第二言語習得論(SLA)で英語と交わる道(2019年05月30日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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第二言語習得論(SLA)で英語と交わる道(2019年05月30日)

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第二言語習得論(SLA)で英語と交わる道(2019年05月30日)

第二言語習得論(SLA)で英語と交わる道(2019年05月30日)

子供の母語(第一言語)習得は例外なく成功するにも拘わらず、大人たちが外国語(第二言語)習得に失敗してしまうのは、なぜなのだろうか? その原因を認知科学的な観点から究明した言語学の研究領域が、第二言語習得理論Second Langugage Acquisition; SLA)である。21世紀に「人類は言語距離の離れた複数の言語を扱えるようになるに違いない。」という前提に立ち、当コースでは第二言語習得という不可避の一大テーマを科学技術と社会生活の両面から探究する実践を生徒と一緒に進めたいと考えている。

具体的には、第一ステップとして先日、超異分野学会・大阪フォーラムに提出したポスターを英文で書き起こした。生徒の隣でパソコンに向かって、指導者である私が上から順序よく英文を生み出していく様子を見せる。すると、「城北ワンドの池で・・」のくだりに差し掛かると、"in the pond"とタイプする場面で、気づきが起こる。「ワンドの説明が前段で済ましてないから前で触れておかないとダメだ。」と気づかせる仕掛けは、実は定冠詞の "the" が読み書きの軸足だからなのだ(日本人は知らない感覚であろう)。要は、"the pond"と使うには、前段で「池の説明が必要」なことに気づかせ、警鐘を鳴らす仕組みが英語の体系にある。冠詞の存在が、英語のロジック(論理的な整合性)を自動で組み立ててくれるからだ。また、当事者として具体を知らないと科学論文の執筆は困難でもある。翻訳機で事足りると宣う学者など、英語の本質を解ってないのが丸出しなのだ。

このカラクリによって、英文を書き起こしていくと自然と道筋が整い、結論が見えてくる。ケシ粒のような助詞*1という平仮名1つで意味が全く変わってしまう日本語の言語体系(=膠着語)とは正反対なのである。日本語で行う会議が空転して堂々巡りしたり毎度、結論が一向にクリアにならないのは日本語が持つ障壁である。

*1 助詞(てにをは)のことを英語では、パーティクル(particle)と呼ぶ。文字通り「粒子」の意味だ。

同フォーラム会場で知り合ったエジプトからの留学生とお互いを訪問し合う話が出ている。共通する話題としてエジプトに関する情報を得るため、図書室所蔵の百科事典"The New Book of Knowledge"(2008年版)の該当項目を教材として昨日、SLA理論に沿った英文読解を奥村諒くん(3年)を対象に実施してみた。その結果、本人が納得できる体験が得られたようなので、寄せてくれた感想文を以下に記したい:

❏ 英文読解で感じたこと(3年・奥村諒) 先ず、執筆者を意識して英文を読むという実践活動をした。書き手は言語が違うだけで共に同じ人間であり、何かを伝えたいという想いからこの文章を書いている(署名記事)という考えの下で、読み進めていった。そもそも執筆者は、内容を読者に伝えたいのだから伝わりやすいように話の流れを作ってくれていた。英語は論理的な言語なので、こういう筋ならば、次はこういう話に「ならないとおかしい」、もはや「これしかない」の流れでストーリーの展開が自ずと決まって行く。

それで読み進めていくと、まるで相手が見える手紙を読んでいる感覚で、書き手とコミニュケーションをとっていく感覚があった。エジプト人のファリドさんから届いたメールを読んだ時も同じ感覚で、送り手が目に浮かぶような、思念が自分の中に飛び込んでくる。そんなリアルな感覚があって、読みやすかった。

今まで英語の授業では、そのような経験ができなかったので、何故なのかを自分なりに考えてみた。通常の英語教育では相手の顔が浮かぶような「イキイキした英語」を学んで来てないのではないか、と思い当たった。学校の英語の授業では、文法と語彙で英文の"死体"を解剖しているように僕には感じられた。その時、文字の羅列としてしか捉えていないとさえ思う。仮に内容が解ったとしても、発信者の想いは必ずしも伝わらないだろうし、観察せずに解剖してしまったら上っ面だけの内容理解になってしまうことだろう。"他人ゴト"なのだ。当然ながら距離感が空き、退屈な文面に感じてしまう。

著者の存在を意識したら単なる「文字列」から「生きた言葉」に変わったので、外国語に対する抵抗感というのが消失した。と同時に、いかに自分が今まで文字面しか見てなかったのかがわかる。意識の持ち方ひとつで、ここまで変わるもんなんだ、と身をもって実感した。

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画像・上段左:英文ポスターを手に(左は料治輝くんが発表者のポスターを持つ奏音ちゃん、右は本人が発表するポスターを持つ奥村くん)、同・上段中:英語の言語体系にはロジックが自動形成される仕組みが実装されている、同・上段右:第二言語習得論の入門書の例(白井恭弘著、2004年、岩波書店)、同・下段左:子供向けの英語百科事典(全20巻+索引、大阪校図書室所蔵)*2同・下段右:とりあげた項目(近々、エジプト人と再会する予定であるため、意図的に"Egypt"の項目を選択;学校の授業には当初から、この種の"フィジカル・リアリティ"の設定はあり得ない。よって学校の授業と試験は、"人間不在のまま"機械的に終わっていく。)

*2 初版は米国グロリア社が1966年から刊行していた。筆者は、中学生の時代(1968ー)から愛用していた。百科事典だから項目ごとに関心度(縦糸)が難易度(横糸)が交差した「読みたい」記事を漁って読み進むと、両軸が交差した記事が選択した本人の最適な内容と難度の最適教材となる。授業や試験の外圧がなければ、ごく自然なペースで英語読解力が身につく。自然な英語力育成を阻害してきた因子は、強制される学校の授業と試験であった。驚くべきことに成長を邪魔するどころか、既に身についた英語力を完璧に破壊した事例もあるのだ。

付記:第二言語習得理論に基づく英語学習では、学習開始までに母語で習得した情報と外国語で触れる情報との間で「関連づけ」を行っていく脳神経細胞の「シナップス形成」作業である。そうすることで、脳の機能が活性化する。しかも、奥村くんの場合、授業中の英語に対する苦手意識が高じて、情報を仕入れる回路を遮断してきた形跡が認められた。また、解答が迫られる定期試験など強制圧力のため"間に合わせ"で似た音声の単語を混然と試験対策に覚えることを強いられた結果、脳内で粗雑に情報処理させてきた習慣性が見て取れた*3(英会話を過度に学習者に強制させていくと、ブロークン英語が身につくことが実証されていることにも一脈通じる)。

*3 これはもう頭だけでなく人間性を劣化させ、社会が荒んで行く要因を招く学校教育システムであると言っても過言ではない。大阪を拠点とする類塾と私たちは各々、別ルートで同じ勘所へ踏み込んでいる気がしている。

生徒を個別指導すると、過去に受けてきた授業や試験が無駄な時間の浪費と苦手意識の植え付けに終始してきた証拠が認められた。これでは得点も伸びないばかりか、脳機能に対して何のプラスにもならない。その上、どのような学び方をするように矯正していくべきか・・というガイダンスも学校の教員から示されたのかは疑わしく感じられた(学校では適切な助言が励行されているのだろうか?)。結局、学校は生徒に対し定期試験を機械的に実施し、その得点を集計し、成績づけをしてきただけに過ぎないのでは?

これは「作業」であって「教育」と程遠い。そこに、生徒の「成長」がなければ「自信」が宿る道理もない。しかも、その教育効果を確認し、軌道修正する仕組みがあったのだろうか? そもそも教育の効果が発揮されるようデザインが施され、かつ適切なモニタリングを行い、それに応じたフィードバックがなされてきたのであろうか? 下流側で生徒と接すると、上流側でどのような扱いをされてきたのかが、手に取るように見えてしまう。果たしてこれは生徒だけの問題なのだろうか?私はそう思えない。このままで、いいのだろうか?(竹内記

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