探究テーマ「問いの見つけ方」ガイド(2017年07月26日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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探究テーマ「問いの見つけ方」ガイド(2017年07月26日)

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探究テーマ「問いの見つけ方」ガイド(2017年07月26日)

探究テーマ「問いの見つけ方」ガイド(2017年07月26日)

教育デザイン室長の竹内です。学びを教科書や教室に限定してしまうと、新たな問いを立てることは至難のワザだと感じてしまうと思います。事実は、それに反します。既知の事項(=氷山の一角)より未知の事項の方が、比べ物にならないほど無限に手つかずに残されている、というのが実感です。

無論、ノーベル賞級の問いなど、そうザラには見つかりません。が、どれも後で重大な問いだと判明してくるのが現実ではないでしょうか(光るオワンクラゲのGFPにしても、熱水中から見つかった耐熱性Taqポリメラーゼにしても)、最初は素朴に個人的な好奇心の"アンテナ"に引っかかってきたはずです。

今回、淀川の十三干潟で調査する時にシジミの生態を例に出し、関連した探究学習へのほんの"糸口(clue)"として、一つの"新しい仮説"が生まれていくエピソードをご紹介しましょう(端的に言えば、「え? 吐き出しているの泥じゃないよね。」と気づき、中腸腺の構造を調べて二枚貝の新しい"捕食者像"が見えてきたのです)。

シジミは泥深い底質環境に生息していますので、"砂出し"と呼ばれる2日間ほど薄い食塩水の中で蓄養する必要があります。確かに初日、黒っぽい泥状の微粒子を痕跡程度に吐き出しましたが、直ぐ白っぽい粘液質の微粒子を主に吐き出すことに気づきました。それを顕微鏡観察すると細菌(バイオフィルム形成する付着性)だとわかりました。培養試験によって、タンパク分解酵素(プロテアーゼ)を分泌する菌株が多いことも判明しました。

以上のことから判断すると、シジミが餌料となる有機物粒子の加水分解を助ける効能をもつ細菌の集塊を、吐き出していることがわかりました。シジミを含む二枚貝は水管(入水管と出水管)を持つろ過捕食者であることから、水中の懸濁粒子を水と一緒に吸い込んで消化吸収していることがわかります。ちなみに培養したクロレラを与えると、シジミに取り込まれて水の青さは消失しますが、数日すると細胞壁の強固なクロレラは未消化のまま吐き出されたらしく、クロレラが増えて飼育水全体が真っ青に変わりました(自然条件下で、クロレラがシジミの餌料になるとは考えにくく、金魚がクロレラを取り込んでも消化されず、逆に金魚の消化管でクロレラが栄養を奪っている可能性もある;逆転の中本学説の一例)。

可能性として干潟の一定区画に生息しているシジミは、消化を助ける加水分解細菌を餌料や砂泥と一緒に取り込んでは消化管の中で餌料の消化吸収を助けて貰いながら、消化補助となった細菌を吐き出し、シジミの部分集団内で共有し合うという"メタ・ポピュレーション"形成の構図が炙り出されました。

無論、以上は断片的な観察や実験に基づく推論なので、さらに立証していくためには追加の観察や実験が必要になります。一般に、二枚貝の消化器官は中腸腺と呼ばれる胃に続く横穴にできた憩室(凹み)を持つ構造をしており、餌料と一緒に加水分解する細菌を取り込んで、消化を促している可能性には合理性を感じます。

以上をまとめると、探究学習で問いを自分で立てて、進めていくために必要な要素は、1)第一に(本や教室を離れ)現場に出ること、2)現地で実物に触れたり、観察すること、3)必要なら、現物を持ち帰ること、4)手元にある材料(例、クロレラ培養液)を用いて簡単な実験操作を加えること、5)得られた結果を観察すること、以上のような観察と実験を繰り返すことで、観察力や発見力は確実に磨かれて行きます。逆に、書物や教室に踏み留まる限り一見、学んでいるように見え、確実な手応えは何も得られないまま時間が経過します。

畢竟、入学試験に合格したり、採用試験で通過すれば、束の間の安心が得られるかも知れません。が、それはホントの自信に繋がっていくものなのでしょうか? たまたま私は生物学の例を出しましたが、本来、地理・歴史や文学探訪、民俗学や社会学など、文理を問わず、あらゆる分野で本と教室での"又聞き"に依存した学びは、問題解決力に繋がらないと思っています。それが、政府開発援助(ODA)や経済移民(Highly Skilled Migrant)を経てきた私の抱く実感です。この学びは、世界の何処へ行っても通用します。恐らくは時代を越えてもです。苦労でありませんし、逆に楽しい営みです(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・左:干潟で底泥中へ潜ろうとしているシジミ(嵌め込み図は、泥の粒子間を滑走運動で素早く移動する羽状目珪藻)、同・中:底泥表層の浮泥懸濁液(位相差で暗視野検鏡、無機質の鉱物粒子が輝いている)、同・右:水管を全開させているシジミ(実験室内で)。河口域など汽水に産するシジミは日本固有種のヤマトシジミであり、その食性に関しては陸生の有機物源(ヨシのセルロース)を栄養源にしているだろうとの説もある。

備考:単細胞の植物細胞である珪藻が、泥の粒子の合間をかなりなスピードで滑るように動き回るという事実を知ると多くの人はきっと驚かれると思います。珪藻の珪酸質の殻には微細な孔がたくさん開いており、細胞内の原形質流動に連動して平面上の移動できることが知られています。これが、羽状目の珪藻に限って見られる滑走(滑り)運動です。これにより泥の表面で珪藻が一時的に泥に埋もれてしまっても、泥から這い出ることができるのです。表面まで出れば珪藻は光合成を営むことができ、同時にシジミに吸い込まれれば、消化されてしまいます。強固な細胞壁を持つクロレラと違い、孔だらけの珪藻の細胞はシジミの中腸腺で容易に消化・吸収されると思われます。カキも浮遊珪藻をろ過するので養殖イカダの付近は、透明度があがると伝わります(竹内記)。

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