英国式の「浄水技術」講演会へ至る系譜(2019年01月11日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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英国式の「浄水技術」講演会へ至る系譜(2019年01月11日)

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英国式の「浄水技術」講演会へ至る系譜(2019年01月11日)

英国式の「浄水技術」講演会へ至る系譜(2019年01月11日)

サイエンスコース主担当の竹内です。来週の金曜日(18日)の午後、大阪府高等学校生物教育研究会が主催する学術講演会(せんだんの会助成)が理科室で開催されます(詳細は、研究会サイト)。講師を務めるのは信州大学・中本信忠名誉教授。緩速ろ過法がご専門でしたが、現在では浄化機構及び施設運用上の誤解を解くために「生物浄化法(the Ecological Purification System)」と名称を変更することを中本先生は提案されています(小関正道教授によるレビュー、2014)。

筆者は2007年、移民していた英国を引き払ってきた時、英国から犬も連れてきたので涼しい土地が好ましいと考え、長野県上田市に住居を構え、中本先生の学究生活最後の2007年度に信州大学大学院総合工学系研究科研究生として応用生態学講座に籍を置かせて戴き、中本先生の足跡を辿ると同時に専門が微妙に違う(藻類の一次生産か微生物分解か)が、ほど近い私が引き継げるものなら引き継ぎたいと志しました*1

*1 私のJICA専門家時代(1997-99年)に、熱帯圏に特有の安定化池(stabilization ponds)の調査に一次生産量測定の見地からご支援戴いた返礼の気持ちもありました(この時の活動の成果論文;JICA研究所)。下水処理分野とは言え、熱帯圏では藻類の光合成に共役させた有機物の酸化反応を使っていたからです。私も含め、当時は日本の下水道界に藻類の一次生産に明るい専門家が全くと言って良いほど不在でした。

当時、頻繁に調査へ出ていたのは菅平の峠を越した須坂市の西野浄水場で、メンテナンス・フリーで非常に良い運転成績をあげていた。他にも技術相談が入る度、埼玉県・秩父市、静岡県・川根本町、広島県・三原市、新潟県・三条市、そして遠くは沖縄県・石垣市及び宮古島市に及びました。全て交通費などご支弁戴いての調査旅行にお供させて戴いて、貴重な体験を積ませて戴けました。

中でも印象深かったのは、糸状珪藻メロシラの本来の生息場所たる"ホームグランド"を見せに、軽井沢の湧水池や滝壺へ連れて行って戴いたことです。実は、下水処理場で発生するスカミングやバルキング原因菌のホームグランドが一体、何処なのだろうか?と私もよく似た発想をしていたので、驚いた次第です。

中本先生が退官された翌年、水生昆虫の脱皮殻のキチン分解*2に研究対象を絞り、下坂誠教授に世話教員になって戴き、実験室はヒト環境科学研究センター遺伝子実験部門へ拠点を移しました。この年の中学生と行った夏休みの自由研究は日本学生科学賞(上田市)へ応募し、銀賞を受賞した他、陸水学会甲信越支部会でポスター発表の部へ中学生を連れて参加しました(当時は中学生を学会へ伴うことは稀でした)。脱皮殻のキチン分解は非常に希少なので呉高専、ルネサンス大阪校での研究へ引き継がれてきています

私自身が研究に目覚めたのは中学生の頃でしたし、中学生の頃からの研究の延長線上に大学や大学院、都庁職員時代、JICA専門家、英国での大学院博士課程の学びの全てがあり、唯一、高校時代が"中空"の状態でした。それを今では不登校・中退生を励ましながら自分を重ね、失われた自分自身の時間を、すなわち高校時代*2を必死に取り戻すべく"敗者復活戦"の最中にいる感じです。

*2 実験が全くできない高校生活であったため、その代償で英語運用力(試験で高得点を採る英語力のことではない)を獲得すべく学校で提供されるのとは全く違った音声からのアプローチで英語を実用レベルで習得することを目指し、これが後に都庁での海外研修、JICA専門家派遣、英国留学/移民、高専教員時代の国際交流室長としての任務遂行に、辛うじて活きたのだろうと思う。

中本先生に師事した後、私は2009年3月、広島にある呉工業高等専門学校・環境都市工学科(旧土木工学科)の教授に採用され、50歳代で初めて教壇に立つことになりました。ある意味、中学卒業したばかりの若者を相手に高校1年相当の高専生に生物科学や生態学、微生物学を教える(私は「環境生物学研究室」と銘打ちました)のだから本望でした。今はカタチを変え、高校の探究学習(PBL)へと続いています。

想い返せば、中本先生の存在は大学学部時代の授業で偶然、知りました。柔軟な発想をした卒業生の話題が出て、それは金魚がクロレラを食べても緑藻の殻は硬いため消化できず、消化管を通過する間にクロレラが金魚の腸内から栄養分をもぎ取っている、という人が思いつかないような解釈をしているという着想に私は深い感銘を受けました。それが、中本学説(2008年に竹内が暫定整理)に触れた前哨戦でした。

続いてMBODという水質測定法の考案にも度肝を抜かれました。通常は無機塩類を過剰に与え、炭素制限にした状態でアッセイする生分解性有機物総量を計る標準試験法を転じて、有機物を十分に与えることで逆に無機塩類の何が制限要因として働くかを調べる検定法を思いついたそうです。「リービッヒの最少律の法則」(樽モデル)はよく知られているのですが、まさか有機物で制限されないような条件設定を着想した人物がいたとは聞きません。いかに思考に柔軟性があるのかと、中本先生には驚かされます。

時代は今、"唯一解"に誘導する教育が妥当であるかどうか、学校の教員は問われている時代です。答えが一つだと都合が良いのは、試験で採点する側のご都合であり、自然も社会も実際にはそう都合よくデキていないのが普通だと思います。実務を経験してきた人なら誰でも気づいていることです。そのような意味でも、中本先生にルネサンス大阪高校で再度、ご講演戴くことの意義を感じています(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

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画像・上段左:NPO地域水道支援センター会員と長野県須坂市の西野浄水場を見学(左端が中本先生)、同・上段中:秩父市の浄水場を視察(水源を適宜、切り替えるため生物浄化が原水水質の変化に追随できない可能性を中本先生はご指摘)、同・上段中:中本先生ご自作の緩速ろ過の模型(モデル)、同・下段左:長野県の休止した緩速ろ過池の砂層を現地調査中の中本先生(雑草の根が張っている根圏の深さと捕捉された有機物粒子の分布深度に注目)、同・下段右:広島県JR呉線・呉駅前の大型スクリューのオブジェの前で(2009年3月、安芸阿賀にある呉高専に着任直後の筆者)

付記:信州を離れた後、筆者は広島の国立高専に着任し、呉市水道局の実施設をフィールドに約5年間の調査を浄水施設が逐次、廃止されるまで継続した。緩速ろ過法に関する原稿は、研究報告(紀要)に全て投稿した(広島地区の高等教育機関が共有しているリポジトリ・サイトでPDFファイルで公開中)。海軍時代から引き継いだ浄水施設で、設備には "England" の刻印が押されている輸入品が少なからず目にとまった。戦後、日本は全て米軍が占領したと思われているが、実は広島県は英連邦が進駐し、呉市内に総司令部が置かれた。すなわち、一度は志した英国移民を返上して帰国した私が、日本で最も英連邦の人々が闊歩していただろう呉の土地に縁あったのも、あながち偶然でもなかったと感じている(竹内記)。

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