コオロギの壊滅状態に見る「実務」の厳しさ(2019年10月08日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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コオロギの壊滅状態に見る「実務」の厳しさ(2019年10月08日)

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コオロギの壊滅状態に見る「実務」の厳しさ(2019年10月08日)

コオロギの壊滅状態に見る「実務」の厳しさ(2019年10月08日)

オランダの教育の中に流れる「イエナプラン」では、学校を社会へ出るための「準備をする場」だとして位置づけています。奇しくも私も同じ考え方で、旧スーパーサイエンスコース(現アート&サイエンスコース)を運営してきました。私自身が基本的に、実務者(practitioner)*1だったからです。

*1 英国の博士課程に入った時、現地の教員が私の都庁やJICAでの実務上の職歴を知ると「あなたみたく現場で働いてきたような人を英語では、"practitioner"と言うんだ。」と教わった。

その視点から眺めると、日本の学校(大学も含む)は概して、"現役生"が集まる"密室"に見えます。"現役生"を集めておけば教室も管理し続ける上で平穏なのかも知れません。英国の大学では、ストレートに学部に入学してくる率は少なかったですし、公務員や企業から職務で派遣されてくる事例もありました。成人や留学生が沢山、大学へ入ってくると組織内部が丸見えになりますし、教授もおちおちと手抜きデキません*2(ホントは多少、面倒でも噛み応えのある受講者の方が俄然、教授陣だって腕が磨かれて行くはずだと、私は思っています)。

*2 立命館アジア太平洋大学(APU)では開学当初、日本式に留学生へ提出を課したレポートを評価だけして、コメントを添えず返却しようとしたら教授が受講生に一斉に囲まれ、「どういうつもりなんだ?」とあわや暴動の一歩手前までなり掛けたことがあったそうなのだ(開学時の当時者ご自身、講演会の場でご披露された)。

日本の大学生は高校時代の延長線で我慢して授業に出て"時間潰し"することが慣例化する一方、留学生にとっては貴重な時間と経費を投じて自分の人生への"投資"している緊張感があるものです。日本の大学教授の大半は本来ならば共役すべき「教育」と「研究」で、教育を軽視する方針で凌いできた方々が多いのではないかと危惧しています。ここに経験上、日本と海外の高等教育の根本的な相違点*3を、私は残念に感じてしまいます

*3 戦後、焼け跡からの復興のため同調圧力下で否応なく生きてきたため経済成長を果たせた。が、一定の発展を遂げてしまうと(有効期限が切れたごとく)、日本人は内発的な動機で成長してきた成果ではなかったので、緊迫感が緩み出すと坂道を滑り落ちるように今、衰退の一途にある印象がする。

学校も仕事もテンコ盛りすることに慣れ切ってしまっているためか、自らを顧みる習慣も身についていません。遮二無二、坦々と作業をこなして行けば、勉強や仕事した雰囲気になる「考えない=思考停止」の状態が当たり前になってきたため、この"落とし穴"から這い出す気力も生まれない(学校や会社も改善する隙を与えないよう雁字搦めに組み込んである)状態です("日本病"との説も)。

ルネサンス大阪高校のアート&サイエンスコースでは、教科書の中の学びとは別に社会の実務に近い学びを体験する工夫を凝らしてあります。現実に直面する経験をしておかないと一生、教科書の中にある"仮想空間"で暮らすだけでは現実に耐えられないからです。

先日、タイワンエンマコオロギの通年繁殖がデキるとの見込みを公表しましたが、若齢幼虫だけを集めた飼育容器(nursery)の中で所狭し状態だったのが一夜で壊滅状態に陥りました(数匹は生残)。犯人は、①捕食者・ハエトリグモの侵入、または②コナダニによる侵略・・かと脳裏を過りました。が、容器には隠れ場所を設けてあるので、これほどの大量殺戮が起こるハズがありません。ほどなく瀕死のコオロギ若齢幼虫(ピンヘッド)を見つけ、実体顕微鏡下に晒すと、コオロギがコナダニに全身を覆い尽くされ、絶命していく惨状でした。これが、経験の乏しさから来る実務上の失敗*3です。が、失敗してやる気を鼓舞され、克服していく活動を続ける修羅場の中でしか、真の学ぶ力は獲得できません。

*3 たかがコオロギごときで・・と感じる人がいるかも知れない。が、昨年(2018年)の大惨事になり掛けた新幹線のぞみの台車亀裂を見落とした問題(正常性バイアス)と同根である。組織のカルチャーや属する個々の職員のマインドの差で、的確に大惨事を回避する成果に結実したと言える。

このような失敗を起こす仕組みが、手本を書き写すだけの学校の学びには仕組まれていません。私は都庁で新人研修を担当していて、有名大学を出てルーチンワークを担当できても、次から次へと問題が発生する実戦の場で戦力にならない新人が大半であることの原因が俄には理解できませんでした。JICAでタイに派遣されていた当時も同様です。机上のお勉強に長けても、現地で実物に触れながら学ぶセンスを持つ人材は非常に稀でした(同じ都庁から先発派遣されてビデオを回し続けて現地から速報してくれたり毎日、現地で意図的にバスに乗ったり徒歩で歩き回って観察し続けた同じ実務派の同僚から提供して貰った生きた情報は極めて有益でした*4)。

*4 JICAの機関誌『国際協力研究』誌投稿した論文には詳しい注釈を付して(社会科学系の投稿原稿のスタイルに従いました)現地調査に貢献してくれた短期専門家の氏名を成果を随時、記して文字として刻み残した。

学校の正規プログラムは、試験で点数が稼げるようになること=学びだと言う誤った教育デザインの下で組まれていて、社会(大学の研究室も含め)で活きる学力が育成できる構造*5にはなってません。

*5 今、中学英語も怪しい高校生に英語版の文法書を使って英文を見て使われている場面をイメージさせる訓練を進めていますが、日本の英語の教科教育では学べないであろう"語感"が身についていく進歩が体感できています(練習問題も満点できるように成長しました;その問いも日本の学校では課されないような視点です)。日本の学校が、試験で得点するコト=成績優秀とする間違ったゴールを設定しているため、実用に耐え得る実力が誘導されないまま、引き換えに"要領の良さ"で代用されて行くのだと、私はそう解釈しています。

現行の教育課程にあるような正解が決まっている問いに対する答案を求めても所詮、"かくれんぼ"と同じで何も思考力も解決力も身につく道理がありません*5。ボールの飛んで来ない場で"素振り"しているだけの活動です。何らかの準備を高校課程で施さないで済まし、受験指導で置き換えてしまう教育など欺瞞以外の何モノでもないと、実務に従事した経歴を持つ教員として、そう捉えています(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

*5 ルネサンス高校グループの課題レポートも教科書の記載内容に準拠して制作されていますので、問いに対し教科書の該当箇所を探し出す勘を養う狙いで取り組むよう、私は助言しています。そこで勘を磨いておくことは、答えのないホンバンの学びに肉迫する際の準備体操になり得るからです。ただし、定型的な問いに正解していく力だけでは、逆に柔軟性を損ねてしまう弊害もある(参考サイト:学校の勉強をするとバカになる)ので、同時に創意工夫していく力(探究心)を育成していく必要性があります。

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画像・上段左:一夜にして飼育容器がゴーストタウンに、同・上段中:僅かにサバイバルした個体(黄色矢印)、同・上段右:練りワサビの揮発成分でコナダニを退散させているところ、同・下段左:コナダニ集団に覆い尽くされるピンヘッド(もはや虫の息)、同・下段右:絶命寸前にコナダニをワサビで蹴散らし"仇討ち"よ!

付記:当コースでは、生物の進化が今も進行中*6ではないか・・と考える証拠を水中環境(ワムシ-ミジンコ系)と陸上環境(コナダニ-コオロギ系)の両方から相次いで、見つけ出した感触があります。教科書に書かれている内容など言わば"古文書"の記録であり、新しい学問領域が今、目の前で創出されていく姿そのものを高校生に見届けて貰いたいと、私は熱望します。これこそ社会に出た後も一生、役立つ学びだからです(竹内記)。

*6 条件性(通性)の寄生性(facultative parasitism)という概念で括られる、通常なら寄生しない動物でも他の動物に取り付き、死に至らしめる外部寄生を示した現象を指す。最近(2019年)、Luong & Mathot により総説が発表されているが、原虫(Colpoda属)がナメクジに寄生したとする米国からの報告(1936年)が発端である。今日に至るまで、最初の報告から80余年が経過している。当コースでも、河脇凌くんがColpodaのシスト化-脱シスト化のプロセスを動画で記録してきて、尋常でない"生命体"であるとは実感してきました。

動画:1)コナダニ集団に襲撃されて瀕死の状態にあるコオロギの若齢幼虫(ピンヘッド)、2)練りワサビの揮発性化学物質(アリルイソチオシアネートAITC)でコナダニを駆逐している様子(もはや手遅れ・・)。※閲覧注意(ダニが蠢く映像を見ることで、心理的に痒くなる懸念があります)。

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