高校就学支援金がもらえない?理由と受給対象、高校無償化の仕組みを解説
更新日:2024.12.26

高校就学支援金は、公立・私立問わず、国が高等学校等の学費の一部を負担する制度です。受給には条件があり、該当しない場合は支援金はもらえません。支援金を受給するためには、まず受給対象にあたるかを確認しておきましょう。
この記事では、高校就学支援金がもらえない理由や受給対象であるか確認する方法かなどを解説します。
そもそも高校就学支援金制度とは何?

高校就学支援金制度とは、国公私立といった区別なく高等学校等に通い、要件を満たす世帯の生徒に対して授業料が支給される制度です。
授業料に充てるための就学支援金を支給することで、教育に係る経済的負担の軽減を図り、教育の機会均等を図ることを目的としています。
支給を受けるには、日本に住所があり、在学要件と所得要件を満たすことが必要です。
学校によっては支援金が支給されるまでは授業料を徴収し、相当額を後日還付するケースもあります。経済的に支払いが困難な家庭には猶予措置等が設けられている場合もあるため、詳しい内容は学校へ問い合わせてみるとよいでしょう。
高校就学支援金がもらえない理由

高校就学支援金には受給資格があり、要件を満たしていないと受給できません。
ここでは、高校就学支援金をもらえない理由を2つ解説します。
1.受給資格を満たしていない
高校就学支援金を受給できない理由の1つめは、受給資格を満たしていないことです。
まず、次の2つを満たしていないと受給できません。
- 日本在住で、受給の対象となる高校に属している
- 年収約910万円未満の世帯である
1の「対象高校」(※)とは、次の学校です。
- 国公私立の高等学校(全日制・定時制・通信制)
- 中等教育学校後期課程
- 特別支援学校の高等部
- 高等専門学校(1~3年生)
- 専修学校(高等課程)
- 専修学校の一般課程や各種学校のうち国家資格者養成課程に指定されている学校・各種学校のうち一定の要件を満たす告示で指定した外国人学校
このうち、次の場合は対象外となります。
- 高校等をすでに卒業した生徒
- 3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している生徒
- 専攻科、別科の生徒
- 高校に在学していない科目履修生、聴講生
2の要件「年収約910万円未満の世帯である」は、4人家族(両親・高校生・中学生)で、両親の一方が働いている家庭をモデルにしています。目安の1つに過ぎず、910万円未満だから要件を満たしているとは限りません。家族構成と働き方によっては、受給できない可能性があるため注意が必要です。
【出典】
※ 文部科学省「高等学校等就学支援金等について」
2.所得制限
高校就学支援金をもらえない理由の2つめは、所得制限があることです。受給資格の所得要件の基準は世帯年収が910万円未満ですが、先述したように、910万円未満であれば必ず受給できるとは限りません。共働きかどうか、子どもや扶養控除対象者の人数は何人かなどで基準は変動します。
私立の全日制高校を例として、家族構成別に11万8,800円の支給、最大39万6,000円の支給を受けられる世帯年収の目安(※)は、次のとおりです。
子どもの学年 (子どもが2人の場合) |
11万8,800円支給 | 39万6,000円支給 | |
---|---|---|---|
両親の一方が働いている | 高校生2人 | 〜約950万円 | 〜約640万円 |
大学生・高校生 | 〜約960万円 | 〜約650万円 | |
両親が共働き | 高校生・中学生以下 | 〜約1,030万円 | 〜約660万円 |
高校生2人 | 〜約1,070万円 | 〜約720万円 | |
大学生・高校生 | 〜約1,090万円 | 〜約740万円 |
世帯年収は、給与所得以外の収入はないものとして算出します。金額は親権者である父親と母親の収入の合計で判断し、祖父母など他の同居家族の収入は含まれません。
なお、就学支援金の支給額を判断するための収入状況の確認は、毎年度行われます。1年生は4月と7月の2回、2・3年生は7月の1回(※)です。
入学時に支給対象外だった場合でも、その後の世帯状況等によって支給基準を満たすようになれば、認定を受けて支給を受けることが可能です。
高校就学支援金がもらえない?受給対象であるか確認する方法

高校就学支援金の受給対象であるかどうかの判定は、次の計算式でわかります。
「課税標準額(課税所得額)×6%- 市町村民税の調整控除額」
政令指定都市に納税している場合は、調整控除額に4分の3を乗じて計算してください。
算出額と、それぞれの最大年額支給額は次のとおりです。
- 15万4,500円未満(年収目安590万円未満):39万6,000円(私立全日制高校の場合。私立通信制高校の場合は最大年額29万7,000円)
- 30万4,200円未満(年収目安910万円未満):11万8,800円
課税標準額とは、課税金額を算出する上で基礎となる金額を指します。また、調整控除額とは、配偶者控除や扶養控除といった人に対する控除の差に基づく負担を軽減する金額のことです。
それぞれの金額は、課税証明書や納税通知書等で確認できます。マイナンバーカードを所有している場合は、オンラインサービスのマイナポータルでも確認が可能です。
通信制高校でも高校就学支援金制度の対象になる?

通信制高校も、高校就学支援金制度の対象です。ただし、全日制高校とは支給額が異なります。
まず、通信制高校には公立校と私立校があり、授業料は「単位制」と「定額制」の2種類です。公立の通信制高校で定額授業料の場合、支給額は月額520円です。
公立校の場合はほとんどが単位制を採用しており、年収約910万円未満であれば、1単位あたりの支給限度額は336円です。1単位あたりの学費は地域によって異なり、300円〜700円程度であるため、受給によって実質的に授業料が無料になることもあります。
私立校で定額授業料の場合、全日制高校等と同じく月額9,900円が支給されます。さらに、世帯年収によって加算される場合があります。
通信制高校の公立・私立別・高校就学支援金の金額は、次のとおりです。
世帯年収 | 定額授業料の場合 | 単位制の場合 | |
---|---|---|---|
公立 | 約910万円未満 | 520円/月 | 336円/単位 |
私立 | 約590万円以上910万円未満 | 9,900円/月 | 4,812円/単位 |
約590万円未満 | 加算額14,850円/月 | 加算額7,218円/単位 (最大12,030円) |
【出典】
※ 文部科学省「支給期間・支給限度額一覧」令和2年4月
支給期間の上限は48ヶ月で、単位数は74単位(卒業のために必須となる単位数)までとなっています。単位を修得できず在学期間が48ヶ月を超えた場合、超過した期間の授業料は負担しなければなりません。
また、支援金を受給できるのは年間30単位までとなっています。
高校就学支援金の対象外となる費用一覧

高校就学支援金の支給で授業料が免除になっても、高校では授業料以外にさまざまな費用がかかります。
ここでは、高校に入学してからかかる支出で、高校就学支援金の対象外になる費用をみていきましょう。
1.入学金
高校に入学する際には、入学金の支払いが必要です。入学金は高校就学支援金の対象ではありません。文部科学省が公表している、平成29年度の公立・私立高校の入学金の平均は、次のとおりです。
公立高校 | 5,641円 |
---|---|
私立高校 | 162,356円 |
公立と私立では、大きく金額が異なるのが特徴です。金額はあくまで平均であり、私立高校の場合は、学校によって平均よりも低い場合もあれば、大きく上回るケースもあります。
2.制服代
入学金と同様に、入学時にかかる費用として挙げられるのは、制服代です。夏服・冬服をそれぞれ一式購入することになるほか、制服以外にも鞄などの指定がある場合も多いこともあり、私立高校の方が金額が高くなることが多いです。
金額の目安は公立で4〜5万円程度、私立で7万円程度ですが、シャツやソックスなど、複数枚必要になるアイテムもあり、予算は高めになると考えておいた方がよいでしょう。
制服のほか、体操着や靴類、鞄も揃えなければなりません。
体操着に関しては、部活動などでも使用する機会がある場合には、複数枚用意しておく必要があるかもしれません。
靴類は、通学用の革靴や運動靴、体育館履きなど、用途に応じて複数必要になるかもしれません。学校によっては、すべて指定される場合もあります。
3.教科書代
高校からは教科書代もかかります。入学時だけでなく、2年・3年の年度初めにも必要です。
そのほか、教材費がかかることも把握しておきましょう。
ICT教育の導入により、パソコンやタブレットの購入が必要な高校も増えています。どのような教材が必要になるのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
4.修学旅行などの行事代
修学旅行や行事にも費用がかかります。修学旅行は旅行先によって金額が変わり、費用は積立金として分割納入にしている学校も少なくありません。
また、高校では校外学習や芸術鑑賞といった行事の活動費が必要となる場合があります。
5.その他費用
通学にバスや電車を使う場合、定期代が必要です。金額は学校までの距離によって異なりますが、学区を超えた場所の学校も選べる私立の方が高くなる傾向にあります。
大学受験に向けて、学習塾に通うこともあるでしょう。学費は学年が上がるごとに高くなることが一般的で、集団指導か個別指導かでも値段が異なります。夏休みや冬休みに集中的な講習を行うこともあり、さらに費用が必要となる場合もあります。
また、PTAや後援会などの関連団体がある場合、その会費が発生することもあるでしょう。
通信制高校ならルネサンス高校

ルネサンス高校は、多様性を尊重し、時代にあった学び方ができる通信制高校です。2006年開校からICT教育をいち早く取り入れており、ネット学習でいつでも好きな時間に学習ができます。通信コースだけでも学習システムや担任のサポートが充実しているため、スムーズに卒業をめざせるのが魅力です。
高校就学支援金は通信制高校の授業料も対象になるため、受給対象になる方は、ぜひご活用ください。
就学支援金をはじめ、通信制高校に関する不安や疑問は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ

高校就学支援金は受給資格や所得の要件があり、該当しない場合は受給できません。受給対象かどうかは、課税標準額などを計算して確認できます。
なお、高校就学支援金の対象になる費用は授業料のみで、高校では入学金のほか多くの費用がかかることは把握しておきましょう。
通信制高校でも高校就学支援金を受給できます。通信制への進学を考えている方は、ぜひルネサンス高校もご検討ください。
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