フィールドワークで見つけた「発見」で討議(2020年05月08日) | 通信制高校のルネサンス高等学校

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フィールドワークで見つけた「発見」で討議(2020年05月08日)

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フィールドワークで見つけた「発見」で討議(2020年05月08日)

フィールドワークで見つけた「発見」で討議(2020年05月08日)

本日(8日)、淀川に単身、フィールドワークに出てみました。いつもの十三干潟ではなく十三大橋の下で巻貝を採集してみることにしました。その結果、次に示すような新しい知見が得られました:

1)底質が(泥質でなく)砂質であること・・その理由は、淀川本流に接しているため水流や波浪の影響を受け、粘土の粒径では流されてしまう(十三干潟ではヨシ原に囲まれているため、本流の影響を受けないため粘土が堆積している)からであろう。

2)2種類の巻貝のサイズに差があること・・イシマキガイもカワザンショウガイも見つかるが、上流側の十三干潟で採集できる個体より平均的に見て小型であった。これは、両者とも川を下り、再び川を遡上してくる生活史(両側回遊型)を示唆する。

上述のように、同じ淀川でも調査地点を変えただけで、流況変化から河岸堆積物の底質に差異が見られ、かつ河川の流程の差(正確には、河口からの距離の差)から2種の巻貝が沿岸海域で幼生期にはプランクトン生活を送った後、河床や河岸へ定着し、時間を掛けて川を遡って来る全体像を垣間見た思いがする。

どうして巻貝が河川の流れる方向を検知できるのか、ホントに何十キロのも距離を移動できるのか、その自然の仕組みに対する興味は尽きない。波浪の影響を受けるためか、イシマキガイは砂地の表面を這うというより、砂の中に入り込み流されないよう砂質にしがみつく感じで匍匐していた。無論、ゴロタ石をひっくり返すと、裏側にイシマキガイやカワヒバリガイ*1(外来種の二枚貝)が隠れていた。

*1 大量に繁殖して、浄水場など取水口を閉塞させる弊害がある他、寄生虫(吸虫)の中間宿主となり魚類群集に被害を及ぼす特定外来生物として警戒されている(城北ワンド内にも僅かに侵入)。

フィールドワークが一段落したところで、現地の様子を「さいえんす!」グループLINEに配信したところ、フィールド好きの藤原優月くん(2年)から「楽しそう!」と反応があり、続いて卒業生の岩田祐樹くん(大3)から「地層みたいな縞模様は何ですか?」との質問が届いた。どうやら送信した画像を拡大して気づいた様子*2で、現地にいる私の方が「何のことだろう?」と一瞬、把握できなかった程でした。

*2 遠隔地から届けた映像でも、"不便さ"を乗り越えて注意力を向けさせる効果を秘めている事実に気づきました。現地にいた私の方が、むしろ見落としていました。

岩田くんは説明図をスケッチして画像で送ってきて、橋脚のコンクリート表面に潮汐の水位変動に伴い生じる汚損物による縞模様であるのを理解しました。彼は、縞模様の中でも白く見える帯状の存在に注目した様子です。私は現地を見渡して、ヒントになりそうな候補を2つ、見つけ画像を2枚、送信しました。一つが河岸のヨシの根本付近、もう一つがゴロタ石の表面についたフジツボです。

フジツボは甲殻類(エビ・カニの仲間)で、幼生期にプランクトン生活を送った後、どこかの固着物へ定着し、一旦、定着したら離れて移動することはできません。"一発勝負"の生き方をしている生き物です。だからフジツボの幼生が最適な定着場所を決めるメカニズムが介在していると予想されますね(ミニ総説、最近の解説記事:『フジツボ_不思議な体の造りとその理由』前編後編)。

フジツボやイガイの着生は、海中構築物や船底を汚損する生物汚損(bio-fouling)として知られています。養殖施設や船底*3の汚損防止塗料に有機スズ化合物(トリブチルスズ、TBT)が使われてきた過去もありますが、環境汚染になることから現在は使用が制限されています。現在、天然の生理活性物質の中から生物汚損の防止になる化合物の探索が始まっています。

*3 船底の生物汚損の問題は、日露戦争時の日本海海戦の行方にも、多大な影響を及ぼしたとの記録が残されています(流体に対し抵抗となるため船速が遅くなるからです)。

フジツボ幼生が定着する前の水中でバイオフィルム*4が形成されるプロセスにも、注目を集めています。微細藻類が生産する生体物質の医療器具の抗菌加工の基礎研究(EU圏)やプレジャーボートの汚損防止用の撥水性シリコン素材の販売(南アフリカ)など応用利用とも繋がりが深い重点領域だと言えます。学びと実社会の生産活動を橋渡しする配慮が、日本の学校教育カリキュラムに欠落していると感じています。

*4 以前、卒業生の河脇凌くん(現・バイオ専門学校3年)とコルポーダのシストを形成させるためバイオフィルムを"着生床"にした発想も同じでした。バイオフィルムを利用して定着させるヒントは、降雨直後に剥離したバイオフィルム片を発見し、薄めた食酢でバイオフィルムを形成できると予測したのです。

アート&サイエンスコースで実現している学びは、授業・試験を通じて達成できる学業成績とは似て非なる能力を開発する道です。私が偏差値導入前の中学時代に得た理科教育で授けて貰った探究力は、都庁の実務現場の問題解決でも、JICA派遣先の技術指導でも、英国大学院での博士課程でもポスドク研究員として滞在中も完璧なほど有効でした。戦後復興期の名残りを留めた時代、中学1年生が「事実と推論を区別しなさい!」と口を酸っぱくして指導を受けたものです。受験偏差値の導入後、理科教育も正解さえすれば十分だとする刹那的な風潮に一変しました。

私が中学校で授かった理科教育「科学する心」の教育は、大学でも受けらえませんでした。3若手の新進研究者執筆していた"子供が読んだら思わず実験したくなる実験指導書"*5を刊行する出版社も次々と衰退し、学習参考書や受験問題集で書店の棚は席巻されて行きました。それが、今に続く下り坂の道のりの起点だったと、ひしひしと感じております。当時、中学生や高校生だった私には、どうすることもできませんでした。が、大学生以降、自分なりに抵抗し続けてきました(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。

*5 愉快だったのは、後に著者を突き止めて手紙を送ったらその著者本人と会えたことです。それも学会長を務める学会が締め切られているにも拘わらず、ご招待に預かり、初日はその先生の大先生に当たる方々と宿舎にベッドを追加して戴いて恐縮しましたが、3世代に"跨る夢のような時間"を体験できたことです。

❏ オンラインの繋がりは「鍵穴」から「全体」をイメージする感覚(大学3年・岩田祐樹)「さいえんす!」のLINEグループで淀川フィールドワークの写真を見たとき、「何か面白いものがありそうだぞ」と僕の勘が告げた。その1〜2時間前に知人と「ものの捉え方」や「視点」についてやり取りをしていたこともあり、僕の視野と思考は平時より柔軟だったのだろう。橋脚の模様に気づくのにそう時間は掛からなかった。実を言うと橋脚という言葉自体知らなかったが、橋の脚部分を表現するのにこんな言葉ありそうだなと思い検索したら、見事にヒットした。

縞模様に気づいた時を振り返ると、オンラインの限られた情報でやり取りしたことが鍵になったと考えられる。写真のような限られた情報しかないと、その部分に注目することになるため、注視する意思さえあれば細かな気づきを得やすい。また、フィールドにいると情報量が多すぎるため、例えば「岸の底質に注目する」というように情報を絞る場面が多くなるが、写真を眺める場合、写真全体を俯瞰するのは容易いと感じた。

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画像・上段左:橋脚コンクリートに刻まれた縞模様と岩田くんのスケッチ(平素、創作書道など絵や書を描きなれているので素早い)、同・上段中:淀川河畔で見られたフジツボの着生痕(左:ヨシ、右:ゴロタ石)、同・上段右:旧十三渡し場から梅田方面を遠望、同・下段左:イシマキガイを捕獲(ゴロタ石の裏側に多い)、同下段右カワザンジョウガイは、巻貝に見えないほど小さい"微小貝"に区分(水に入れると這い回り出すので巻貝だと解かる)※干からびると死んでしまうが、軟体動物の有肺類なので、水から出ようする行動をとる(しばしば水槽から脱出しては、気づかないうちに死んでいることも多い)。ことによるとカワザンショウガイの仲間は、巻貝が陸化していく途上に位置する分類群なのかも知れない。

付記:今回、卒業生の岩田くんが反応してくれたことで、意外な気づきがありました。たとえ視野が狭くても人間はそれを補って余りある能力を秘めていたことです。仮に仕方なく制約されているとは捉えず、意識的に視点を変えて行くことを活用しても良いと思えるようになりました。この取り組みは、学校教育よりビジネスで先行していたようです。例えば、「鳥の目、虫の目、魚の目」と言った違った視点を意識的に持つことが提唱されていました。学校教育の中でも利用されても良い工夫だなと実感しました。

そう言えば昔、パワーポイント以前のOHP(オーバーヘッドプロジェクター)の頃は、画面を聴衆に対し一度に見せず、紙片でマスキングして部分的に見せることで意識を集中させる視線誘導のテクニックなどもありました(スッカリ忘れてましたが・・)。一眼レフカメラの交換レンズやズームレンズも、画角を適時、変える目的があります。我々の目は脳と一体化して無意識に自動調整してしまうため、反ってここに気づくことができませんでした。

リアルの価値をいっそう際立させるためにこそ、オンラインだからそこ可能な特性を見つけ出し、磨きを掛けていく価値があるように思います(竹内記)。

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