不登校特例校とは何?入学条件や特徴、フリースクールとの違いを徹底解説
更新日:2025.01.30

不登校の児童や生徒が通える学校の一つに、「不登校特例校」があります。不登校特例校は、出席の扱いや教育カリキュラムに特徴のある学校です。しかし、実際の入学条件や不登校特例校とフリースクールとの違いが気になる方もいるでしょう。
この記事では、不登校特例校の概要や特徴のほか、設置数や費用などの不登校特例校に対して質問されることが多い情報について解説します。お子さまの不登校に悩んでいる方や、別の学習環境を探している方は、ぜひ参考にしてください。
不登校特例校とは?

不登校特例校とは、不登校の児童や生徒に合わせた教育をする文部科学大臣指定の学校です。一般的な学校では教育カリキュラムが決まっており、授業を受ける全員が同じペースで教育を受けます。
不登校特例校では、不登校の児童や生徒に配慮した教育カリキュラムで教育を進めていきます。なお、令和5年8月31日からは、「学びの多様化学校」に名称が変更されました。
不登校特例校の概要

不登校特例校は、平成17年7月に学校教育法施行規則改正によって定められました。これは不登校の児童生徒に対し、必要と認められる場合は、特別な教育課程で教育できる規則です。
文部科学省は「特別な教育課程」を「憲法や教育基本法の理念と学校教育の目標達成を踏まえたうえで、施行規則の定めにかかわらず編成される教育課程」と定義しています。
上記の定義を満たしていれば、一般的な教育課程に沿った教育をする必要はありません。児童や生徒一人ひとりの個性や状況に合わせた教育を実施できます。「特別の教育課程」として挙げられる主なプログラムは、以下のとおりです。
- 少人数指導
- 習熟度別指導
- 児童や生徒の実態に即した支援(家庭訪問や保護者への支援)
- 学校外プログラムの積極的な活用
不登校特例校の入学条件とは?

不登校特例校の入学には条件があり、原則として不登校の児童や生徒が対象です。不登校状態と認められるには欠席日数基準があるものの、その基準を満たしていなくても断続的な不登校や不登校の傾向があれば、不登校特例校への入学が認められます。
文部科学省による不登校特例校の利用対象となる条件は、以下のとおりです。
- 年間30日以上の欠席をしている
- 学校や教育機関が断続的な不登校や不登校の傾向があると認めた
上記のどちらかの条件を満たせば、不登校特例校を利用できます。
不登校特例校とフリースクールの違い

不登校特例校に似た教育機関として、フリースクールが存在します。ただし、フリースクールは教育機関です。学校ではないため、籍を置く学校や出欠の取扱い条件が異なります。ここでは、各条件の違いについて解説します。
在籍校の違い
フリースクールは、民間団体が運営する教育機関であり、文部科学大臣指定の学校ではありません。フリースクールを利用していても、もともと通っていた学校を在籍校として扱います。
不登校特例校は文部科学大臣が指定する学校であるため、在籍校が不登校特例校に変わり、元の学校から転校する形となる点がフリースクールとの大きな違いです。
出席扱いになるかどうか
フリースクールは教育機関であり、籍はもともと通っていた学校にあります。そのため、フリースクールを利用しても学校に出席したことにはなりません。ただし、学校と教育委員会が認めた場合はフリースクールへの出席が学校の出席として扱われます。
一方、文部科学大臣指定の学校である不登校特例校に通えば、学校への出席が認められます。無条件で出席扱いが認められるかどうかが、一般的なフリースクールと違う点です。
不登校特例校の特徴

不登校特例校は、児童や生徒一人ひとりの特徴や状況に合わせた教育を実施しています。そのため、少人数指導や授業時間の短さ、体験学習の豊富さが特徴です。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
1.少人数指導
不登校特例校は、一般的な公立の小中学校や高校と比べると、児童や生徒の人数が少ない傾向にあります。多くても1学級あたり30人未満で、人数が少ない学級では5人に満たないところもあるようです。そのため、教員が児童や生徒一人ひとりの様子を見ながら少人数での教育を進められます。
1学級あたり40人前後の学級と比べると先生への質問や挙手もしやすく、先生の目も行き届きやすくなり、個人の理解度に合わせた教育を受けられるでしょう。
2.授業時間が少ない
不登校特例校では、学習指導要領で定められた標準授業時数の拘束を受けず、授業数や授業時間を設定できます。もともとの学校を不登校になった理由に、授業時間の長さがあげられる児童や生徒もいるでしょう。
そのような側面に配慮し、不登校特例校の授業数は一般的な学校の4分の3程度となっています。拘束時間も短くなるため、児童や生徒の負担も軽減されるでしょう。
3.個々に寄り添う学習方法
不登校特例校は少人数指導が特徴で、教員ひとりに対する児童や生徒の人数も少ないため、個々に寄り添い、得意な面や苦手な面に注力した教育をすることも可能です。
また、登校支援チームや心理面の相談員など、勉強面以外のサポートをする専門家やスタッフが在籍している不登校特例校も存在します。一般的な小中学校、高校でも専門家のサポートを受けられる制度があるものの、個人で見れば、利用できるタイミングがあまりないケースが多いのが実態です。
専門家からのサポートを定期的に受けられることは、不登校特例校に通うメリットといえるでしょう。
4.体験型授業が豊富
不登校特例校は学習指導要領で定められた標準授業時数の拘束を受けないため、授業の進め方にバリエーションがあります。教室での勉強だけでなく、実習や体験学習など、体験型の授業を実施しているところも多く存在します。
より多くの体験型授業を経験することにより、活動意欲や自立心を持てるようにするのが狙いです。座学での授業に抵抗感がある児童や生徒も、楽しみながら授業を受けられるでしょう。
不登校特例校に関するよくある質問

不登校特例校に関する質問として、不登校特例校の学校数や不登校からの進学の可否、学費などがあります。ここでは、それぞれの質問について解説します。
不登校特例校は何校ある?
文部科学省によると、不登校特例校は令和6年(2024年)時点で16都道府県に35校(公立21校、私立14校)存在しています。
教育振興基本計画によると、令和10年(2028年)までにすべての都道府県と政令指定都市への不登校特例校設置が計画されており、将来的には全国で300校の設置をめざすことが明らかになりました。
そのため、現時点で不登校特例校が設置されていない地域にも今後設置される可能性があります。
【出典】
※ 文部科学省「教育振興基本計画」令和5年6月16日
不登校でも進学できる高校はある?
中学校で不登校の場合、全日制高校への進学を不安に感じている方もいるでしょう。実際に、出席日数と内申点に重点を置いている高校への受験は簡単ではありません。ただし、受験時の試験の点数を重視している高校や、別に不登校生徒枠を設けている高校も存在します。
志望する高校の条件を事前に確認しておき、自身の学力を踏まえたうえで進学先を検討することが大切です。
不登校特例校の学費はいくら?
不登校特例校の授業料の有無は、基本的には公私立や義務教育かどうかによって異なります。各条件での授業料の有無は、以下のとおりです。
- 公立の小中学校:無償
- 私立の小中学校:有償
- 公立の高校:有償
- 私立の高校:有償
公立の小中学校以外は、有償です。平成28年の文部科学省の調査によると、私立の中学校と高校の授業料の平均は以下のとおりです。
- 私立の中学校の授業料:平均47.6万円/年
- 私立の高校の授業料:平均37.4万円/年
- 授業料以外の納付金(入学金・設備費など):平均29.4万円
このように、経済的な負担は小さくありません。減免制度や入学給付金制度を設けている学校も存在します。
学校ごとに学費や制度は異なるため、条件を確認したうえで入学先を決めることが大切です。
通信制高校ならルネサンス高校

ルネサンス高校は、国に認められた広域通信制の高校です。近年急速に進められているICT教育により、毎日学校に通わずとも、自分のペースで卒業をめざせます。
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ルネサンス高校では、説明会や個別相談会を随時開催しています。学校に通えないお子さまについて悩んでいる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ

不登校特例校は、不登校の児童や生徒に合わせた教育をする文部科学大臣指定の学校です。学校として認められているため、出席すると一般的な学校と同様に出席として扱われます。
さらに、不登校特例学校は、一般的な学校よりも柔軟な体制と教育カリキュラムが組まれており、個々に寄り添った教育を受けられます。その中でも、専門家のサポートを受けることは、不登校に悩むご家庭の選択肢の一つです。お子さまに適した環境や学校を見つけ、より良いとされる道を選びましょう。
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