コンクリート修復に「歯石」を使う挑戦!(2018年09月23日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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コンクリート修復に「歯石」を使う挑戦!(2018年09月23日)

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コンクリート修復に「歯石」を使う挑戦!(2018年09月23日)

コンクリート修復に「歯石」を使う挑戦!(2018年09月23日)

サイエンスコースでは新たなチャレンジを進めています。1年半ほど遡ります。大阪府高校生物教育研究会が主催する教員向け実験研修で、我々はグラム染色の実技を提供しました。その時、グラム陰性菌と陽性菌がバランス良くミックスされた検体として、歯垢(プラーク)が適していることに気づいたのです。

このアイディアは元々、主力機として使っている位相差顕微鏡(個人所有)を点検整備に出した際、製造元・レイマー山本三郎社長が「我々が顕微鏡の調整する最終点検する際、常用する検体がある」を位相差装置の調整具合いを点検するのに最適な細菌細胞として、歯垢を使うことを教わったのが発端でした。

その後、上記の研修の準備でグラム染色すると、「食べ物の滓」と信じて疑わなかったのが、「細菌細胞」だったので一微生物学徒としては、腰を抜かすほど驚いたのを昨日のように思い出します。いやはや、我が無知さ加減を恥じる他ありません。「微生物の世界」が余りに広大過ぎて、一筋縄では行きません。

以降、かっこよく「歯垢」を「デンタル・プラーク」と呼びましょう。同じ対象物でも呼び方でイメージがかなり変ってきますね。そのデンタル・プラーク形成微生物フローラのうち、おそらくカギを握るのは放線菌で、8時間から48時間で安定的に増殖してきます(誰でも、口内に"飼育"しているワケですから)。

今後は、起源のハッキリした検体を固定しておこうと思い当時、検体を提供してくれた卒業生・河脇凌くん(大阪バイオメディカル専門学校・バイオ学科1年在学)のプラークを基準にして、粗培養(crude culture)としてスタートすることにしました。彼のイニシャルから「RK菌」と呼ぶことにしましょう。

単にグラム染色用の検体から歯垢が歯石に移行するメカニズムをコンクリートの修復に転用できないかとの想いに至らせた転機は、今年度の「西日本7月豪雨災害」で古巣の呉高専がある地域に甚大な土砂崩れ災害をもたらしたことによります。

実は、この分野はバイオセメンティングとかバイオグラウト(詰め物)と呼ばれる技術分野で、日米で沿岸海域のビーチロックからスタートし、その後、オセアニアでは土壌環境で研究が進みました。現在はオランダのデルフト工科大学*1がもっとも抜きん出た技術を誇るかも知れません(若い頃、廃水処理で名声を鳴らした重鎮の研究者の名前を見つけました)。しかし、歯垢からスタートした研究は世界中で稀だろうと思います。

*1 私も英国の大学研究室に加わっていたので体感的に知っているが、世界的な微生物学的なメッカは、オランダ、特にデルフト学派である。英国で優れるのは、むしろ生化学(サンガー研究所)で、米国の微生物学もオランダからの移民にルーツを辿れる。向かうところ敵なし・・の感があるが、実は日本も本来、発酵技術では世界随一の基盤を持っていたのだが、自覚に乏しい。オランダ人からみたら、かつて「ディジマ以来の友だちだね。」と言われる古い関係だったのだ(鎖国時代の「出島」のこと)。

海外から「自己治癒するコンクリート」としてオランダの技術が独占的に日本に入ってきています。沿岸域のビーチロックに端を発した一連の研究を進められてきています。ここで興味深いのは、私たちのデンタル・プラークを含め、起源を異にし、異なる微生物が関与する研究でも炭酸カルシウムが固化していくプロセスで尿素を分解する酵素(ウレアーゼ)が寄与している点は共通しているようなのです。

ウレアーゼ活性と聞いただけで、私には「病原細菌」のイメージが浮かびます。例えば、ヒトの胃の中に棲み着けるピロリ菌Helicobacter pylori)は尿素をウレアーゼで分解してアンモニアを生成し、胃酸を局所的に中和してしまうとされています。人体の7割は水分であり、ヒトの全ての細胞・組織は全身を循環する体液(血液、リンバ液、脳脊髄液など)の中に浸った状態にあります。にわかに信じ難いのですが、尿素も微量含まれるのでしょう。

ヒトの唾液中にはカルシウムも含まれ、歯石が付きやすい下顎の歯列の裏側付近には唾液腺が開口しています。そこでデンタルプラークを継続的に維持できる培養液に当たる唾液が分泌され、そこにはカルシウムと微量の尿素が含まれ、さらに食べ物中に由来する有機物の痕跡が栄養源となり、歯垢=プラークが代々、継代培養されていくと考えると、合点が行きます。本来は、摩耗する歯の微細な傷を修復するようなプラスの効果もあったものと推測されますが、歯石にはマイナスイメージしかありませんね。

これで「超異分野」ネタに見えた歯石とコンクリートとが、なぜ結びついたのか、理解して戴けたものと思います。我々の技術は後発です。しかし、原理は同じであり、技術が使われる場面が多様であることを鑑みれば、技術開発を続けていくことの意義は明らかだと思います。コンクリートには、海水をかぶる場所もあるでしょうし、地下水に浸った場所もあれば、乾いてしまう場所もあるでしょう。歯石が湿った口腔内で歯垢から固化していくように、我々の技術は水に浸った場所で有用かも知れません。

うまく行くか否か、そんなことはわかりません。正解かどうか解らないから、挑戦する価値があります。学びとは本来、壮大な夢を掛けた冒険だからです。偏差値を合格圏に入れる学びなどちいさ過ぎて、そんなモノが断じて学びであろうはずがありません(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・左:デンタル・プラークの提供者(ドナー)、同・中:堤防コンクリートのクラック(淀川)、同・右:実験協力者によるプラークをサンプリング中

付記:暗記勉強を放棄すれば、無限大(エンドレス)の探究学習が始まります。それは、思考の方向性が真逆になるから当然の結果です。方や唯一解に誘導される収斂(=収縮)する脳を作るか、方は無限に発想が広がる拡散(=発展)する脳を作るか。それを決めるのは、これからの時代は自己責任なのだと思います。当然ですが、思考回路を硬直化させてしまわない学び*2を私はお薦めします(竹内記)。

*2 これまでの「唯一解」を求める授業や試験のスタイルが、思考を硬直化させ、志望理由書をはじめとする最低限の文章も「書けない」高校生を大学に送り込んできた弊害が今、「高大接続」改革の中で、注目されています。文章を「書く」ことは「考える」思考活動に直結し、それは国家としての「生産活動」全体にも多大な影響を及ぼすので、学校教育の根幹が次に問われていくことになるでしょう。優に20年間は放置され続けてきた問題です。各界で「失われた20年」が話題になりますが、根っこは単純に学校教育だったのかも知れません。

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