高2・高3でも通信制高校に編入できる?
更新日:2023.11.20

「体調を崩し学校に通えなくなった」「想像していた学校生活ではなかった」「人間関係がうまくいかなかった」等の理由から、やむを得ず高校を退学した方もいらっしゃるのではないのでしょうか。現に、近年における文部科学省が発表した資料(※)によると、令和2年の退学者数は"34,965人"と多くの生徒が退学しています。
この記事では、通信制高校へ編入学(以下、編入)を考えている方に向けて、編入の条件をはじめ出願書類や入学試験、転入学(以下、転校)との違い等についてご紹介します。一つ一つ確認し編入への理解だけでなく、ご自身に合った最適な学校選びにお役立てください。
目次 - Contents
通信制高校に編入できる条件とは?
高校を退学(中退)している
「編入」とは一度高校に入学し、退学(以下、中退)してから他の高校に入学することを指します。高校に在籍し途中から他の高校に移る場合は、編入ではなく「転校」と呼びます。
年齢制限
多くの通信制高校では、年齢の上限を設けていません。満15歳以上(中学卒業後の年齢)であれば入学できます。また、法律上年齢の上限については定めがなく、成人していても編入可能です。
入学区域・居住地域
通信制高校には「広域通信制高校」「狭域通信制高校」の2種類があります。学校により入学の受け入れ可能区域が異なるため、入学をめざす際には注意が必要です。検討している高校が「広域通信制高校」か「狭域通信制高校」か、またご自身の居住地域が受け入れ可能区域内か、入学相談窓口に確認しましょう。
高校に在籍している場合は「転校」
「編入」は高校を中退した人が新たに他の高校へ入学することを指し、「転校」は高校に在籍した状態から他の高校へ移ることを指します。
現在高校に在籍している場合は、中退する前に転校手続きを取ることをおすすめします。
転校の場合、単位や在籍期間の引き継ぎ、入学手続き等スムーズに進めます。また、同級生と同時期の卒業をめざせる等メリットが多いため、退学を検討している方は、一度在籍している高校へ転学手続きについて確認し、その上で検討している通信制高校へ入学相談することをおすすめします。
【学年別】編入のポイントと注意点

高校1年生で編入する時のポイント・注意点
高校1年生の途中で編入する際は、中退した高校の在籍期間を引き継ぐことができます。
単位の引き継ぎについては、可能かどうかを確認しましょう。全日制高校の単位認定は、基本的に年度末に行われるためです。
なお、高等学校学習指導要領では学期ごとに単位を認定することも可能とされているため、中退した高校が半期ごとの単位認定を行っている場合、修得済みの前期単位を引き継ぐケースがあります。
学校によって対応が異なるため、編入を希望する学校に引き継げるかどうかを確認することが重要です。
年度学校によっては「再入学」として扱われる可能性もあるため、一からのスタートを想定しつつ、前期の学習内容を把握しておくとよいでしょう。
高校2年生で編入する時のポイント・注意点
高校2年生で編入する場合、修得済みの単位をどのくらい引き継げるかがポイントです。基本的に中退した高校の在籍期間や修得済み単位は、一部例外を除き引き継ぐことができます。
高校2年生で編入する場合、編入先の高校がいつ編入を受け入れているかを確認しましょう。そして、卒業までに必要な残りの単位数を修得できるよう、カリキュラムを組む必要があります。
これらの段階を踏むため、卒業までに少なくとも半年程度の遅れが生じる点に留意しておきましょう。
高校3年生で編入する時のポイント・注意点
高校3年生での編入を検討する際の重要なポイントは、単位の引き継ぎと卒業時期です。高校2年生で中退した場合と同様、基本的に中退した高校の在籍期間や修得済み単位は、一部例外を除き引き継ぐことができます。
高校3年生は卒業に向けた大事な時期であり、編入すると通常の3月卒業が厳しくなり9月などにずれ込む可能性が高くなります。編入後に通信制高校で必要な「添削」や、「面接指導」をこなすための時間的余裕を要するためです。
大学進学をめざす場合は、受験勉強と並行しつつ単位修得も求められるため、時間の調整がいっそう重要になってきます。編入生の卒業には、通算3年以上の在籍と必修科目を含む74単位以上が求められ、卒業は各通信制高校が設定する時期に決定されるのが一般的です
卒業時期に関しては、すぐに卒業したいのか、通常の3月に合わせたいのかといった個人の希望により異なるため、希望がある場合は事前に検討している高校の相談窓口に相談しながら学習計画を立てるようにしましょう。
通信制高校へ編入する4つの魅力

1.中退した高校で修得した単位や在籍期間を引き継げる
通信制高校へ編入する際、過去に在籍していた高校の在籍期間や修得した単位(一部例外を除く)を引き継ぐことができます。
たとえば、高校2年生の途中で退学した場合、前の高校で1年生の時に修得した単位や在籍期間を引き継げます。なお、特別活動をはじめ一部単位は引き継げない場合があることに注意しましょう。
2.登校が少ないため仕事や育児等と両立しやすい
通信制高校は全日制高校と比較し、登校日数が少ない点が特徴です。そのため、仕事、育児、さらにはスポーツや芸能活動など両立しやすい環境が整っています。
3.自分のペースで学習を進められる
通信制高校では通信教育を活用し、場所や時間を選ばずに自分のペースで学習を進められます。昨今はオンライン学習システムを活用し、ネット上で動画授業の受講やレポート提出が可能な学校も増えています。
4.人間関係に悩むことが少ない
通信制高校は毎日登校する必要がないため、人間関係に悩むことが少なくなります。人間関係のトラブルがもとで前の高校を退学した生徒にとって、通信制高校は安心して過ごせる環境です。
通信制高校に編入試験(入試)はある?必要な書類は?

通信制高校に編入する際、入学試験が実施されます。
多くの通信制高校では書類審査・面接を実施します。中には学力試験(ペーパーテスト)を実施する高校もあります。
編入する際に提出が求められる書類は、志願者が作成する願書、これまで在籍した高校に作成してもらう在籍期間証明書、成績単位修得証明書等があげられます。
通信制高校へ編入した場合、単位・在籍期間は引き継げる?
通信制高校に編入する場合、中退した高校の在籍期間や修得した単位は一部例外を除き引き継げます。
多くの学校は年度途中の退学の場合、当該年度の単位は認定されていないことが多いです。前の高校を1年生の途中で退学した場合、在籍期間は引き継げますが、半期で単位を修得しているケースを除き引き継げる単位はありません。
編入は何学年まで?入学(受け入れ)時期は?
通信制高校では、多くの学校が学年の制限なく編入を受け入れています。入学(受け入れ)時期は、毎月入学を受け入れている学校や、4月や10月など年に数回特定の時期に受け入れている学校もあります。
高校1年生で中退した場合
中退した高校の在籍期間を引き継ぐことができます。単位については、多くの高校では年度末に単位修得となるため、年度途中に中退する場合は原則引き継げる単位はありません。ただし、半期ごとに単位認定を行っている学校の場合、修得できている単位を引き継ぐことができます。
高校2年生で中退した場合
中退した高校の在籍期間や修得済み単位は、一部例外を除き引き継ぐことができます。
高校3年生で中退した場合
高校2年生で中退した場合と同様に、中退した高校の在籍期間や修得済み単位は、一部例外を除き引き継ぐことができます。
編入生の卒業時期

編入生の卒業時期は、卒業要件である高等学校に通算3年以上在籍、必修科目を含めて74単位以上の修得を満たした上で、各通信制高校が設定する時期に迎えられます。また、各校卒業認定は卒業時期に合わせて行っています。
「9月でも構わないから早く卒業したい」「3月に卒業したい」等の卒業時期に希望がある方は、入学前に一度検討している高校の入学相談窓口に相談しましょう。
通信制高校の学費・授業料はいくら?

通信制高校の学費は、公立・私立で大きく異なります。またコースの追加選択やサポート校へ通う等によっても学費が異なります。
ここでは、私立通信制高校の学費についてご案内します。
私立通信制高校の場合
学費は主に、入学金(初年度のみ)・授業料・施設設備関連費・教育関連費等を要します。
授業料は履修単位数により異なり、私立を例にあげると1単位あたりの相場が7,000円台から12,000円台です。
年26単位程度を履修する場合、約180,000~320,000円程度を授業料の目安として考えておくと良いでしょう。
前述の通り、上記授業料に加え、施設設備関連費・教育関連費等が加算されます。また、編入初年度は入学金や、制服購入が必須の高校では制服購入費も加わります。高校を選ぶ上で学費は重要なポイントですので、事前に確認をとりましょう。
修学支援制度
高等学校等就学支援金は、国がご家庭の教育費負担軽減を目的とするもので、授業料の一部を国が負担するものです。
また、学校のある自治体によっては独自の修学支援制度等を行っている場合があります。
どちらも支給申請をすることで学費の負担が軽減されます。手続き方法や制度の詳細を知りたいときは、進学を検討している高校の入学相談窓口(高等学校等就学支援金)、お住まいの地域または学校所在地の助成制度窓口(修学支援制度等)へお問い合わせましょう。
まとめ

高校2年生や3年生であっても、通信制高校への編入は十分可能です。編入の条件は学校ごとに異なるため、事前に各学校の入学要件や授業内容などをしっかりと確認するようにしましょう。費用面については、修学支援制度を活用することで学費の負担を軽減できます。
通信制高校への編入では、これまでに修得した単位が引き継がれ、自分のペースで学習を進められる点は生徒にとって大きな魅力です。
自分に合った学びの環境を求めている人は、通信制高校への編入を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。新しい環境で、自分らしい学びを実現し、未来への一歩を踏み出しましょう。
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