感潮河川の物質移送ミステリー(2017年06月29日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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感潮河川の物質移送ミステリー(2017年06月29日)

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感潮河川の物質移送ミステリー(2017年06月29日)

感潮河川の物質移送ミステリー(2017年06月29日)

教育デザイン室長の竹内です。探究学習を導入する場合に最大のネックとなるのは、「研究テーマ」を見つける難しさだとよく耳にします。しかし、それは従来から伝統の「正解のある問い」に答える訓練によって思考が硬直化しているためであり一旦、その思考回路を解除して柔軟化させると、一生の間には到底、やり切れないのではないかと思えるほど「問いを発する」のが簡単で、楽しい想いを経験することができます。

スーパーサイエンスコースでは、そのような体験が日常的にできますので今回は私、竹内が最近の出来事を紹介します。順次、連番を振ってコースに在籍する生徒たちにも証言して貰うことにして行きましょう。

❏ 探究学習 プライミング 事例シリーズ「ファイル01:海の藻クズが河川を遡っていた!」

一昨日(27日)の梅雨の谷間、思い切って淀川の十三干潟へサンプリングに行きました。 今回、ヘドロ電池に用いる堆積物の採取が目的ではありませんでした。底泥表面で珪藻が繁茂するので褐色のバイオフィルムが形成されているのが常識("Secrets of the Essex salt marshes", University of Essex, Colchester, ITV News, Anglia, UK)なので、筑波の研究者から珪藻マットに関する照会があったため急きょ、探しに出たのです。

タイ国でも英国でも見られましたが、スラム街や放牧地のない大阪の淀川は汚いように見えて実は結構、途中の下水処理場で栄養塩除去されているのです(平成27年度 水産技術センター・研究業務成果発表会、大阪府)。無論、水質環境の改善は喜ばしいことですが、実験材料の調達としては当てが外れてしまいました。

同じフィールドに出ても目的が違うと目線も違い、干潟の底泥の表面ばかり目が届くから不思議です。つまり同じ場所に立っても、問題意識の違いで「見えてくる」対象物が異なってくるのです。私が「探究学習」を進めるに当たり、暫定的であれ研究テーマを絞ってみることを推奨している真意もココにあります。つまり目的のない学びでは、学んでいるように見えても事実上、まったく学べていない(足踏み状態な)のです。それを、あたかも「全方向へと発展する学び」であるかのように既存の教育が錯覚させてきたのだと思います。

これは重要なポイントです。同じ時間を費やしても「針の穴」のごとく偏った学びをしている方が、「針穴写真機」でも像を結ぶがごとく1点突破して反って幅広く、発展した学びへと向かうのです。漫然とした学びでは発見(脳の発火)が起こらず、個人の成長も起こりません。問題を解く練習をすれば、その問題への正答率のみが高まっても「興味が次の興味を呼び込む」持続発展性は期待できません。真の学びではないからです。大学や実社会が求めている学びは何かを今一度、問い直した上で「学びをデザインする」必要があります。

満潮時には水を冠る岸辺に近い汀線に目をやると、褐色のパッチ状の物体に小さな巻貝が集っている光景が目に留まりました。指で摘んでみると、網目状のムシロのような構造をしています。以前なら、気づかなかったのを「何だろう?」と好奇心のアンテナを立てながらサンプリングして理科室へ持ち帰りました。

先に実体顕微鏡で覗いた岩田くんが「海藻みたい」と呟きました。私が確認すると、その通りでした。私は『舞昆のこうはら』の鴻原森蔵社長のご厚意で貴重なガニアシ(コンブの仮根)を研究用に分与して貰っています。大阪湾なので、ワカメの分解しにくい仮根部が海を漂って淀川を遡上してきた可能性があります。

我々は、河川上流で発生した水生昆虫の脱皮殻が河川を流下して河口から沿岸海域へ出ていくという前提で脱皮殻(シャック)の移送とキチン分解微生物の挙動を今年、研究しようと企てています。何と、想定していたのと逆方向(下流から上流)の物質移送もあり得るのだという事実の一端を、こうして掴んだのです。

勘や閃きが、不正確で信頼性を欠く能力と考えるのは早計です。暗記学習など、結論と筋書きが決まった学びだと「袋小路(closed)の学び」ですが、探究学習ならば「エンドレス(open)の学び」です。出尽くしたり、涸れることはありません。現に、岩田くんは海藻が微生物分解しても硬くて最後まで残る仮根部を顕微鏡で見た経験がなくても「海藻みたいだ」と推測する力が誘導されていたのです。恐るべし。私が判断したガニアシとの共通項は、藻体に固着していた珪藻の殻が決め手でした。それで、仮根部の繊維質が絡まって網目構造を作っていたと推測したのです(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・左:汀線部で見つかった謎めいた褐色の生物膜(藻類マット)、同・中:実体顕微鏡(4倍)で覗いた網目状の構造物(光沢のある組織の表明、内部の細胞、網目の隙間に絡まる卵塊らしき物体)、同・右:海藻の仮根と思われる繊維に強固に付着した珪藻の殻(フクシン染色後、20倍対物で位相差・暗視野)。

付記:スーパーサイエンスコースで起こっている「ワクワク感」を伴った学びの一端を私と生徒がリアルタイムで適宜、ご紹介して行きます。発見や気づきの要領(コツ)を掴んで下さい。私たちが特段に頭脳明晰な訳ではなく、この学び方に入ると直感が磨かれ、自然と閃いていくのです。同じ効果を机上で本から得ようとしても到底、無理だと実感しています。私たちは、一部のみ披露し、後は読者がそれぞれに発見や気づきを各自で堪能していって貰うことが望みです。是非、お仲間に加わって下さい。新世界への扉を開けました(竹内記)。

教訓:問題意識を持つこと。その動機が何であれ、見抜く力(発見力、洞察力)がアシストされます。堀川高校の探究基礎委員会の生徒らが成長の始まったターニングポイントを「自分の研究テーマを決めた時点」と、口を揃えて証言しています(授業公開日に竹内聴取)。探究学習には、成長を招く原理があります。ホントです。

注釈:「感潮」とは、潮汐の影響を受けるの意味で、英語表記では "tidal" となります。潮が満ちたり引いたりする河川の下流部を指します。感潮域における物質移送は非常に複雑怪奇だと思われますが近年、数値解析技術を駆使してシミュレーションで可視化する研究も進められています。

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