サイエンスコース
2017.07.28.Fri
スーパーサイエンスコースでは、受け入れる生徒層を拡大するため守備範囲の拡大に努めています。8月に国立研究機関(国研と略称)から専門家が調査のため来校されるので事前調査を試みました。機材は届いていましたが、その前に簡易な方法で予備実験を行いました。
加工が難しい透明アクリル管の代わりに塩ビ管を斜めに切断し、サンプラーが穿孔しやすく工夫しました。同じフィールドで調査実績があり、文献も把握されている研究者(大阪府大高専・都市環境コース大谷壮介准教授)から事前回答があった調査前例の深度を目安に泥深20cmのコア採掘を達成することが当座の目的でした。
長さ1mのパイプを真ん中から斜めに切断し、2本のサンプラーを用意しました。それを十三干潟に適用したところ、目視で25~30cm深はパイプを打ち込めたように見えました。実際、コアを引き抜いて実験室へ持ち帰って押し出してみると、全長が20cm余の柱状の試料が得られました(打ち込む時に上層の密度の小さな堆積物が見掛けより圧縮された可能性がありそうです)。
柱状試料の最上層(0-2cm)と最下層(18-20cm)の部分からパイプが触れた面の奥側から砂泥試料の一部を分取し、水に懸濁しました。その一部をスライドガラスに塗り広げ、風乾させた後、常法に従ってグラム染色し、油浸x100の対物レンズで(内容物を欠損した殻が多かったため)位相差で検鏡しました。今回の主な観察対象は珪藻の遺骸に絞り込みました。
結果的に、珪藻遺骸はそれほど多くは見つかりませんでしたが、現世の藻類も混入している上層からは大き目のサイズで多様な珪藻の遺骸(殻)が破損のない状態で確認できました。一方、下層からは大きな珪藻の殻が破損した状態で見つかり、遺骸の周辺(一部、内部)に球状の暗色に染まる粒状の物体(グラム陽性の球菌または何らの沈積物)が目立ちました。
珪藻遺骸分析は、花粉分析と同様、「微化石」のカテゴリーに入り、古(堆積)環境の推定に利用されます(専門の研究機関で若手の初心者向けの研修コースも開講中)。日本には、地球深部探査船「ちきゅう」や掘削したコアの保管施設「海洋コア総合研究センター」を擁しているため、この分野では世界有数のメッカ(Centre of Excellence)となっています。
IODP プロジェクトでは、高校生を対象にした次世代育成方針も掲げてきました。淀川の事例も報告されていますので、ご紹介しておきます(神戸市立六甲アイランド高校)。高校生以上を対象にIODP(統合国際深海掘削計画)10年の集大成が動画として公開されています(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。
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画像・左:十三干潟で干潮時に堆積物の柱状(コア)試料を試験的に採掘(嵌め込みは、採取したコア)、同・中:珪藻の微化石(左側:コア上層から分取、右側:同下層から分取;細胞質はフクシンで濃く、珪酸質の殻は薄く染まる)、同・右;淀川の十三干潟、調査地点の全景(対岸にランドマークのスカイビルが遠望できる)。
付記:このテーマに関連した以下のサイトが充実していますので、ご紹介しておきます:1)珪藻化石、2)沿岸域の生物地球化学、さらに、過去と現世を関連づけた解説をした総説(学術雑誌『地球化学』、2010年)も公開されています(無償ダウンロード可)。今の時代は、自ら学べる環境が充実しているものです(竹内記)。
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ルネ大阪広報
ルネサンス高等学校グループは、全国に3校(茨城、豊田、大阪)、7拠点(札幌、仙台、東京・新宿代々木、神奈川・横浜、愛知、豊田、名古屋、広島、福岡)に連携キャンパス又は受付相談センターを置く広域通信制高校です。
どんなタイプの方でも、安心して学習し卒業できるシステムを構築し、生徒一人ひとりのライフスタイルに合った"学び"を提供しております。
「登校してしっかり学ぶ」「友達を作って学校生活を楽しむ」という学校が多い中、最短年4日の登校で高卒資格が取れる学校は多くはありません。
一方で本当に高卒資格が取りたくても、仕事が忙しくて登校できない、子育てで手が離せないなど様々な事情で、学校に行きたくても行けない方がたくさん居るのも事実です。
ルネサンス高校はそういった方のニーズに答えるために生徒に負担のかからない授業やレポートシステムを作り、今年で12年。卒業生も1万人を超えております。