(嵌め込みは、信濃毎日新聞社「洪水がつくる川の自然-千曲川河川生態学術研究から-」2006年)、右:淀川堤防から見下ろした城北ワンド群(背後が淀川本流、嵌め込みは現地に設置された訪問者案内のための銘板)
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