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教育コラム #3 伊勢湾台風

掲載日:2021.11.08

オルタナティブ教育
長谷川 高士

オルタナティブ教育
長谷川 高士

こんにちは、長谷川です。
今日は、防災関係のドキュメンタリー映画を紹介したいと思います! SDGsとは少し離れた内容になりますが、過去の日本とこれからの日本をつなぐこだわりの感じられる作品となります。

私は、分子生物学関連の博士号を持っていることや、科学技術映像の作成を故 牧衷 氏に師事した経験から、「科学技術映像祭」に協力しています。 この映像祭は、1年間の科学技術映像の中から応募をいただき、内閣総理大臣賞・文部科学大臣賞などをはじめ賞を与えています。 開始から60余年が経つ今も、毎年様々な映像の評価を行っています。
2020年は、先日のプレスリリースで、タンチョウヅルの生息地の整備を行った「たづ鳴きの里 ~タンチョウを呼ぶ農民たちの1500日~」が 内閣総理大臣賞に決まったと発表がありました。

今回、紹介したいのは昨年のコロナ禍で発表のインパクトがやや少なかった作品「伊勢湾台風60年 色と記憶」(文部科学大臣賞)です。

伊勢湾台風60年 色と記憶

この伊勢湾台風は、日本の台風災害史上最悪の被害をもたらしたもので、被害とともに台風による高潮の教訓を多く残しました。1959年当時の映像をもとに、岩波映画社による「災害の科学」でも取り上げられています。 この災害は規模の大小はありこそすれ、台風の多い日本が根本的に抱える課題だといえます。 しかし、災害の記憶は風化していくものです。

白黒の映像をカラー映像に

今回の「伊勢湾台風60年 色と記憶」は、この風化しつつある60年前の災害の「白黒の動画」について、AI技術を使ってカラー映像にしようという企画を追った作品です。しかしAIで自動的に色をつけることに対しては疑問が残ります。AIが色をつけたものは本当に正しい色なのでしょうか。あとからこうだっただろうと事実を少しねじまげていることにならないでしょうか。
ところがこの作品はその疑問に、少なくとも部分的に回答をしていて、本当の色だったといえるようになっているのです。

何より、白黒だった映像に色がついたことによるその鮮明さは、目の前で起こっていた災害の危険をひと際感じさせるものになっていました。風化しかかった記憶が、21世紀の技術でもう一度よみがえったことがとにかく素晴らしい。 災害を記録した映像復活の技術と物語としてもよく編集されています。
私が以前、牧氏から「あまりにも災害が悲惨で、カメラの映像から悲しみにくれる感情が強くなりすぎてしまった」 と話されていたのを覚えていますが、あらためてその被害の大きさから台風と高潮について思いを馳せました。

YouTubeからご覧いただけます

この「伊勢湾台風60年 色と記憶」をどうにかDVDなどで購入できないかと思っていましたが、 なんと現状オンラインで見られる環境にあることが分かりました。 ぜひ時間を見つけてご覧いただければ幸いです。