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教育コラム #6 産業と技術革新の基盤

掲載日:2022.01.06

オルタナティブ教育
長谷川 高士

オルタナティブ教育
長谷川 高士

SDGs教育に対する考え

こんにちは、長谷川です。
ルネサンス高校の東京にある新宿代々木キャンパスでは、SDGsをテーマに教材を作成して授業を行っています。 今回紹介する、「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、SDGsの他のテーマに比べてやや題材の少ないテーマかもしれません。

「ホッパーレース ウンカとイネと人間と」

2015年から2030年を見据えた産業と技術革新というと、最先端の技術分野と考えがちで、教科書でも扱いにくいこともあって、なかなか学校ではやりにくいテーマです。しかし、国の発展の歴史の中で大きな転換点や、発展の基盤になっている歴史を振り返ると多くの良い資料が見つかります。 日本であれば、絹の生産と出荷に関する技術と歴史は大きなテーマとなっていますが、今回取り上げるのは、コメとその害虫であるウンカとそれを撃退しようとする人間の試みを扱った2013年の作品です。

コメを消費する国、コメを輸出する国

生徒たちに教えるにあたって、コメの輸入・輸出統計を調べてもらうことにしました。 日本のコメの輸入・輸出や世界のコメの輸入・輸出の統計を調べてみると、日本はコメを輸入しないし、輸出もしていない国だということがわかってきます。 逆に、輸出している国は一種の国家の大きな産業として稲作に取り組んでいることが分かります。それらの国は、まずは自分たちが食べるための食料生産が必要になっていたと考えられます。作品の中で「緑の革命」と「IR8」というイネの品種が出てきますが、歴史的な技術革新のポイントとして生徒たちに理解してもらいたいキーワードとしています。

国立科学博物館にあるイネの品種IR8

作品中のIR8というイネの品種は、東京・上野にある国立科学博物館に展示されていますので、立ち寄る機会があれば見にいってもらいたいところです。

SDGsターゲット9 産業と技術革新の基盤をつくろう

ホッパーレース ウンカとイネと人間と

映画本編では、イネに関する問題提起から、問題を解決するための様々な人と継続的な努力が積み重なっているということが描かれます。そこには、イネや害虫への影響の評価、企業側の努力、国策、農家など多くの人が関わっていて、問題の解決のためには、ウンカやそれにまつわる生態系(生物)・農薬(化学)・稲と「緑の革命」の歴史(社会)・外国への影響(地理)など、多くの知識を必要としていることが分かります。この問題は日本にも影響があり、けして他人事ではありません。 緑の革命によって、イネが品種改良され、収穫量が大幅に増えたことで、品種改良という技術革新が「よりたくさんのコメ、よりおいしいコメ、ウンカに強いコメ」という道へと突き進んでいくことになります。このドキュメンタリーの焦点である「ウンカに強いイネの品種」がどうなったのか、最後に「農薬使用とウンカへの本当の対策」へと導かれていきます。

この作品を通して

自分にとってこの作品が貴重だったのは、「世界のどこかで起きている問題は、確実に自分の隣でも起きている問題だった」と思わせてくれたところです。そして、科学者がつかんだ多くの証拠で世界が動いていった歴史を改めて感じることができます。 なぜ学校で学ぶのかという意味として、世界中で起きている問題についての知識を得て、解決のための道筋を見つけるためなのだと感じました。もし、生徒たちがその問題を認識していれば、高校生のうちに国数英理社を学ぶ意味もより実感できるだろうと思います。