通信制高校の学費はいくら?就学支援金もわかりやすく解説
公開日:2023.12.25
通信制高校への入学を検討されている方にとって、志望校選びの際「学費はどのくらいかかるのか」は重要なポイントです。
この記事では、公立と私立の学費の違いや学費負担が軽減される高等学校等就学支援金制度(以下、就学支援金)について、詳しくご紹介します。
通信制高校(公立・私立)の学費内訳や相場
通信制高校の学費にはどういった費用がかかるのでしょうか。学費の内訳をはじめ、公立と私立の学費相場をご紹介します。
学費の内訳
学費の内訳は、主に入学金・授業料・教材費・施設設備費等に分かれています。各項目の確認をしていきましょう。
入学金
入学金とは、通信制高校への入学資格を得るための費用です。
授業料
通信制高校(単位制)の授業料は1単位あたりで設定され、公立は300~400円程度、私立の多くは7,000円~12,000円程度となっています。後述の「学費の相場を比較」にて26単位を履修した場合の参考費用をご案内いたします。
教材費、教育関連費
教科書、参考書、学習用資料、補助教材等の費用です。
施設設備費
スクーリングで使用する施設(面接指導等実施施設)や学習システムの利用費です。公立では学習システムの導入は少ないことから、システム利用費はかからないことが多く、代わりにレポート提出は主に郵送となるため、切手代等の送料が別途必要になります。
学費の相場を比較
通信制高校の学費相場は公立と私立で差があります。それぞれの相場を表にまとめましたので、参考にしてください。
公立(東京都立の場合) | 私立 | |
---|---|---|
入学金 | 500円 | 10,000~50,000円 |
授業料(年間) ※26単位履修の場合 |
10,400円(400円/1単位) | 180,000~320,000円 (7,000円~12,000円/1単位) |
教材費、教育関連費 | 30,000円 | 10,000~60,000円 |
施設設備費 | なし | 20,000~60,000円 |
公立(東京都立)に比べて私立の方が高いことがわかります。
この他にも、スクーリング費やスクーリングを受けるための往復交通費、制服や体操服等の衣服費が追加で必要になることがあります。
サポート校と提携している通信制高校の場合、学費にサポート校利用費が含まれる場合もあります。
サポート校利用費とは
サポート校を利用する場合の費用です。利用する生徒はサポート校に通い、日常的に学習支援や精神面のフォローを受けられます。
尚、サポート校利用費は就学支援金の対象外です。
また、通った日数は高校卒業要件のひとつ、スクーリング(面接指導)の登校日数には含まれません。
多くの通信制高校ではサポート校の利用は任意とされていますので、検討している高校へ「提携サポート校があるか」、ある場合は「利用必須か」等確認すると良いでしょう。
このように学費は学校により異なるため、出願前にしっかり確認しておきしましょう。
また、通信制高校の授業料は、後ほどご紹介する助成制度「就学支援金」の対象となります。
学費の支払い方法について
通信制高校の入学書類とともに学費の支払いについての書類が届く場合が多く、書類に支払期日が記載されています。
学費等の納入は一括納入の場合が多く、分割払い(学費サポートプラン)を用意している学校もあります。志望校選びを進める際、早めに確かめて準備を進めておきましょう。
学費サポートプラン(提携教育ローン)とは
学費のサポートプランとして教育ローンを用意している学校もあります。
教育ローンとは、一括での学費支払いが難しい場合、契約した金融会社へ月々学費を払っていくシステムです。分割でのお支払いを希望されている方は、検討している高校の入学相談窓口まで学費サポートプラン(提携教育ローン)について確認しましょう。
納入期限について
学費の納入期限は学校により異なりますが、指定期日までに入金が確認できない場合、入学辞退とみなされる場合があるため注意が必要です。入学辞退とならないよう、指定期日までに必ず納入するようにしましょう。
通信制高校(公立・私立)の学費の特徴や違い
公立の学費の特徴
公立の学費は、私立と比較し安いことが特徴です。その他の特徴として下記の点が挙げられます。
- 紙レポートの場合、提出に郵便を用いることがあり切手代がかかる
- 週1回程度の登校を必要とする公立が多いため、私立と比べて交通費がかかる
各特徴について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
紙レポートの場合、提出に郵便を用いることがあり切手代がかかる
通信制高校は単位修得にレポート提出が必要です。
多くの公立では学習システムが導入されておらず、紙のレポートを郵送にて提出することが多いです。
学習に関する郵便物は第四種郵便(※)として扱われ、100g以内であれば(2023年11月現在)15円の切手で送ることができます。
100g増えるごとに+10円の切手代がかかり、郵便物の重さの上限は1kgです。
※第四種郵便とは通信教育等が対象となる郵便サービスです。
郵送の際、締切日までにレポートが提出できなかった場合、成績や単位修得に影響するため注意が必要です。レポート提出締切日が「レポート発送日(消印日)」か「到着日」か等、事前に確認しましょう。
週1回程度の登校を必要とする高校が多いため、交通費がかかる
公立のスクーリングは週1回~隔週1回程度と私立と比較し多いです。そのため、登校するための交通費も多くかかります。
自宅から高校までの距離が遠い場合には、どの程度交通費がかかるか事前に確認されることをおすすめします。
私立の学費の特徴
私立の特徴として下記の点が挙げられます。
- 学習システム等が充実している分、教育関連費や施設設備費が高くなる
- 専門的なコースがありコースを受講する場合、追加費用がかかる場合がある
- 修学旅行や遠足等、イベントへの参加に応じて費用がかかる場合がある
各特徴について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
学習システム等が充実している分、教育関連費や施設設備費が高くなる
私立は公立と比較して、学習システム等をはじめとした設備が充実しています。
その反面、教育関連費や施設設備費は公立よりも高くなり、その分負担は大きくなります。
専門的なコースがありコースを受講する場合、追加費用がかかる場合がある
私立の通信制高校には、語学やプログラミング、ファッションや芸能など専門コースや特徴的なコースが設置されている学校があります。コースの受講を検討されている方は、通常の学費に加えてコース受講費用が追加で発生する場合がありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
修学旅行や遠足等、イベントへの参加に応じて費用がかかる場合がある
私立の通信制高校の中には、修学旅行や遠足をはじめとした様々なイベントを行っている学校があります。イベントへの参加費用は学費とは別に負担する必要があり、修学旅行の移動先次第では負担が大きくなります。
ただし、イベントは強制参加ではなく任意参加としている場合が多いので、参加したいイベントを選ぶことで費用を抑えることができるでしょう。
高等学校等就学支援金制度(就学支援金)とは
就学支援金とは、学費の一部である授業料に対し国が支援し、教育費の負担が軽減されることを目的とした制度です。
就学支援金は世帯の所得によって支給対象外になる場合や支給額が異なる場合があります。
就学支援金の受給資格や対象外について
受給資格
- 日本国内に住所を有している
- 国公立または私立の高校に在籍している
- 高校を卒業していない
- 高校の在学期間が36か月(通信制の場合は48か月)未満
受給対象外
- 世帯の年収(目安)が910万円以上
- 高校を過去に卒業した人
- 高校の在学期間が36か月(通信制の場合は48か月)を超えている
通信制高校に通う生徒のうち、世帯年収が高い家庭や在学期間が48か月を超える生徒は受給対象外となる点に注意しましょう。
就学支援金による授業料減額について
就学支援金支給額は、授業料である単位に応じて計算されます。
公立の通信制高校の場合
1単位につき336円が支給されます。ただし、通算74単位、最長で4年間、年間30単位までが支給の対象です。
私立の通信制高校の場合
1単位につき4,812円が支給されます。ただし、通算74単位、最長で4年間、年間30単位までが支給の対象です。
申請方法
在籍する通信制高校から配布される申請書に記入し、必要書類を集め学校指定の期日までに提出します。
尚、都道府県によってはオンライン申請が利用できる場合があります。学校より配布されたIDやパスワードを使用し、オンラインシステム上で申請を進めます。
修学支援制度
就学支援金に加えて、自治体によっては独自の修学支援制度等を行っている場合があります。公立より授業料の高い私立に通う生徒には嬉しいサポートです。
詳しくは、お住まいの地域または学校所在地の助成制度窓口へお問い合わせください。
奨学金や特待生制度について
通信制高校へ通う際に利用できる奨学金や特待生の制度について解説します。
奨学金
通信制高校の生徒が利用できる奨学金には種類があり、制度を運営しているのが自治体か民間団体か、給付なのか貸与なのかによって分けられます。
自治体運営・民間運営
国や都道府県さらに市町村が運営する奨学金と、公共性の高い団体や民間団体が運営する奨学金とがあります。都道府県運営の奨学金の多くは、その都道府県に住所があることが申請の条件です。
給付型・貸与型
奨学金には、「給付型」と「貸与型」の2種類があります。
「給付型」は返済の必要がない奨学金ですが、多くの人が利用している「貸与型」は返済する必要があります。貸与型には利子がかかるもの、無利子のものがあります。
給付型には生活保護受給世帯や非課税世帯など、所得が一定額以下の世帯を対象にしたものが多いです。
特待生
特待生制度とは、学業やスポーツをはじめ芸術など特定の分野で秀でたものを対象に、学費等の免除や活動に関する費用や寮費等、幅広い費用面のサポートを行う制度のことです。一部の学校で独自に実施される制度であり、特待生制度のない学校もあります。