アート&サイエンスコース
2017.01.07.Sat
本日(7日・土)、府立高津高校(天王寺区)で開催された「日韓高校生環境フォーラム」へ参加させて戴きました。テーマは「天然水の特徴と分析」で、中でも湧水を訪ねるグループがあり、大阪の地理に明るくない私の目を引きました。ちょうど、湧水のような清浄な試料の中から目的としている細菌が分離できるかも知れないという期待がありました。
講師は、元大阪教育大学教授の小林正雄先生で、地下水など日本各地の「名水」に造詣の深い方です(『大阪の名水』、2013)。参加した高校生は韓国から30名、日本から高津高校の他、SSH連携校(千里高校、富田林高校など)からほぼ同数です。元府教育センター・総括主任指導主事(兼総括研究員)の橘淳治先生(現、大阪初芝学園)の斡旋で実現しました。
案内して戴いたのは、聖徳太子が1400年前に建立した四天王寺の境内、それと近隣の地蔵尊の湧水です。いずれも遠く生駒山の伏流水が到達した地下水で、上町台地に位置します。境内の湧水を調べるのは小林先生のような専門家でも、時に地権者との間で誤解を招く恐れがあるそうです。そこで、近くにある管理の緩い湧水の場所も案内して戴けました。そこには、鉄バクテリアのフロック(凝集体)が見つかりましたので早速、採取して検鏡してみました。
鉄バクテリア(鉄酸化細菌)は地層に含まれる鉄分が地下水に溶け出し、2価の鉄(溶解性)が空気に触れて自然酸化し、3価の鉄(不溶性)に変わるような場で、無機物を酸化させる過程でエネルギーを獲得する(化学合成)する細菌に特有の代謝経路です。いわば、有機物以外の物質をエネルギー源としている意味では、まるで霞を食って生きている感じです(有機物がエネルギー源として必須な人間のような動物には体感しにくい代謝で、光エネルギーを使う植物に近い)。
鉄バクテリアは有機物の代わりに化学物質(利用エネルギーを持つ還元物質)を用い、細胞を作るための材料としての炭素源として二酸化炭素ないし炭酸塩を利用する(微量の有機物を必要とする菌株もあって、ややっこしい;しかも、硫黄や窒素の代謝と共役する菌種もいて錯綜します)。"植物"の生息条件を満たす点で、私の目論見は的中したのです。
鉄バクテリアが生息する環境条件で、あと一つの条件(光)を満たせば、私の探索している細菌も見つかるはずです。それが、私の今年の課題です。早速、新しい探究「Wanted 好気性光合成細菌!」がスタートしました。私が湧水地を探した理由です。
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画像・左:四天王寺の境内を案内する小林正雄先生(中央やや右に立つ)、同・中:地蔵尊の水質を調べる高校生と鉄バクテリアのコロニー(左下に嵌め込み)、同・右:鉄バクテリアの検鏡(上:位相差・対物x20、下:グラム染色標本・対物x100、油浸)
付記:位相差検鏡によれば、コロニーの大半は糸状性の細菌で占められ、ところどころに水酸化鉄が析出した痕跡(褐色部)が見られた(顕微鏡写真・上)。グラム染色の判定結果はグラム陰性であったが、細胞が鞘に包まれているためか染色性は良くない。細胞形態から複数の菌種が混在しているように思われた。水酸化鉄らしき顆粒を多数、付着させている糸状体も観察された(同・下)。用いた鏡基はBX-2700TPHLアクロマート仕様+WRAYCAM G130である(レイマー、大阪)。
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ルネサンス高等学校 (大子校)
2021.03.02.Tue
ルネサンス高等学校 (大子校)
ルネサンス高等学校グループは、全国に3校(茨城、愛知、
大阪)、連携キャンパス及び受付・相談センター(東京・新宿代々木、神奈川・横浜、愛知・豊田、名古屋、大阪・梅田、広島、福岡)
を置く広域通信制高校です。
どんなタイプの方でも、安心して学習し卒業できるシステムを構築し、生徒一人ひとりのライフスタイルに合った"学び"を提供しております。
「登校してしっかり学ぶ」「友達を作って学校生活を楽しむ」という学校が多い中、最短年4日の登校で高卒資格が取れる学校は多くはありません。
一方で本当に高卒資格が取りたくても、仕事が忙しくて登校できない、子育てで手が離せないなど様々な事情で、学校に行きたくても行けない方がたくさん居るのも事実です。
ルネサンス高校はそういった方のニーズに答えるために生徒に負担のかからない授業やレポートシステムを作り、14年経ちました。卒業生も約15,000名となります。
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