アート&サイエンスコース
2016.12.16.Fri
「失敗は成功のモト」・・これは、「探究学習」として実験指導を実践していて、常に実感することです。これは、赤ん坊も転びつつ歩き方を覚えることからも、永遠の真理でしょう。が、肝心の学校教育が「正否」判定、そして「合否」判定に長く拘泥してきたがため、人生の黄金律も今やスッカリ忘れられてしまった感があります。
結局、運良く薄氷を踏んで歩いてきたところで、それが揺るぎなき自信に繋がる訳ではありません。ホントの自信とは、失敗を通じて気づき、転んでもタダで起きないガッツから生まれます。その立ち直る強靭さを「レジリエンス」と呼び、さらに最後までやり遂げる力を近年、GRIT(最後までやり抜く力)が成功に必要な要件だと言われています。これらの素養を磨くための教育課程を設計しておかないと結局、紆余曲折を経て"ふりだしに戻る"悲哀を味わう結末に至ります。
スーパーサイエンスコースが掲げる「探究学習」の教育デザインには、体験に基づき結果が得られる方向へと軌道修正する効果があります。そこに、成長を促す秘訣が隠されています。推理小説のネタバレと同様、成功が事前に約束されている課題では真の意欲は生まれません。多くの人が成功が約束されている冒険の方が安心できるものと思い込んでいますが、全く逆なのです。研究活動や創作活動では、結末が見えないからこそ「挑戦する心(学習意欲)」が誘導されていくのです。
さて、今回は私たちの失敗例を開示します。昨年、水生生物センターでカネヒラ(タナゴの一種)の人工繁殖技術を大阪校へ移転したのですが、肝心の個体が成熟する兆候を見せないまま晩秋になってしまいました。自然史フェスでイタセンネットのブースを出した際、専門家(主幹研究員の上原一彦氏)に尋ねたところ、「ペットで飼育しているタナゴでよくあります。室内の照明に夜遅くまで晒されていたでしょ。秋産卵のタナゴは日照時間の短日化で、春産卵のタナゴは水温の上昇で季節の変化を感じとるのです。」と教わりました。日没後、段ボール箱で室内照明をカットして対処したら、遅まきながら産卵管を伸ばし始めてくれました。が、肝心の採卵はできず、恐らくオス個体も精子ができていない懸念があります。残念ですが、今シーズンの人工繁殖の実施は諦めます。失敗談です。折角、浮上後のカネヒラ稚魚の初期餌料に適したソコミジンコの増殖方法が見つかったのに、残念です(文責:教育デザイン室長・竹内 準一)。
----------
画像・左:理科室の水槽(寄贈:信宮純さん)で泳ぐカネヒラの成魚、同・中:産卵管を伸ばし始めたメス個体で採卵を試みるも、敢えなくも失敗(撮影:岩田祐樹くん)、同・右:水泥の二相構造で、餌料生物としてソコミジンコ(左下に拡大画像)のクロレラとの二員培養法(背景はJR西日本)
追記:一旦、諦めたのです。が、昨日、帰り際に河脇凌くんが「ダンボール被せておきます。」と言って帰りました。私は、一瞬、「もう諦めたから、イイよ。」と言いかけて、でも「ま、イイか。」とそのままにしました。そして、今日、見るとカネヒラの産卵管が一際、伸びていたのです。水が温むまでズレたら厄介です。が、それまでなら飼育環境の下、どこまで産卵時期をズラすことが可能なのか、この「短日処理」による性成熟化の実験、しばし延長してみることにしました(竹内記)。
アート&サイエンスコース
最新の記事
アート&サイエンスコース
2020.08.24.Mon
アート&サイエンスコース
アート&サイエンスコース
2020.06.28.Sun
アート&サイエンスコース
アート&サイエンスコース
2020.05.23.Sat
アート&サイエンスコース
アート&サイエンスコース
2020.05.18.Mon
アート&サイエンスコース
アート&サイエンスコース
2020.05.17.Sun
アート&サイエンスコース
アート&サイエンスコース
2020.05.16.Sat
アート&サイエンスコース
最新の記事
2021年1月| 2020年12月| 2020年11月| 2020年10月| 2020年9月| 2020年8月| 2020年7月| 2020年6月| 2020年5月| 2020年4月| 2020年3月| 2020年2月| 2020年1月| 2019年12月| 2019年11月| 2019年10月| 2019年9月| 2019年8月| 2019年7月| 2019年6月| 2019年5月| 2019年4月| 2019年3月| 2019年2月| 2019年1月| 2018年12月| 2018年11月| 2018年10月| 2018年9月| 2018年8月| 2018年7月| 2018年6月| 2018年5月| 2018年4月| 2018年3月| 2018年2月| 2018年1月| 2017年12月| 2017年11月| 2017年10月| 2017年9月| 2017年8月| 2017年7月| 2017年6月| 2017年5月| 2017年4月| 2017年3月| 2017年2月| 2017年1月| 2016年12月| 2016年11月| 2016年10月| 2016年9月| 2016年8月| 2016年7月| 2016年6月| 2016年5月| 2016年4月| 2016年3月| 2016年2月| 2016年1月| 2015年12月| 2015年11月| 2015年10月| 2015年9月| 2015年8月| 2015年7月| 2015年6月| 2015年5月| 2015年4月| 2015年3月| 2015年2月| 2015年1月| 2014年12月| 2014年11月| 2014年10月| 2014年9月| 2014年8月| 2014年7月| 2014年6月| 2014年5月|
ルネ大阪広報
インフォメーション
2021.04.05.Mon
インフォメーション
インフォメーション
ルネサンス豊田高等学校
2021.04.01.Thu
ルネサンス豊田高等学校
ルネサンス高等学校グループは、全国に3校(茨城、愛知、
大阪)、連携キャンパス及び受付・相談センター(東京・新宿代々木、神奈川・横浜、愛知・豊田、名古屋、大阪・梅田、広島、福岡)
を置く広域通信制高校です。
どんなタイプの方でも、安心して学習し卒業できるシステムを構築し、生徒一人ひとりのライフスタイルに合った"学び"を提供しております。
「登校してしっかり学ぶ」「友達を作って学校生活を楽しむ」という学校が多い中、最短年4日の登校で高卒資格が取れる学校は多くはありません。
一方で本当に高卒資格が取りたくても、仕事が忙しくて登校できない、子育てで手が離せないなど様々な事情で、学校に行きたくても行けない方がたくさん居るのも事実です。
ルネサンス高校はそういった方のニーズに答えるために生徒に負担のかからない授業やレポートシステムを作り、14年経ちました。卒業生も約15,000名となります。
|