アート&サイエンスコース
2016.04.25.Mon
理科室では、水槽で魚類、エビ、タニシ、カタツムリなど、さまざまな生きものを飼育しています。これは、自然の一部を切り取って維持していることで、研究上の大きなヒントが得られるからです。
実験結果をポスターにしますが、その時に英文で作成することにしています。日本語を英語に訳すのではありません。それでは、意味がないのです。「科学する」には、英語が必要であると痛感することがあります。英語で作成していく途中、世界共通語である英語を使う意義が高校生の目の前で証明できました。そのヒントも、飼育している生きものから得られたものです。
昨年、果物から分離した天然酵母が乾燥してしまう話題のポスター作りをしていました。当時、1年生の河脇凌くんに乾燥し切ったシャーレに滅菌した水道水を無菌的に注いだら見事、蘇生した研究をまとめていました。その生き返った酵母は多くの場合、(物質生産して乾燥に対する耐性獲得した)潤いのあるコロニー(スムース型コロニー)に変化するパターンが多かったのも注目点でした。
さて、これを英文でどう表現するか・・を思案し、 私は "drying and rewetting" と仮に表記してみることに決めました。次に、それが英語圏で通用するか否かをGoogle 検索し、英語での使用頻度を確認したのです。すると驚いたことに、22,300件も当該表現がヒットし、英語圏では「乾いた状態から再び湿らせた状態になる」のが中心的な議論になっていることが分かりました。
いかがですか? 日本では "drying and rewetting" に相当する議論が交わされてません。日本語では、世界の科学界に参入していくのに不便なのです。考えてみれば、自然界では晴天時も雨天時もあります。水中から上陸した生物にとって乾燥との闘いは大事です。生態学では、このような論点も当該分野の中心的命題(セントラル・ドグマ)になり得るのです。
"drying and rewetting" という表現の思いつきは、理科室で飼育しているカタツムリを世話していることが伏線でした。室内も屋外と同じ条件になるよう雨天時の時、霧吹きで湿り気を与えてやることにしていたからです。自然に乾燥していく様子を "drying"、湿り気を与えてやる行為を、再び湿らせるの意味で、"re-wetting" と表現すれば良いと電光石火のごとく閃いたのです。
英語は、単語や文法を暗記して習得するものだと言う認識は現実的でないと 私は考えています。 本来、言葉は現実世界の中で息づいた存在だと思うからです。その方が、リアリティのある「語感」が身につきます。暗記に頼れば一見、便利そうですが、暗記したきた範囲内でしか通用しません。類推の習慣を身につけると、新しい表現を創出していく語感も磨かれます。言葉も生きているからです。
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画像・左:理科室のカタツムリ、同・中:ポスターとキーワード、同・右:Google Scolarでの検索
付記:今春、卒業された暮田佳薫さんがお世話をしてくれていたカタツムリを、引き継いでいます。
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