高校生の不登校の原因は?親がすべき対応と進路も解説
公開日:2024.09.30
不登校の高校生を持つ保護者は、「どのように子どもに接すればよいのだろう?」「今後の進路はどうなるのだろう?」といった、さまざまな悩みを抱えているのではないでしょうか。客観的な視点から、実情や対応方法を把握しておくことは非常に大切です。
この記事では、実際のデータをもとにした高校生の不登校の現状をはじめ、親が取るべき対応、不登校の高校生の進路などについて解説します。子どもの不登校にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
不登校の現状
高校生を取り巻く不登校の現状とは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、そもそも「不登校とはどのような状態を指すのか」に加え、高校生の不登校の状況をデータとともに解説します。
不登校の定義
文部科学省の定義によると、不登校とは「病気や経済的な理由はないものの、何らかの事情によって年間の欠席日数が30日以上となった状態」のことです。
そのため、例えば次のような状態であれば、不登校の定義には当てはまりません。
- 病気によって学校に行けない
- 年間の欠席日数が29日以下である
【出典】
※文部科学省「不登校の現状に関する認識」
高校生の不登校の最新データ
実際のデータをもとに、高校生の不登校の現状を具体的な数字で確認してみましょう。
文部科学省の調査によると、令和4年度における高校生の不登校生徒数は60,575 人でした。この数は在籍生徒の約2.0%にあたり、「高校生のおよそ50人に1人が不登校生徒」という計算になります。
高校生の不登校生徒60,575 人における欠席日数別の人数内訳は、次のとおりです。
- 欠席日数30~89日:50,145人
- 欠席日数90日以上で出席日数11日以上:8,590人
- 欠席日数90日以上で出席日数1~10日:1,373人
- 欠席日数90日以上で出席日数0日:467人
不登校生徒60,575 人のうち、90 日以上の長期欠席や中途退学、原級留置(留年)に至った生徒のデータは次のとおりです。
生徒の状況 | 人数 | 不登校生徒に占める割合 |
---|---|---|
90日以上欠席している生徒 | 10,430人 | 17.2% |
中途退学に至った生徒 | 10,492人 | 17.3% |
原級留置(留年)となった生徒 | 3,374人 | 5.6% |
高校生が不登校になる原因
高校生が不登校になる原因はさまざまであるものの、次の3つに大別できます。
- 本人起因
- 学校起因
- 家庭起因
文部科学省による調査結果を参考に、それぞれ詳しくみていきましょう。
本人起因
文部科学省の令和4年度調査によると、不登校の主な要因は「本人に起因するもの」が一番多いという結果でした。具体的には、「無気力・不安」「生活リズムの乱れ・あそび・非行」が本人起因に該当します。
令和4年度の不登校生徒60,575 人のうち、「本人に係る状況」を不登校の主な要因にあげた高校生の人数と割合の内訳は、次のとおりです。
主な要因 (本人に係る状況) |
人数 | 不登校生徒に占める割合 |
---|---|---|
無気力・不安 | 24,223人 | 40% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 9,651人 | 15.9% |
学校起因
学校起因は、以下のように多岐にわたります。
- いじめを除く友人関係をめぐる問題
- 入学・転編入学・進級時の不適応
- 学業の不振
- 進路に係る不安
- 学校のきまり等をめぐる問題
- クラブ活動・部活動等への不適応
- 教職員との関係をめぐる問題
- いじめ
令和4年度の不登校生徒60,575 人のうち、「学校に係る状況」を不登校の主な要因にあげた高校生の人数と割合の内訳は、次のとおりです。
主な要因 (本人に係る状況) |
人数 | 不登校生徒に占める割合 |
---|---|---|
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 5,576人 | 9.2% |
入学・転編入学・進級時の不適応 | 5,070人 | 8.4% |
学業の不振 | 3,416人 | 5.6% |
進路に係る不安 | 2,489人 | 4.1% |
学校のきまり等をめぐる問題 | 514人 | 0.8% |
クラブ活動・部活動等への不適応 | 492人 | 0.8% |
教職員との関係をめぐる問題 | 286人 | 0.5% |
いじめ | 124人 | 0.2% |
家庭起因
家庭起因には、以下があげられます。
- 親子の関わり方
- 家庭内の不和
- 家庭の生活環境の急激な変化
令和4年度の不登校生徒60,575 人のうち、「家庭に係る状況」を不登校の主な要因にあげた高校生の人数と割合の内訳は、次のとおりです。
主な要因 (本人に係る状況) |
人数 | 不登校生徒に占める割合 |
---|---|---|
親子の関わり方 | 1,703人 | 2.8% |
家庭内の不和 | 1,093人 | 1.8% |
家庭の生活環境の急激な変化 | 1,080人 | 1.8% |
高校生が不登校になった時の親の対応
高校生の子どもが不登校になった時、親はどのように対応すればよいのでしょうか。
親が取るべき対応として、以下があげられます。
- 学校を休ませる
- 子どもが相談しやすい状態を作る・寄り添う
- 他の人と比較しない
- 過干渉は避ける
- スクールカウンセラーや先生に相談する
- 不登校支援をしている団体に相談する
- 学校以外での学習方法を検討する
それぞれ解説します。
学校を休ませる
まずは子どもの意思を尊重し、学校を休ませて様子をみましょう。
子どもが登校を拒否した場合、勉強の遅れや出席日数、周囲の目など、親としては子どもの今後についてさまざまな不安を抱えるのではないでしょうか。
とはいえ、登校を無理強いしたり、不登校を責めたりすると、余計に不登校が長期化してしまう恐れがあるため注意が必要です。不登校になった子どもは、心身ともに不安定な状態であるケースが少なくないためです。
「学校を休んでよい」と伝えることで、登校拒否に対してうしろめたさを感じている子どもは、「親は味方だ」と安心できるでしょう。
子どもが相談しやすい状態を作る・寄り添う
子どもが相談しやすい状態を作り、気持ちに寄り添う姿勢も必要です。
子どもの話を聞く際、保護者としての焦りや不安から、つい口を挟みたくなる場面もあるかもしれません。しかし、自分の意見を述べるのは後にして、まずは子どもの話にきちんと耳を傾けましょう。子どもの考えを尊重し、客観的に気持ちを受け止めることが大切です。
他の人と比較しない
「早く登校してほしい」と願うあまり、他の子どもと比べるような発言をしてしまうこともあるかもしれません。しかし、他の人と比較することは控えたほうがよいでしょう。学校に行けないことに対する不安や焦りを感じている子ども本人を、追い詰めてしまいかねないためです。
子どもが前を向けるようになるまでは子どものペースを尊重しつつ、保護者は気持ちに余裕を持ってサポートしていく気持ちが大切です。
過干渉は避ける
子どもとの密なコミュニケーションは大切である一方、干渉のし過ぎは避けるべきです。
先が見通せず不安な状態の子どもに向かって「いつまで休むの?」「今後のこと考えているの?」などと詰め寄ってしまうと、反抗的な回答や態度につながることもあります。
親からの過度な干渉を嫌う傾向は、子どもが自立する過程でもあります。過度に干渉するのではなく、日常会話の中で少しずつ信頼関係を築き、子どもが悩みを聞いてもらいたくなる「良き相談相手」をめざしましょう。
スクールカウンセラーや先生に相談する
スクールカウンセラーや担任の先生への相談も検討するとよいでしょう。学校との協力関係を築けるだけでなく、家庭では把握できない学校での子どもの様子やトラブルの有無を知るきっかけになることがあります。学校によっては、保健室登校(別室登校)をさせてもらえるケースもあるでしょう。
スクールカウンセラーには、不登校をはじめとした幅広い内容を相談することが可能です。子どもはもちろん、保護者のカウンセリングにも対応しています。
不登校支援をしている団体に相談する
家庭内での対応に不安がある時は、不登校支援を実施している以下のような団体に相談してみてください。専門知識やノウハウを備えているため、具体的な解決策を知るきっかけになるでしょう。話をするだけで、親子の不安やストレスが緩和されることもあります。
- ひきこもり地域支援センター
- 教育センター
- 発達障害者支援センター
- 児童相談所・児童相談センター・児童家庭支援センター
公的な相談窓口だけでなく、「一般社団法人不登校支援センター」や「不登校の親の会」といった民間の団体もあります。
学校以外での学習方法を検討する
以下のような、学校以外での学習方法を検討することも有益です。
- タブレット学習
- 家庭教師
- 塾
- フリースクール
学習の遅れを取り戻すことによって子どもに自信がつき、学校生活への復帰がスムーズになるケースもみられます。また、家族以外とのコミュニケーションに慣れる機会を得られるというメリットもあります
不登校の高校生の進路
不登校の高校生における進路の選択肢には、以下があげられます。
- 今の高校への復学
- 新しい学校への転校(転入)・編入
- 就職
それぞれの選択肢について、詳しくみていきましょう。
今の高校への復学
1つ目は、現在在籍している高校への復学をめざす進路です。
一定期間休んでいた学校へ戻ることが決まっても、すぐに以前の学校生活と同じ状態で過ごせるかというと、なかなか難しいものです。教室へ入ることが難しいという子どもの場合、まずは、保健室や相談室、図書館など、子どもが安心して過ごせる居場所に登校する「別室登校」を最初のステップにするとよいでしょう。
得意教科の授業や信頼できる先生の授業から徐々に教室登校の時間を増やしていく方法もあります。ただし、進級や留年、別室登校が出席扱いになるかどうかなどの条件は学校によって異なるため、注意が必要です。
学校によっては、特定の教科の出席が少なくても、補講などによる救済措置があるケースもあります。学校と相談しながら、子どものペースに合わせて復帰をめざしましょう。
新しい学校への転校(転入)・編入
「一度不登校になった学校に再び通う」ことだけが、学校生活への復帰ではありません。例えば人間関係のトラブルなど学校起因による不登校の場合、新しい学校に転校(転入)・編入して環境を変えることが、不登校の原因の解決につながる可能性があります。
全日制高校や定時制高校では入学できる時期が決まっているため、転校のタイミングには注意が必要です。一方、通信制高校への転入や編入は、時期の融通が利きやすい傾向にあります。
通信制高校の場合、登校頻度や学習方法などを選べる学校も少なくありません。全日制に固執せず、子どもの希望や状況に合わせて幅広い選択肢から検討するとよいでしょう。
就職
学校生活への復帰ではなく、就職するという道もあります。
不登校から就職をめざす際は、「地域若者サポートステーション(サポステ)」や「わかものハローワーク(わかハロ)」といった施設の活用もおすすめです。
地域若者サポートステーション(サポステ)とは、不登校からの就職を含め、さまざまな理由から働くことに悩みを抱える若者の職業的自立をサポートする施設のことです。全国177ヵ所、すべての都道府県に設置されており、カウンセリングや職業訓練などのプログラムを受けられます。
わかものハローワーク(わかハロ)とは、正社員での就職をめざす若者向けの職業紹介や就職支援を行う施設です。就労支援ナビゲーターによるマンツーマンのサポートを受けられるほか、職業訓練や就職準備支援などのプログラムも提供されています。
転校しやすい通信制高校ならルネサンス高校
ルネサンス高校は、国に認められた正規の通信制高校です。ネット学習を最大限に取り入れており、少ない登校日数(スクーリング)による高校卒業資格の取得をめざせます。高校卒業後の進学や就職まで丁寧にサポートいたしますので、ご安心ください。
お電話はもちろん、対面での個別相談会やオンライン個別相談会など、さまざまな相談窓口をご用意しております。不登校のお子さまの転入・編入を検討されている場合は、どうぞお気軽にご連絡ください。
まとめ
令和4年度における高校生の不登校生徒数は、6万人を超えています。高校生が不登校になる要因は、本人起因・学校起因・家庭起因などさまざまです。
保護者としては、子どもの将来に不安を感じ、焦ってしまうこともあるでしょう。子ども自身も大きな不安を抱えていることを理解し、寄り添いながらサポートする必要があります。家庭での対応が難しい時は、専門の団体を頼ることも大切です。
不登校の高校生における進路は、現在の高校への復学だけではありません。新しい学校への転校(転入)・編入や就職など、子どもの希望や状況に合わせてよりよい道を探しましょう。
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