常識を疑う「腸炎ビブリオ」が貝類に同居?(2018年12月22日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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常識を疑う「腸炎ビブリオ」が貝類に同居?(2018年12月22日)

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常識を疑う「腸炎ビブリオ」が貝類に同居?(2018年12月22日)

常識を疑う「腸炎ビブリオ」が貝類に同居?(2018年12月22日)

サイエンスコース主幹の竹内です。決して小出しにしている訳ではありませんが、ゼロ・スタートの探究学習では逐次、手探りを通じて情報の更新が起こります。多くの高校生諸君は文字に書かれた内容が正解と信じ込んでいるかも知れませんが、現実にあり得ません*1。それでは「学校」の「授業」が成り立たないから、暫定的に知識は固定化されているという前提に立ち"授業や試験の世界"が生まれ、成績が評価されているのです。学校での学びは確かに"土台"ではありますが所詮、社会の実態とは乖離しています(実務家教員として断言します)。

*1 ノーベル(生理学・医学)賞を受賞した本庶佑氏が吐露した「ネイチャー・サイエンス誌の9割は間違い、教科書だって疑って掛かれ!」は物議を醸し出しましたが、"critical thinking" の精神を述べたもの。学業成績が直ちに、研究能力に直結するものではありません。学業成績に優れることイコール研究者に向くという誤解が、研究者を志す者に挫折感をもたらす原因になり得ます。これは世間で、とかく誤解されがちな"落とし穴"です(ある程度の成績の良さは研究に必要条件ですが、研究に向く資質には十分条件ではないからでしょう)。

しかし、小・中学校の内容ならともかく、社会へ出る一歩、手前にある高等学校の教育課程も、そんな仮想的な姿勢で問題ないのでしょうか? 高校教育が真に大学での学びや社会の業務に直結しているのでしょうか? 私は自らの実務経験(都庁、JICA)から、大幅に改善すべきと考えます。反例を一つ、お見せしましょう。

腸炎ビブリオは、ビブリオ属の好塩性の海洋細菌だとされています(半ば、定説化)。従って、食品衛生のサイトや専門書では真水で洗えば良い・・などと記載されている例が大半です。しかし、イシマキガイの寄生虫の存在を探ってきて、駆虫剤として添加したスピルリナ製剤(有効成分は、恐らく青いフィコシアニン色素と推測)で追い出されたほぼ均質な細菌群集を特殊な寒天培地(クロモアガー・ビブリオ)で培養したところ、腸炎ビブリオ類似のコロニーが形成されました(生徒と一緒に体験したかったので1ヶ月以上、待ち続けました)。

巻貝から泳ぎ出させた細菌群集を寒天平板に塗抹したら、均質な状態で藤色のコロニーが形成されました。この培地は汲み置き水道水で調整し、かつオートクレーブをしていません(培地メーカーの指示による)。それでも室温でのオーバーナイト・カルチャーで一面に生えました。腸炎ビブリオは、大腸菌の増殖速度を上回る早さで増えます。だから腸管の中で爆発的に大増殖してしまうから食中毒の原因菌足り得るのです。「貝に当たる」と言う食中毒の背景は、貝の体内でも栄養が豊富な中腸腺(肝臓と膵臓が合体した消化器官)に腸炎ビブリオが住み着き、陸水と海水が交じる汽水域での新たな「ニッチ」を見い出したからでしょう。

今回の培養試験では、腸炎ビブリオの存在が推定された(推定試験)だけで、必ずしも確定された(確定試験)だとは言えません(政府系諮問委員会報告、2009)。最新の遺伝子解析技術で特定の毒素を産生する機能遺伝子tdh(耐熱性溶血毒;thermostable direct hemolysin;感染した患者から臨床由来)及びtrh(TDH-related hemolysin;水産物及び環境由来)を検出する必要がある*2

*2 イシマキガイへの定着には、これらの耐熱性溶血毒が関与している(熊澤教眞、2007)との指摘もある。

我々は、イシマキガイの寄生「虫」を追い掛けていたら、魚介類を生食する食習慣のある日本人に感染例の多い食中毒の原因「菌」、腸炎ビブリオVibrio parahaemolyticus;日本人によって命名された)が巻貝の内蔵を貯蔵庫(resevoir)として巣食っていた可能性に遭遇してしまったのです。決して未知なる初の発見だと言えませんが、違った経路で調べてきたら既知の発見にクロスオーバーしてしまった*3と言えます。しかも、驚くべきことに培地は汲み置き水道水で調製し、試験した巻貝も淀川から採集してきて1ヶ月間、淡水の飼育水槽で蓄養していた個体でした。すなわち、そこには海洋細菌の "Vibrio" の面影はなかったのです。

*3 寄生「虫」でも病原「菌」でもない、両者に共通する上位概念である寄生生物=パラサイト(parasite)の概念をプロポーザルする必要性を感じます。

文書に書かれたものを盲信するなら、直ちに混乱を来すような矛盾です。しかし、40年ほど遡る古い文献を辿ってみても海洋細菌であることを疑い、陸生細菌ではないかと見た紆余曲折が見え隠れしています。多くの人が疑いを抱きながら、見過ごして来てしまうような弊害もあるようです。定説が一旦、確立してしまうと、常識を覆すのは容易ではないみたいなのです。考えると、恐ろしい罠です(文責:教育デザイン室長・竹内 準一

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画像・左:腸炎ビブリオを特異的に検出できる寒天培地上の藤色のコロニー、同・中:酵素基質培地(クロモアガー・ビブリオ、フランス製・関東化学扱い)、同・右研究者の交流サイト*4(ResearchGate)を介した論文の交換例(イタリア在住の研究者からの取り寄せ例)

*4 学術雑誌の出版社と個々の著者間の著作権に関する契約により、公開が制限される場合もあります。

付記:イタリアから取り寄せた論文では、食用にする二枚貝からの腸炎ビブリオの毒性をコードする遺伝子を解析した2002-11年の長期間の検査事例が報告されていました。私の印象では特に、イシマキガイの中に高密度に生息し、イシマキガイが発生源になっている感がありますが、他の巻貝や二枚貝に拡散する可能性はある模様です。以前、淀川の十三干潟で採取したヤマトシジミも細菌を吐き出していた例を観察しましたが、二枚貝がろ過捕食者として腸炎ビブリオの菌体をろ過して中腸腺に無差別に集めては排出していた可能性が理解できなくもありません(二枚貝の中に定着しているか否かは、別問題なのだろうと思います*5)。

*5 今から考えると、ニアミスでした。淀川・十三干潟でヤマトシジミとイシマキガイを生徒らと採集していた記録がありました。つくづくと探究学習(広義には、研究活動)とは、先が見えないまま薄氷の上を歩いていく感覚を改めて味わいます。だからこそ、新しい発見ができる体験として心から感激できる至福の瞬間です。

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