通信制高校に通う生徒数はどのくらい?増加傾向にある理由も紹介
更新日:2024.11.29
通信制高校に通う生徒数は増加傾向にあり、令和2年度には20万人を超えました。通信制高校は、さまざまな事情をもつ生徒の進学先として注目されています。
この記事では通信制高校の生徒数を年齢別、公立・私立別、男女別に解説し、さらに昭和から令和にかけて生徒数がどのように変遷してきたのかを紹介しています。通信制高校の生徒数が増え続けている理由についても触れているため、通信制高校への進学を考えているご家庭はぜひ参考にしてください。
通信制高校の生徒数はどのくらい?
文部科学省は毎年「学校基本調査(※)」をおこない、全国の学校施設における5月1日時点の生徒数を調べています。
令和5年度の調査結果によると、通信制高校の生徒数は5月1日時点で264,974人でした。全日制・定時制・通信制を合わせた全生徒数が2,918,501人だったことから、全体の約8%が通信制高校に通っていたといえます。つまり令和5年度の時点では、高校生の約12人に1人が通信制高校に通っていたことがわかる結果です。
ここからは文科省が発表している令和2年度の統計データ(※)をもとに、通信制高校の生徒の構成比について以下の3項目にわけて解説していきます。
- 年齢別
- 公立・私立別
- 男女別
年齢別の構成比
文部科学省の調査(※)によると、通信制高校における年齢別の生徒数は令和2年5月1日時点で以下のとおりでした。
年齢 | 生徒数 | 構成比 |
---|---|---|
15歳 | 39,360 | 19.0% |
16歳 | 52,647 | 25.4% |
17歳 | 62,737 | 30.3% |
18歳 | 18,876 | 9.1% |
19歳 | 7,674 | 3.7% |
20歳~24歳 | 14,569 | 7.0% |
25歳以上 | 11,085 | 5.4% |
15歳の生徒の割合は平成17年度の調査において10.2%でしたが、令和2年度には19.0%まで増加しています。このことから、中学校卒業後に通信制高校へ進学する生徒が増えていると考えられるでしょう。
公立・私立の構成比
通信制高校に通っている生徒数は、令和2年5月1日時点の調査によると、通信制高校に在籍する生徒数は公立で55,427人、私立で151,521人となっています。つまり通信制高校に通っている生徒の約3割が公立、約7割が私立の学校を選択する傾向です。
通信制高校の数で見たときも公立に比べて私立のほうが多く、令和2年度の通信制高校数は公立が78校だったのに対して私立は179校(※)でした。私立の通信制高校は増加傾向にあり、平成17年には99校(※)だった学校数が令和2年度には2倍近くまで増えています。
男女の構成比
男女別の生徒数については、令和2年5月1日時点で次のような調査結果が出ています。
男子 | 女子 | 合計 | |
---|---|---|---|
公立 | 27,268 | 28,159 | 55,427 |
私立 | 78,565 | 72,956 | 151,521 |
合計 | 105,833 | 101,115 | 206,948 |
このデータから男女で通信制高校の生徒数に大きな差はなく、構成比はおよそ半々といえるでしょう。
通信制高校の生徒数の変遷
通信制高校の生徒数は、昭和45年度から令和2年度までの50年間で大きく増加しています。昭和45年度に公立と私立を合わせて148,748人だった生徒数は平成に入ってから増え始め、令和2年度に初めて20万人を超えました。
公立・私立別の生徒数の推移についても、下の表で確認してみましょう。
昭和45年度から平成12年度までは、公立の通信制高校が私立を大きく上回っていました。ところが平成17年度に公立と私立の生徒数の差が縮まり、平成22年度には逆転して、令和2年には私立の生徒数が公立の約2.7倍になりました。
調査年 | 公立 | 私立 | 合計 |
---|---|---|---|
昭和45年 | 95,848 | 52,900 | 148,748 |
昭和50年 | 95,674 | 46,125 | 141,799 |
昭和55年 | 87,104 | 37,766 | 124,870 |
昭和60年 | 86,282 | 46,362 | 132,644 |
平成2年 | 97,271 | 69,715 | 166,986 |
平成7年 | 97,330 | 56,653 | 153,983 |
平成12年 | 107,854 | 74,023 | 181,877 |
平成17年 | 93,770 | 89,748 | 183,518 |
平成22年 | 86,843 | 100,695 | 187,538 |
平成27年 | 66,702 | 113,691 | 180,393 |
令和2年 | 55,427 | 151,521 | 206,948 |
通信制高校の生徒数が増えている理由とは?
少子化の流れとは逆に通信制高校の生徒数は年々増えており、通信制高校の新設も増加傾向です。その背景には次のような理由があると考えられます。
- 不登校の増加
- 豊富なカリキュラム
- やりたいことに専念できる
不登校の増加
通信制高校に通う生徒が増えている要因のひとつは、不登校の増加です。文部科学省の調査において、不登校児童生徒は「病気や経済的な理由を除き年間30日以上の欠席をした者」(※)と定義されています。
令和4年度におこなわれた調査によると、中学校における不登校生徒数は193,936人でした。平成24年度の不登校生徒数が91,446人だったのと比較すると、10年間で約10万人も増えています。
不登校の増加にともなって通信制高校が注目され始めた理由は、登校日数が少なくても高校卒業の資格を得られるためです。全日制高校は基本的に毎日登校する必要があり、出席日数が少ないと単位が足りず進級や卒業ができません。
それに対して通信制高校は自宅での学習が中心で、毎日登校しなくてもレポート提出などの条件をクリアして単位を修得すれば卒業できます。スクーリングと呼ばれる登校日はありますが、学校によって年に数回や週1回など少なめに設定されているため、中学校で不登校だったとしても無理のないペースで高校に通えるでしょう。
豊富なカリキュラム
全日制高校は朝から夕方まで集団授業をおこなうスタイルが基本ですが、通信制高校では豊富なカリキュラムが用意されています。オンライン授業や教科書を使った学習、ワークなど多彩な学習方法から自分に合ったスタイルを選べるのが、通信制高校の魅力のひとつです。
自宅学習がメインのため、勉強の進捗状況はレポート提出という形で報告します。レポートは設問に答えていく小テストや短文の記述式など、学校によって異なる形式です。完成したレポートはオンラインや郵送で提出し、添削を受けます。
通信制高校では自宅学習のほかに通学して授業を受けるケースもありますが、少人数制や個別指導など学校によって授業のスタイルが違うため、何校か比較してみるとよいでしょう。
やりたいことに専念できる
通信制高校は全日制高校のように決まった時間割がなく、自由な時間の使い方ができます。勉強を自分のペースで進められ、それ以外の時間は自分のやりたいことに専念できる点が大きなメリットです。
通信制高校で学ぶ生徒が自由な時間を使ってどのようなことに取り組んでいるのか、例を見てみましょう。
- 趣味を楽しんでいる
- アルバイトをしている
- プロスポーツ選手やアスリートをめざしてトレーニングをおこなっている
- 留学準備のために語学スクールに通っている
- 音楽家になるためにレッスンを受けている
- タレント養成所のレッスンに参加している
- 福祉の資格を取るために勉強している
全日制高校では平日にまとまった時間を取ることは難しいですが、通信制高校は登校日数が少なくスケジュールの自由度が高いため、学外での活動時間を確保しやすいでしょう。このような理由から、通信制高校は働きながら高校卒業の資格を得たい人や、専門分野の学習を並行しておこないたい人から人気を集めています。
通信制高校の今後の展望
高校の生徒数は全日制・定時制で減少傾向にあるものの、通信制高校の生徒数は増加傾向が続いています。小学校・中学校の不登校児童生徒数が令和4年度時点で約30万人(※)と過去最多を記録するなか、通信制高校が不登校などの問題を抱える生徒の受け皿としての役割を担っている状況です。
それにともない通信制高校の数も私立を中心に増えていますが、一部には不適切な学校運営が指摘されている事例もあり、教育の質の確保が課題としてあげられています。公立の通信制高校は生徒数が減少していますが、経済的な事情がある生徒にとって重要な位置づけであることから、文部科学省では機能を強化していく方針です。
また通信制高校にはさまざまな事情をもつ生徒が多く在籍しているため、生徒が卒業後に自立して社会に出られるよう支援していかなければなりません。今後は心理的な支援として、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーの配置を進めていく必要があるとされています。
通信制高校ならルネサンス高校
令和6年5月1日時点の最新情報で、通信制高校のルネサンス高校には9,410人の生徒が在籍しています(グループ3校合計、2024年5月現在)。生徒の中には海外留学やプロスポーツ選手をめざす人、芸能活動と学業を両立させている人、さまざまな活動に取り組んでいる生徒がいます。
不登校経験のある生徒も多く在籍し、自宅学習を中心として自分に合ったペースで勉強を続けています。ルネサンス高校では充実した支援体制を整えているため、入学に不安がある場合はぜひご相談ください。
まとめ
不登校の増加にともない、通信制高校の生徒数は大きく増えています。通信制高校は毎日の通学が困難な生徒でも学習できる環境が整っていることから、今後も多様な学びを提供する学校施設として重要な役割を果たしていくでしょう。
時間の制約が少ない通信制高校には、自由な時間を確保しながら高校に通いたい生徒も多く入学しています。これから進学をひかえている人は、進学先の選択肢として通信制高校を検討してみてはいかがでしょうか。
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