高校留年してしまったら?その後の選択肢や基準などを解説
公開日:2024.08.29
全日制高校では、成績不振や出席日数の不足などによって必要な単位を修得できない場合、留年になる可能性があります。
「留年しそうだけれど、何とかしたい」「留年が決まったので、この先どうすべきか知りたい」など、悩む人もいることでしょう。
この記事では、高校留年の基準や救済措置、留年してしまった場合の選択肢などについて解説します。
留年とは
留年は、学校に在籍している生徒が、年度が変わっても進級せず、もう一度同じ学年を繰り返すことです。正式には、「原級留置」といいます。
「不登校等で出席日数が不足している」「成績不振である」など、さまざまな理由によって単位が足りないときに判断されます。
高校を留年した場合は進級できず、同じ学年を繰り返さなくてはなりません。仮に、高校1年生時に留年が決定すると、通常通り高校2年生に進級ができずに、次の年度も高校1年生として勉強することになります。同様に、高校3年生時に留年が決定した場合には、通常通り卒業はできず、もう一度高校3年生として勉強することになります。
ある日突然留年を言い渡されるわけではなく、学校側から事前に通知されることが一般的です。
高校留年の実態
高校で留年している人は、年間でどの程度いるのでしょうか。
文部科学省の調査によると、令和4年度は合計で9,482人が留年しています。高校の種別や学年、学科別の留年者数と留年率は、次のとおりです。
全日制(普通科)
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
1,950 |
1,345 |
334 |
― |
302 |
3,931 |
留年率 (%) |
0.3 |
0.2 |
0.1 |
― |
0.1 |
0.2 |
全日制(専門学科)
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
722 |
494 |
104 |
― |
38 |
1,358 |
留年率 (%) |
0.4 |
0.3 |
0.1 |
― |
0.1 |
0.2 |
全日制(総合学科)
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
23 |
16 |
2 |
― |
321 |
362 |
留年率 (%) |
1.4 |
1.0 |
0.1 |
― |
0.2 |
0.2 |
定時制
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
181 |
109 |
82 |
31 |
633 |
1,036 |
留年率 (%) |
3.5 |
2.4 |
1.7 |
0.8 |
1.2 |
1.4 |
通信制
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
144 |
112 |
104 |
98 |
2,337 |
2,795 |
留年率 (%) |
1.6 |
1.3 |
1.2 |
2.8 |
1.1 |
1.2 |
合計
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
合計留年者数 (人) |
3,020 |
2,076 |
626 |
129 |
3,631 |
9,482 |
合計留年率 (%) |
0.3 |
0.2 |
0.1 |
1.8 |
0.6 |
0.3 |
全日制(普通科)
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
1,950 |
1,345 |
334 |
― |
302 |
3,931 |
留年率 (%) |
0.3 |
0.2 |
0.1 |
― |
0.1 |
0.2 |
全日制(専門学科)
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
722 |
494 |
104 |
― |
38 |
1,358 |
留年率 (%) |
0.4 |
0.3 |
0.1 |
― |
0.1 |
0.2 |
全日制(総合学科)
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
23 |
16 |
2 |
― |
321 |
362 |
留年率 (%) |
1.4 |
1.0 |
0.1 |
― |
0.2 |
0.2 |
定時制
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
181 |
109 |
82 |
31 |
633 |
1,036 |
留年率 (%) |
3.5 |
2.4 |
1.7 |
0.8 |
1.2 |
1.4 |
通信制
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
留年者数 (人) |
144 |
112 |
104 |
98 |
2,337 |
2,795 |
留年率 (%) |
1.6 |
1.3 |
1.2 |
2.8 |
1.1 |
1.2 |
合計
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 単位制 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
合計留年者数 (人) |
3,020 |
2,076 |
626 |
129 |
3,631 |
9,482 |
合計留年率 (%) |
0.3 |
0.2 |
0.1 |
1.8 |
0.6 |
0.3 |
留年者:令和5年3月末現在で進級または卒業が認められなかった者
留年率:各区分における在籍者数に占める原級留置者数の割合
留年の基準
高校の場合、留年となる基準は学校によって異なりますが、一般的には次の3つが留年の決定に影響します。
- 単位
- 成績
- 出席日数
それぞれ解説します。
単位
単位の修得状況は、留年を決める基準となります。
単位とは、各科目で必要な授業量のことです。修得しなければならない単位数は学校によって異なるものの、高等学校指導要領※にて定められている通り74単位以上を修得する必要があります。
各科目の「成績」と「出席日数」について、規定の基準を満たすことで、単位を得ることができます。単位修得不足によって留年となる場合は、学期末試験後に留年が決まります。
留年が決定となる過程は学校により異なりますが、多くの学校では学期末試験後に成績会議が開かれ、留年対象者を決定というパターンが多いようです。
成績
成績も留年の判断に影響します。「定期試験において、各科目に設定されている基準の点数を上回ること」が、単位修得の条件になるためです。
尚、"基準点を下回ると、すぐに留年する"ということではありません。定期試験で同じ科目において、何度も基準点を下回っていたり、追試験でも基準点を満たせなかったりすると、留年につながりやすいでしょう。
高校によっては、通知表の成績だけでなく、提出物の提出状況や授業態度も成績に影響することもあります。「試験でよい成績さえ取っていればよい」とは限らない点に、注意が必要です。
出席日数
出席日数も、留年の判断に関係します。出席日数の基準は各自治体や学校によって決められており、定められた出席日数を満たすことが単位修得条件の一つとなります。
必要な出席日数は、在籍している学校や県によって異なるものの、「3分の1以上」という基準が目安となります。
出席日数というのは、実際に登校した日数ではありません。各科目の出席時間数を用いて出席日数を計算しています。遅刻も各学校の基準に基づいて出席日数に影響を及ぼすため、注意しておく必要があります。
出席日数に関する対応は、高校によって異なります。生徒手帳を確認したり、学校に聞いたりして、規則をしっかり把握しておきましょう。
救済措置
留年が心配な場合、「何とかして留年を避けたい」と考える人は多いでしょう。高校の方針によっては、なんらかの救済措置を設けていることがあります。
たとえば、成績に問題がある場合、補修や追試を受けたり、レポートなどの課題を提出したりすることで、単位を修得できるケースがあります。夏期休暇や冬期休暇などの長期休みや放課後の時間を活用して補修を行うことによって、出席日数を補うケースもあるようです。
ただし、すべての高校に留年回避の救済措置が用意されているわけではありません。救済措置の内容や基準も、高校によって異なります。「留年になりそうで不安」という人は、早めに学校側に相談してみましょう。
留年できる回数
留年を繰り返しそうな場合、「いつまで留年できるのだろう」と不安になる人もいるのではないでしょうか。
多くの高校では、留年できる回数は2回までとされており、3回目の留年となると、退学を勧告されることが一般的と思われます
留年できる回数を知りたいときは、生徒手帳や学則を確認してみましょう。
留年してしまった場合の選択肢
高校を留年してしまった場合、主に次の5つの選択肢があります。状況に合わせて、よりよい選択をしましょう。
- 継続して在籍する
- 通信制高校に転校(転入)・編入する
- 定時制高校に転校(転入)・編入する
- 高卒認定試験を受ける
- 就職する
それぞれの選択肢について、詳しく見ていきましょう。
継続して在籍する
1つめの選択肢は、在籍している高校に留まり、単位を取りなおすことです。
同じ学校で学ぶため、転校・退学手続き等の負担が生じません。
尚、一学年下の後輩が同級生に、元同級生が先輩になるため、過ごしにくさを感じるかもしれません。また、「同じ高校で再チャレンジして、進級基準をクリアできるか」という点は考慮しておいたほうがよいでしょう。
通信制高校に転校(転入)・編入する
通信制高校に転校(転入)、編入する方法です。
通信制高校の場合、毎日の通学は必要ありません。登校が難しい理由などを抱えている人にとっては、自分の生活スタイルにあった通信制高校を探してみる方が、同じ高校に継続して在籍するよりも過ごしやすいかもしれません。
また、通信制高校では基本的に、学校から送付される教材を活用した自宅学習が中心となります。勉強のペースについていけないと感じている人も、無理なく学べるでしょう。
定時制高校に転校(転入)・編入する
定時制高校に転校(転入)、編入する選択肢もあります。
定時制高校とは、夜間または昼間の決められた時間に、学校へ通学して勉強をする高等学校課程のことを示しています。多くの場合、昼や夕方、夜間に授業を行うため、「朝型の生活スタイルが難しいと感じている」「自分のペースで学びたい」という人におすすめです。
社会人として昼間に働いている人や、当時の事情によって、高校を卒業できていなかった高齢者の人なども在籍しているため、自分の視野が広がることにもつながるでしょう。
毎日登校する必要があるため、学生らしい生活を送りやすい一方、通学がつらい人にとっては負担になる恐れがあります。
高卒認定試験を受ける
高校へは通わず、高等学校卒業程度認定試験(高認)を受ける道もあります。
高卒認定試験とは、試験に合格することで、高校を卒業した人と同程度かそれ以上の学力があるということを国に認めてもらえる試験のことです。試験は1年間に2度行われ、受験資格として、受験する年度末までに満16歳以上である必要があります。
試験に合格すれば、高卒資格が必要な大学や専門学校を受験できます。
しかし、高卒認定試験に合格したとしても、最終学歴を「高校卒業」と言うことはできません。そのままであれば、最終学歴は「中卒」になります。その後、大学や専門学校を卒業することによって、最終学歴が更新されます。特別な事情がなければ、基本的には高校卒業をめざすほうがよいでしょう。
就職する
高校を中退し、就職することもひとつの手段です。
留年した場合、その分学費が必要になります。現状のまま留年しても、進級や卒業が難しい場合もあるでしょう。
そのような場合は、就職して学費を貯めてから、あらためて高校に通う方法もあります。社会人として働くなかで「学びたい」という意欲が高まり、再び高校卒業をめざしたくなることもあるかもしれません。
一方、中卒という学歴では求人の選択肢が少ないため、理想の就職が叶わない恐れがある点には注意が必要です。働きながら通信制・定時制高校に通ったり、高卒認定を取得したりすることを検討してみましょう。
通信制高校ならルネサンス高校
ルネサンス高校は、ネット主体の日々の学習と、少ない登校日数(スクーリング)で高校卒業資格を取得できる通信制高校です。
生徒一人ひとりの学力に合わせ、基礎からじっくり学べるカリキュラムを組んでいます。担任の先生が基礎学力をつけるサポートも行いますので、高校の学習に不安がある人もご安心ください。
在籍高校からの転入学では、修得済み単位や在籍期間を引き継ぐことが可能です。転入は、年間を通じて受け付けています。気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
高校の留年には、修得単位に加え、成績や出席日数などが影響します。高校によっては、補修や追試、レポート提出といった救済措置が用意されているケースもあります。留年が心配な場合は、在籍高校の規則を確認し、できる限り早めに対策することが大切です。
留年が決まったときは、同じ学校に留まるだけでなく、通信制高校などへの転入、高卒認定試験の受験や就職など、さまざまな選択肢があります。状況に合わせ、適切に選択しましょう。
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