「正解なき問い」に向かう「学び新時代」(2018年09月08日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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「正解なき問い」に向かう「学び新時代」(2018年09月08日)

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「正解なき問い」に向かう「学び新時代」(2018年09月08日)

「正解なき問い」に向かう「学び新時代」(2018年09月08日)

現行の学校教育制度の下で教育を受けてくると、授業を聞き、実習を受け、試験で正解できれば、それで教育が完結したものだと勘違いしてしまうのも仕方がない。しかし、それは虚構の世界だ。

硫酸塩還元細菌を体系的に調べたBaars(1930)が記載していた酢酸やプロピオン酸を資化する硫酸塩還元細菌の存在は、Postgate (1965)による追試が成功しなかったことから存在しないものと、長く葬り去られてしまっていた*1。しかし、光合成細菌を培養していた大学院生のWiddel(1977)は培養液が真っ黒になる事件に遭遇し、調べていくと硫酸塩還元細菌が生えてきたことを突き止めた。それが一度は抹消されてしまっていた酢酸利用性の硫酸還元細菌の再発見であった。以降、彼は破竹の勢いで硫酸塩還元細菌の世界を塗り替えた

*1 菌株保存機関遺伝子情報などのデータベースが整備されてきた現在、このような心配は無用である。DNAデータベースであれば世界に三大拠点があり、米国(GenBank)及び欧州(EMBL)にある研究機関と同格のポジションを日本(DDBJ)という一国が、辛うじて維持してきた(欧州の拠点は英国からドイツへ戻った)。

授業と試験で回す学校教育の影響下にあると、事実はすべて教科書や問題集の解答集の中にあるような錯覚をしがちであるが、現実の世界はそう甘くはない。それが実務畑を歩いてきた私の実感で、学校教育が間違えだらけとは言わないが、正解ばかりでもないのも事実である。

だから今、クリティカル・シンキング(critical thinking)を呼ばれる現段階での知識が真に正しいのかを見直し、根本に立ち返って問い直す学びが求められるようになってきたのだ。これは、サイエンスコースのような「探究学習」を行っていると自然と身につく。なぜならば研究発表する度に、自らの研究成果をアップデートして行かないとならないことが明白だからである*2。これは教科書と問題集で学ぶ教室での学びでは絶対に身につかない。旧来の学び方では学力がついたと錯覚するだけで、内実は思考が硬直化していくだけである。

*2 ネイティブ・スピーカーに触れて英語を学べる人が幸せであるように、ホンモノの研究に触れてホンモノの科学を知っていくのである。物知りが科学者なのではない(今まで通り「知識の習得も大事です。」と弁明してしまう識者も多いのが嘆かわしい)。

そこで、ゾウリムシである。私は授業用に、生物教材としてゾウリムシを維持している。定期的に植え継がないと死滅してしまう恐れがあるので、厄介である。しかし、そんなヤワな存在であれば、なぜ今まで絶滅せず存続でき、しかも世界中に同一種(Paramecium caudatum)が分布して行けたのだろうか? よく考えてみれば不思議だが、試験で良い成績を収めないとダメという脅迫された状況下では、このような思考回路は育たない。意図的に働かせない脳の機能など、知らないうちに失われていく一方だろう。かつ、討論を促すような場も仕組みもない(いったい学校は人々のために何をしてきたのでしょうか?)。

海を渡る? 浸透圧の変化に耐えられないから無理。空を飛ぶ? 乾燥したら死滅するので無理。人が運ぶ? ご苦労さま! どれも正解でありそうにない。仕方がないので、私は空気中のエアロゾルで湿った状態のまま空中を移動したのだろう・・と解釈してきた(少し無理もありそうだ)。にわかに信じられないかも知れないが、この命題に対して、誰も合理的に答えてくれていないのだ。

実は今を遡る90年前、この問いに立ち向かった先人がいた。Michelsonが、ゾウリムシがシストを形成すると報告していたのだ(1928年)。そして、一人の日本人がゾウリムシがシストを形成することを追試しようとして、失敗していた(1962年)。硫酸還元細菌の追試のように、追いかけると逃げる。どうやら偶然の再会の方が確からしい(よって科学研究が「試験勉強」して片付くシロモノでないことを知って貰えるとありがたい)。

画像を見て欲しい。私が初めて見るシスト様の存在だ。ゾウリムシの継代培養を怠って、かつ幾度か移植に失敗したことで、残った原液の水量が減っていた。私自身もゾウリムシの元株をなくしそうで焦っているのだが、ゾウリムシも生活空間が狭くなっていくのを感じ取って、双方で焦っているのかも知れないな(笑)。

だからと言って、ゾウリムシが急にシストを作って生き延びようとしているとも断定はできない。あり得るだろうが、それでは余りにも目的論的な解釈が過ぎるというもので・・*3

*3 休眠(耐乾燥)シストを形成するコルポーダは、水が蒸発し塩濃度(特に、カルシウムイオン濃度)が高まることが引き金となって、シスト化するスイッチがオンになると総括されている。

シストを作らないとされるゾウリムシシストを作ることが当たり前のコルポーダの両方を扱っている私は、ふと、こんな折衷案が頭に浮かんできた。プロチスタのような原始的な生命体には、コルポーダのように百発百中、シスト化するグループと、文字通り「万が一」の低い確率で、一定の条件の下でのみシストをつくることがあり、その偶然性のお陰でシストが見つからなかっただけでなく、稀に作られることもある謎のシスト(仮説)によって過去から未来へ、近場から遠くへゾウリムシは分布域を広げて行ったのでは、ないだろうか? 真相は闇の中・・。サイエンスコースの活動が「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者を探し求める*4」ように実はミステリアスと知って貰えたら、望外の喜びだ。楽しまなくちゃ(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

*4 谷川流原作『涼宮ハルヒの憂鬱』の冒頭で、主人公のハルヒが吐く有名な名セリフ。

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画像・上段左:謎のシスト(周囲には普段、見慣れない球菌から短桿菌がたくさん分布*5する)、同・上段中:ゾウリムシのシスト形成を追試した1962年刊行の『動物学雑誌』に予稿集に残された記録、同・上段右:3ヶ月間、植え継ぎの失敗や自然蒸発で減少してきたゾウリムシの培養液、同・下段左:正常サイズのゾウリムシ、同・下段右:小型サイズのゾウリムシ(エビオス錠を添加し、シストから栄養細胞へ戻った個体か?)

*5 ある種の細菌が介在することで、他の微生物がサバイバルできるようなる仕組みが介在しても必ずしも不思議ではない。例えば、林原が開発した保存性を高めるトレハロースは土壌微生物が生産し、人間が食品保存料として利用しているが、自然界でも何か役割を果たしてきたと思われる。2000種もの土壌を探索してトレハロース生産株を発見している。自然界に存在していることは事実でも、同等の微生物株を再発見するのは容易ではないことは明らかだ。再現性がなければ、それは科学ではないのだと安易に断じてしまう考えの方が、むしろ暴挙だと思われる。製薬会社の人はサンプル容器を携帯し、千載一遇(一獲千金)のチャンスを狙うほど。

付記:1962年の『動物学雑誌』の寄稿者の所属を見ると、国立大学や国立遺伝学研究所の研究者に挟まれて大阪府立高津(こうづ)高校の教諭の名前があった*6。これが、受験偏差値の導入によって劣化する以前の日本の後期中等教育が高等教育と接続できていた時代があったことの動かぬ証拠である。この卓越した学校教育の質保証によって日本は高度経済成長を果たし、新幹線開発などの技術を実現して行ったと思う。そして、受験偏差値によって、国家が滅びて行った様子なのだ。

*6 現在、学術文献情報の電子化が進められている。数年前から「ゾウリムシ×シスト」で検索しても何もヒットしなかった状態だったのが今回、1960年代初頭の『動物学雑誌』の予稿集に高校からデータベースに直接、アクセスでき無償でダウンロードできたので驚いた。最早、正解を覚えて済ませてしまう時代ではない。

生産性のない受験競争によって、つまらない国に成り果ててしまった。英国の Postgate はチトクロームを発見したが、同時期に北大の石本真教授もチトクロームを発見していた。これが当時の日本の実力であった。あの頃は、世界に肩を並べていたのだ。日本だけ国策(大前研一氏の弁)で受験偏差値を導入したことで著しく国力が低下してしまった。下落の程度は現在、先進国から脱落する勢いである。

かくなる上は、失われた40年間を取り戻す策を講じることである。その間、日本の学校はどれほど不登校・中退者を生み続けたのだろうか? ルネサンス大阪高校のサイエンスコースは、その対策への先駆けであり、次に続くであろう勢力(例、ISSJ)に受け継がれて欲しいと願う(竹内記)。

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