学問と実務を往来し「ジョブ型」を考える(2018年12月07日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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学問と実務を往来し「ジョブ型」を考える(2018年12月07日)

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学問と実務を往来し「ジョブ型」を考える(2018年12月07日)

学問と実務を往来し「ジョブ型」を考える(2018年12月07日)

教育デザイン室長の竹内です。私は過去、いろいろ挑戦してきましたが、最大の冒険は2000年に都庁職員を中途退職し、英国へ家族と片道キップで渡航したことかも知れません。日本人は偏差値で安全圏の大学を受験する進路指導が定着*1してしまって久しいので、私のような生き方は理解されにくいかも知れません。しかし、私自身、早稲田大学系属校の無試験推薦での希望調査に対し白票を投じ、学費が安い*2東京都立大学理学部を選びました。関心のある生態学が植物・動物・微生物の3分野とも充実していたからです(最終的に微生物生態学を専攻)。硫酸塩還元細菌を卒研テーマに選びましたが、これが後に英国Leeds大学工学部へ都庁から海外研修制度を通じて導かれる結果となりました。縁とは不思議なものです。

*1 偏差値による進路指導が約40年続いたことが国民を親子二世代に亘って萎縮させ、冒険心を喪失させ、ひいては恋愛下手で少子化を後押しして国の存続を怪しくさせてきたと推察できます。*2高等教育を受けるための学費は近年、異常なまでに高騰してきているので大学進学には問題も感じます。加えて有用情報がネットで無償公開され、巷に開放実験室(オープン・ラボ)が登場する時代なのですから、なおさら微妙です。

Leeds大の土木工学科(Civil Engineering)の公衆衛生グループ(Public Health Group)は皆、生物学から工学へ転向した者ばかりで、上下水道の研究、中でも熱帯下水道で世界一の実績であることは渡航して初めて知りました(1993-94年に滞在)。これが都庁へ戻って3年後の1997-99年、バンコクへJICA専門家(水質分析職)として派遣されました。公用ビザで日本国政府のタイ国政府に対する技術を移転する職務での派遣です。その期間、子供はインターナショナルスクール(IB校)に在学しましたが、これが英国への道でした。

インター校は学費が割高で大学院の学費にも相当し、私が大学院博士課程へ進学したら子供は現地校で無償で教育を受けられると知り、都庁を中途退職して英国の大学院留学をしました。私が高知大学の海洋センターで海洋微生物の修士課程を終えると、下水の微生物学は海洋の微生物学より未開拓でしたので技術や知識の転用は比較的容易でした。が、下水道局に採用された1985年は遺伝子の増幅技術であるPCR法が始まった頃で、私は大学で学んでなく(PCR法が確立される以前で*3)、微生物学の進展に追随していくのが厳しくなっていくのを感じました。そこでLeedsではなく分子微生物学のラボもあり、私が温めてきた研究テーマが取り組めるEssex大学の博士課程で自分から企画をプロポーザルして世界初の研究にチャレンジしました。

*3 現代では、大学で学んだ実験手法は直ぐに古くなってしまいます。賞味期限は高々5年程度でしょうか? 卒業することより繰り返し学び続けることが重視されていく時代になるのだろうと予見できます。

最終年次に英国で職探しをするため高度就労者移民制度(HSMP)に自力で挑戦し、在留資格を得ました。が、実験室のDNAの抽出に使うフェノール暴露事故に巻き込まれ、遺伝子を扱う実験からは決別することを決め、Wales大学Bangor校へ移籍しました(呉高専で遺伝子を取り扱った時には、フェノールを使わない代替手法「FTAカード」を使いました)。Walesでは泥炭湿地(Peatlands)の菌類生態学へとシフトしました。山頂部に貯水池のごとく広大な湿地帯があり、英国の最長河川の源流点になっていたのには、驚きました。

私の場合、理学部出身なのでベースは学理でスタートしました。が、徐々に海洋学(水産)を経由して、都庁の採用試験は「生物職」でしたが、採用が料金収入のある公営企業局(上下水道)なので土木職の職員が主流の職場でした。しかし、海外へ派遣できる水質職は職種比で首都圏の規模でないと人員を派遣不可ないため、都庁へ入ったのが即、海外派遣への指定席でした(後で知ったことです)。私は学理から実務へ転じたタイプですが、逆に応用から学理へ転じた研究者もいます(豊橋技科大学・平石明名誉教授)。私と逆方向のルートを辿り、企業で先駆的なベンチャー部門「コニシ環境バイオ研究所」を作り、廃水処理から呼吸鎖キノンの分析まで微生物の群集解析手法「キノンプロファイル法」を体系化し、遺伝子の系統解析技術が広まるまで過渡的な化学分類学的なツールとして日本発で広く普及に尽力されました。

欧米の考え方では、日本ほど応用科学と純粋科学を区別しない。例えば、英国で同僚だったある菌類研究者(Dr John Hallsworth)は以前、医学畑に身を置き、時にはNASAの火星プロジェクトに参画していました。要は一人の人間が、その時々で分野を越えて変幻自在に活動し続けるのです。若い修行時代には同じ場所にジッとしていたら学びが乏しくなるからです。これこそ本来の「ジョブ型」のキャリア軌跡であると、私は捉えています。ある年齢に達したなら落ち着くべきです。私も高専には定年まで残るべきだったのでしょうが、そこでの使命を果たし尽くしてしまった感が漂いました。その代わり、今の職務には尽きせぬ夢を禁じ得ません。日本の命運を決定するカギとなり得る高校教育の改善に実験的に取り組めるのは、ここが私は日本で唯一の最先端の場だと、そう感じているからです。言わずもがなですが、問題ないからではありません。逆に、問題ある場にこそ解決策があるはずだと睨んでいるのです(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・左:英国・ウェールズのPlynlimon地方にて泥炭地のリグニン分解に関して同僚たちと野外調査(2005年夏)、同・中:2007年春、雪が残る長野県須坂市の西原浄水場をNPO地域水道支援センターの会員一行と施設見学(左端は、信州大学の中本信忠名誉教授)、同・右:英国イングランドDedham(デダム)教会・牧師館(宿坊)の前で・・(2000年の渡英直後の筆者と妻子)。

付記:昨日、サイエンスコースを「ジョブ型」にシフトするアナウンスをしたことで心配されている関係者もいるに違いないと思います。が、上記の通り学理と実務は双方向でリバーシブルだから心配ありません。逆に、大学を含む全ての学校種が本来、「ジョブ型」をベースに(上越教育大学教職大学院・西川純教授著『2030年 教師の仕事はこう変わる!』、学陽書房2018年)し、一部の人材層のみ任意で「ジョブ型」から研究職を目指すので正解だろうと思います。何しろ大部分の高卒ないし大卒者は実務畑で就労するのですから、これまでのような普通科に重点を置く教育施策はまるで国民を予備校講師に仕立てたいのではないのかと訝しくも感じます。結局、普通科は専門高校のような実習の設備投資が不要だから"安上がり"の校種だったはずです。それはルネ大阪のような予備校跡地(学園ビル)に理科室を設置すると、電源設備の工事だけでも経費が嵩みます。光熱費のランニング・コストだって発生します。ですから何かオリジナルな成果が期待できる教育活動を実践*4して行かなければ、理科室で教育活動を行う真価は生み出せないのではないかと思います。

*4 現在、従来からの実験・観察をするラボ機能に加え、絵画(デザイン)制作のアトリエ機能、撮影・録音ができるスタジオ機能、工作ができるワークス機能など、用途を多目的化させ、さらにコーチングなどの部活関連のグループワークも展開し、創造性を発揮できるよう配置を工夫していく考えでいます。

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