教育コラム 高校中退してしまったら?就職への影響・その後の選択肢を解説
公開日:2024.08.29
さまざまな事情から、高校中退を考える人がいます。文部科学省の調査によると、2022年度における高校中退者は「約43,000人※」でした。高校を中退した場合、具体的にどのような影響があり、将来はどのような道があるのでしょうか。
この記事では、高校中退のデメリットをはじめ、その後の選択肢や高校中退前にできることについて解説します。
高校を中退しようか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
高校中退のデメリット
高校中退のデメリットは、主に次の5つです。
- 進学・資格取得が複雑になる
- 就職・収入に影響する
- 人間関係が希薄になる
- 社会性が低下しやすい
- 情報を得にくくなる
それぞれ解説します。
進学・資格取得が複雑になる
進学や資格取得が複雑になることは、高校中退のデメリットといえます。
大学や短大、専門学校に入学するためには、「高校卒業の最終学歴」または「高校卒業と同等以上の学力があることの認定資格(高等学校卒業程度認定試験)」が必要です。高校中退後に進学をめざす場合、高校卒業資格または高卒認定資格を取得しなければなりません。
また資格によっては、高校卒業資格がなければ取得できないものもあります。「学歴不問 / 実務経験が規定の年数以上あれば取得可能」という資格もある一方、高校中退という学歴では、実務経験を積もうとしても採用されること自体が難しいケースもあります。
就職・収入に影響する
高校を中退した場合、最終学歴は中卒となります。正社員として働く意欲があっても断られてしまったり、そもそも応募ができなかったりするケースは少なくありません。
そのため、高校中退者は派遣労働や単発アルバイトなど、正規雇用と比べて不安定な職に就きやすいといわれています。「平成30年若年者雇用実態調査」によると、15~34歳までの若年労働者における正社員の割合は、大卒では80.9%、高卒では56.3%であるのに対し、中卒では35.4%です。※
希望する就職ができない場合、十分な収入を得られず、その後の生活基盤にも影響が及ぶ恐れがあります
人間関係が希薄になる
人間関係が希薄になりがちなことも、高校中退のデメリットといえるでしょう。
高校を中退して学校という場所から離れれば、学校に通う中で必然的に会っていたさまざまな人たちと同じ頻度で会うことがなくなってしまいます。
高校中退後でも、友人などと連絡を取り合うことは可能です。しかし、高校在学中や大学へ進学した相手とは共通の話題が減るため、話していても「共感できない」と感じることがあるでしょう。
学生生活を送っている友人と自分の違いから、孤独感や引け目を感じ次第に距離を置くようになってしまうケースも少なくありません。
社会性が低下しやすい
高校を中退すると、多くの人と関わる機会がなくなります。
たとえ周囲の人間全員と会話をしなくても、「この人と自分は○○に関する考え方が違う」「誰と誰が○○でモメた」など、大勢の中に身を置くからこそ考えさせられることがあるものです。このような経験からは、社会性を身につけられます
高校を中退して人と接する機会が少なくなれば、社会性を身につけるチャンスも減ります。気がつかないうちに、他人との関わり方などに関する能力が落ちていってしまう可能性があるでしょう。
情報を得にくくなる
情報を得にくくなることも、高校中退のデメリットのひとつです。
「スマホやパソコンがあれば大丈夫」と思う人もいるかもしれません。確かに、インターネットは情報収集に便利です。ただしインターネットの情報は、どうしても対象が、いわゆる世間一般的な人たちになるため、情報が一般的なものに偏ってしまいます。
たとえば学校の先生であれば、大多数ではなく「あなた個人」の状況をふまえた情報を与えてくれるでしょう。また学校では、地域や高校生らしいイベントや「生きた情報」などとも出会えます。
高校中退後の選択肢
高校中退後は、主に次の6つの選択肢があります。
- 就職する
- 起業する
- 高卒認定試験に合格して進学する
- 別の高校へ編入して高卒資格を取る
- 高等課程のある専門学校に進学する
- 海外へ留学する
それぞれの選択肢を詳しく見ていきましょう。
就職する
1つめの選択肢は、就職です。
高校中退の場合、最終学歴が「中卒」となるため、仕事の選択肢は限られてきます。しかし、就職が全くできないということではありません。企業によって、学歴だけでなく、知識や経験も問わず、若い人の考え方や体力などを採用の主軸にしているところも存在します。
自分だけで就職先を見つけられない場合は、全国に設置された「地域若者サポートステーション(通称:サポステ)」を活用してみましょう。サポステは、地域の若者に向けた就労支援機関になっており、就職相談に加えて、就職に必要になってくる、履歴書の書き方 / 面談対策などのサポートを受けることができます。
起業する
難易度が高めではありますが、起業するという選択肢もあります。起業する場合には、自分がどこかに就職するわけではないので、学歴は全く関係なくなります。
しかし起業を成功させる上では、根本的に自分のアイディアを形にしてビジネスにする力、他社や周囲の人たちに協力してもらうための力など、さまざまな力が必要になってきます。ビジネスに関する部分でも、経理に関する業務や契約書を作成するなどのスキル、そしてビジネスマナーも求められてきます。
起業という道を選ぶ場合、自ら進んで学ぼうとする意識が必要になってくるでしょう。
高卒認定試験に合格して進学する
高校に通っていなくても、大学や専門学校に進学することは、高卒認定試験によって得られる「高卒認定資格」を持っていれば可能です。
「高卒認定資格」を得ると、高校を卒業した人と同程度かそれ以上の学力があるということを国に認めてもらえます。結果として、学歴は「中卒」のままですが、大学や短大・専門学校への受験資格を得ることができます。
高卒認定資格は、進学以外に各種国家試験に活用することも可能です。
別の高校へ編入して高卒資格を取る
別の高校へ編入して高卒資格を取ることも、ひとつの手段です。
通っていた学校を中退し、別の学校へ入学しなおすことを、「編入」といいます。
全日制高校の場合、退学時期に注意が必要です。なぜなら、仮に高校2年生修了前に退学した場合は、再び2年生から編入しなおす必要があるからです。
学年という考え方がない通信制高校であれば、必要な単位を修得することによって高校を卒業できます。編入後に、以前の高校を中退する前に修得した単位を引き継ぐことができるため、編入の時期と中退前の修得済み単位によっては、編入によって同級生と卒業年度の差が出ない可能性もあります。
編入試験の時期は学校によって異なるため、必ず事前にチェックしておきましょう。
高等課程のある専門学校に進学する
専門学校によっては、高等課程のある学校もあります。
高等課程のある専門学校においては、通常通り高校の勉強を進めながらも、専門的な技術を学ぶことができます。よって、卒業時には、資格としての「高卒資格」に加えて、在学中に勉強した専門分野の技術や知識などを得ることが可能です。勉強した分野によっては、そのまま専門的な資格を取得することができるケースも存在します。
しかし、カリキュラムが毎日の登校を前提に組まれているため、通学が難しい人は気をつけて検討しましょう。
海外へ留学する
日本の高校が肌に合わない人は、海外留学も選択肢になるでしょう。
海外留学では他言語を学べるだけでなく、日本とは異なる文化や考え方に触れられることも魅力です。貴重な体験を通じて視野を広げ、人として成長できるチャンスにもなります。
留学期間によっては、日本への帰国後、帰国子女枠で大学などに進学できる可能性があります。また、高卒認定試験に合格することでも進学は可能です。
高校中退前にできること
高校中退を考えている人は、何らかの困難を抱えていることでしょう。
周囲に相談してみることで、一人では気が付かなかった中退以外の選択肢が見つかることもあります。もしかすると、高校を中退しなくても問題を解決する手段があるかもしれません。
「とにかく辞めよう」と考えている人は、まずは次に紹介する「高校中退前にできること」を試してみてください。
保護者に相談
高校中退を考えている人は、まずは親御さんなどの保護者に相談してみましょう。
保護者が驚いてしまうかもしれないので、いきなり高校中退の話をするのではなく、あなたが抱えている悩みを打ち明けるところから始めることがおすすめです。きっと、困難を解決する手段を一緒に考えてくれることでしょう。
「悩んでいるけれど、どうすればよいかわからない」というときは、まずは保護者に相談してください。
担任の先生・スクールカウンセラーに相談
担任の先生や、スクールカウンセラーにも相談してみてください。
担任の先生は、学校で過ごすあなたの姿を普段から見ているので、相談するとスムーズに話が進みやすいでしょう。
学校によっては、スクールカウンセラーという、生徒の心のケアやストレス対処を専門にする人が在籍している場合もあります。スクールカウンセラーに相談することで、悩みを解決するためのヒントやアドバイスをもらえる可能性があります。
もしあなたの悩みが、クラスの人間関係にある場合、担任の先生やスクールカウンセラーに相談することで、保健室登校などの対象措置をとってくれる可能性もあるでしょう。
他校への転校
他校への転校を考えることも、ひとつの手段です。
もし、「学校の雰囲気や、勉強・授業の進め方が合わない」「人間関係がつらい」という理由で高校中退を考えているのであれば、転校をすることで環境を変えれば、学校生活が苦にならなくなる可能性があります。このようなときは、保護者に相談してみましょう。
全日制ではなく、通信制高校や定時制高校に転入する方法もあります。「どうすればよいかわからず引きこもっている」という人にとっても、次の一歩を踏みだしやすいでしょう。
高校を中退してから、再入学までに時間ができてしまうと、そのブランクによって卒業時期が延びてしまう可能性があります。方法として、高校を中退する前に転入の手続きを進めて、他校に転校することで今の高校をやめることも可能です。
通信制高校ならルネサンス高校
ルネサンス高校は、ネット学習に力を入れている通信制高校です。学習システムや担任のサポートが充実しているため、通信コースだけでもスムーズに高校卒業をめざせます。専門スクールと提携しているので、美容、芸能など興味のある分野を本格的に学ぶことも可能です。
在籍中の高校からの転入学、高校を中退した人の入学も可能です。経験豊富な先生が、あなたの学校生活を卒業まで丁寧にサポートします。高校中退を考えている人は、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
高校中退には、進学や就職、周囲との関係などに関するデメリットがあります。悩みを相談してみることで、中退以外の思わぬ選択肢が見つかることもあるでしょう。高校を中退するか悩んだときは、まずは保護者や担任、スクールカウンセラーなどに相談してみてください。
高校中退後の選択肢はさまざまです。就職のほか、編入や進学、留学という手段もあります。自分の希望はもちろん、周囲とも相談しながらベストな道を見つけてください。
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