年明けから「巻貝」採集を始めました!(2018年01月08日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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年明けから「巻貝」採集を始めました!(2018年01月08日)

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年明けから「巻貝」採集を始めました!(2018年01月08日)

年明けから「巻貝」採集を始めました!(2018年01月08日)

スーパーサイエンスコース担当の竹内です。昨年末は巻貝から発生した寄生虫*1の幼生(セルカリア)が日本住血吸虫と非常に似た形態をしていて騒動になり掛けました。私たちは、この出来事と遭遇するまで寄生虫学の研究分野とは全く無縁だったからです。

*1 系統分類学的な位置づけは、扁形動物門吸虫綱二生吸虫亜綱で「二口虫(ジストマ)」とも呼ばれる。これは口吸盤(吻)と腹吸盤の2つを口だと思い、2つ(ジ)の口(ストーマ)の意味から名づけられた。

これを機に、淡水域から汽水域、さらに海域まで文献検索していくと、幅広い研究領域が拓けてきて、かつ研究も着手されたばかりだと知りました。特に、初歩的な部分では(日本寄生虫学会の皆様からご助言戴いた通り)中高生でも取り組めることを知りました。さらに、英語文献を検索したところ、南米やインドなど研究設備が十分に整っていない環境下でも、実体顕微鏡や生物顕微鏡で根気よく観察する策が講じられることが理解でき、当コースの研究課題として相応しいと判断した次第です。

幸いと新1年生としてコースに加わってくれるAくん(顔出し・名出しは控えます)は、魚釣りが好きで寄生虫に関心を示してくれているので、当コースのいわば「開発中の新車」みたいな期待のニューフェースです。この3連休で高知へ家族旅行で行くついでに、巻貝を採取してきて貰いました。家族旅行中の生物採集など無粋に聞こえますが、旅行先で飼育用の魚を捕獲したり、水族館へは立ち寄るご一家*2だそうです。

*2 緩速ろ過技術をご専門とする中本信忠先生(信州大学名誉教授)のご一家では、家族旅行へ行くと必ずその土地の浄水場へ立ち寄る・・というエピソードを漏れ聞きましたから、よく似た背景です。

それに合わせて私も、淀川の赤川ワンドと十三干潟で各々、淡水産及び汽水産の巻貝を実験材料として採取してきました。寄生虫のセルカリアを観察するだけでなく、巻貝を飼育する準備も進めます。年末の騒動でお世話になった滋賀県立大学・浦部美佐子教授が書かれた手引書『湖と川の寄生虫たち』(サンライズ出版、2016年刊)を入手し、段々とこの研究領域に馴染んではきました。寄生率が高いという点でスタンダートと言えるカワニナの寄生虫(横川吸虫)のセルカリアの動きも観察しました*3

*3 誘発が効果的だったか否かは未確定ですが、飼育中のカワニナと海産魚のハモの血液を含む心臓を接触させた場合に泳ぎ出していました。非常に小型のセルカリアで、まるで UFOを撮影した動画のように不鮮明です。アユなどの鱗の裏に隠れヒトの消化管を経て、排泄物と伴に自然界へ回帰します。彼らの移動経路と変幻自在に発現する自然のプログラミングの巧妙さには、圧倒される他ありません(二生吸虫の生態を扱った「宮地賞」受賞記念総説「二生吸虫 : 宿主を操る黒幕の正体」(三浦収、2013年)も無償でダウンロードして読めます)。

Aくんは、高知市はりまや橋付近の河川(汽水域)でイシマキガイ(稚貝を含む)を採取できたそうです(画像参照)。私は城北ワンドでは岸に全く這い跡(生活痕)すら発見できませんでしたが、少し下流の赤川ワンドでは、這い跡も見つかりカワニナを10個体採取できました。また、十三干潟では水没したゴロタ石の裏面に非常に小粒の巻貝が多数、付着している*4のが確認され、理科室で実体顕微鏡を用いてカワザンショウガイであることを確認しました。

*4 以前のブログ記事で、海の藻屑に付着したいた小さな巻貝をイシマキガイの稚貝と誤認していました。記憶を辿ると、見覚えのある目と触覚を持たない点が、カワザンショウガイが持つ特徴です。スライムカルゴに似ているという声もあります(うっかりすると水中から這い出てしまうことも・・)

今後、数種類の巻貝を理科室で魚と一緒に飼育し、食性などの特性を把握していく方針です。それと言うのも野生から巻貝個体を採取してくると、先ず脱糞が始まり、寄生虫のセルカリアの放出を観察しているうちに餌がないと衰弱していくことがわかりました。そのために実験室で飼育する方法を確立しておく必要を痛感した次第です。かくして次期の研究領域が新しく拓けてきました(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・上段左:実体顕微鏡で巻貝を観察中のAくん、同・上段中:Aくんが見つけたイシマキガイの個体群(高知市)、同・上段右:きもかわキャラを持つカワザンショウガイ(サイエンスコースでの通称、ポリゴン;目が似ているから)、同・下段左:カワザンショウガイを採集(淀川・十三干潟)、同・下段右:カワニナが採集された場所(淀川・赤川ワンド、背景は柴島浄水場からの水道橋)

付記:偶然のハプニングから今回、中高生でも危険な響きがある寄生虫学に歩み寄れることを知りました。その一方で、寄生虫と宿主との関係、特にヒトに対する危害を生じるようになる引き金が何処で引かれたのか興味を抱きました。特に、日本国内では日本住血吸虫の問題は大変な努力で乗り越えましたが、世界ではアジア・アフリカを中心に克服できていません。北米(西海岸)では、何と日本起源の巻貝が海水浴客に皮膚炎を生じるセルカリアを放出している被害が現在進行中*5 との情報を英語文献で知りました。グローバル時代であるがゆえ、いつブーメランとなって帰ってくるのかも解りませんし、環境中の変異原性物質で誘起され得る突然変異が招く影響も将来、気になります。現代人が心得ておいてよい方面の知識でしょう(竹内記)。

*5 DOI:10.3201/eid1609.091664Cercarial detematitis transmitted by exotic marine snail, 2010)  上記CDC(米国疾病予防管理センター)のサイトからPDF版がダウンロードできます。

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